米團治喬太郎よこはま落語会 その1(サラブレッド桂米團治血統を語る)

7日水曜に続いて中3日で横浜へ。
今度は県立音楽堂。
にぎわい座からも近いが、掃部山にあるこのホールは初めて来た。
元来が粗忽なので、気がついたらにぎわい座にいそうで。

昨年11月にもよこはま落語会(吉野町)には来たが、なんとマスク着用義務があった。
今回はなくなっていた。よかった。
私の怒りも多少は貢献したかもしれない。

ただしもぎりを客自身にさせるなんてことはまだやってる。
別にこれには腹は立たない。

道具屋 小きち
稽古屋 米團治
錦の袈裟 喬太郎
(仲入り)
夫婦に乾杯 喬太郎
はてなの茶碗 米團治

立派なホールだ。ここには幕はない。当然緞帳もなく、開きっぱなし。
見たことのある前座さんが出てきた。
喬太郎師の弟弟子、小きちさんだ。
メクリは「開口一番」。

おじさんが与太郎を呼んでいる。お前のおっ母さんいまこぼしてったぞ。
年増泣かせるとは大したもんだ。
ひょっとしてろくろ首かなと思ったが(前座噺ではない)、道具屋。
どのつく商売のくだりなどなく、スピーディ。
さらに、ひょろびりの股引以外の説明が省略されていて、落語の客に対しては、与太郎が現場で語る仕組み。
こういうのは初めて聴くが、いい感じ。
小きちさんは最初聴いたときは、「口調はいいが面白くない」という感想だった。デビュー時はそんなもんだ。
だいぶこなれてきて、面白くなってきた。
与太郎が自己紹介するだけで大きな笑い声。キャラがよく描けているからこそだ。
そして、非常に陽気な与太郎。

ノコ、小便できないひょろびり、抜けない短刀、そして首の抜けるお雛さま(これは一瞬)のあと、鉄砲。
「値は」「ズドーン」で落とすのは久々に聴いた。
このサゲを聴いたのは、なんとブログ始める前の古今亭今輔師だったのをいきなり思い出した。今じゃ都内では古典やらない人。

小きちさんは元海上自衛隊の幹部候補生だったそうだ。本人が語るわけじゃないが、最近やたら検索でこの情報が出るので。
私は林家十八さんの前職クイズから、落語協会の前座に陸自上がりがひとりいると思っていたのだけども、海自のこの人のことかもしれない。

続いては桂米團治師であった。ということは、トリ。
米團治師の高座は、大東文化大のセミナーで聴いたことしかない。普通の落語会では初めて。
「あほぼんの2世」のキャラが抜けない人。そりゃまあ、自分自身で使っているからだろうが。
しかし今や東西の落語界で圧倒的な存在感を持つ師匠である。少なくとも私はそう思う。
松喬師とか、プロがネタにするのはいいのだ。
だが世間にはたくさんいるんですよね。芸人自身が貼ったレッテルで、芸人を判断する残念な人が。
貧乏だ貧乏だといつもびんぼうアピールするブロガーを、貧乏人だと馬鹿にするアホがいるのと一緒。まあ、ブロガーのほうの貧乏は本当だけど。

見台は出ない。
東京の噺家が見台を使い、上方の噺家が2席とも使わないという、変な会だ。

万雷の拍手でありがとうございます。
横浜はわりと寄せていただいてますが、この県立音楽堂は初めてです。
いつもは、にぎわい座という小さなところでさせていただいてます。
といって、上手後方を指差す。
残念、そっちはみなとみらい方面だ。にぎわい座は上手でいいのです(どうでもいいが)。
この県立音楽堂、なんでも昭和29年に建てられたそうで。71年間使っているわけですね。
関西にはもうこんな古い現役の建物はないですよ、感慨深いですね。
今日は喬太郎師匠と一緒で。特別ですよ、なんと喬太郎さんとのふたり会は、初めてだそうで。
よく顔は合わせるんです。ただふたりの会はなかったようで。
楽屋で話してました。
「初めてなの?」「(モノマネで)そうみたいっすね」

喬太郎師のモノマネする人初めて見た気がする。
そして、一言だけだけど、なんと似てる。

喬太郎さんは後輩ですけど、新作と古典の二刀流で。
私なんかかなわないですよ。向こうのほうが貫禄ありますし。
ただ、私がひとつだけ勝ってるのがこの頭です。
私、もともと若白髪で、染めてました。
でも2年前に介護保険証が届いたのを機に、自然体で行こうということで染めるのやめまして。
どうぞこのあと見比べてください。

白髪頭の話は、壮大なネタであった。

こんな立派なホールですと、血が騒ぎます。
私の父親は米朝ですけど、母親はOSKに所属していました。
戦後進駐軍の慰問で、芸人やら音楽やらいろんな人をバスに載せて行ったそうで。
そのときたまたま隣に座ったのが米朝だったといいます。
地味な男性だったので、裏方さんだと思ったそうで。
その裏方さんが高座に上がったので母親は大変驚きまして。
その結果、私が生まれたわけでございます。
私の半分は米朝ですけど半分は母親ですので、血が騒ぐのです。

私は宝塚歌劇なんかも好きでして。
桂あやめさんという女流の噺家がいてますけど、彼女を中心に、宝塚歌劇を噺家が舞台に掛けるということをしています。
勝手にやってるんですけど宝塚の黙認もいただいてます。
時代劇の名作があって(タイトル失念)、私も役をもらいました。
歌舞伎だったら片岡仁左衛門さんがやるような役です。
役もらってから思い出しましたけども、ロックミュージカルなんですね。なので稽古しまして。
こんな感じです。

と、血が騒いだ米團治師、しばし熱唱するのであった。
大きな拍手。

続きます。

 

作成者: でっち定吉

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