米團治喬太郎よこはま落語会 その4(桂米團治・上方について、米朝について)

昨日のタイトル、「夫婦で乾杯」ではなくて「夫婦に乾杯」でした。
訂正しました。
タイトル知っているのは、もともと昇太師の作品だからですね。でも、完全に喬太郎師の噺になっていると思う。

トリは米團治師。
「上方落語」などの「上方」について語り出す。

上方という言葉は、鎌倉幕府ができて政権が初めて東日本に移った際に、天皇のおわすところを指すために生まれました。

関西ではただ今万博開催中です。
私、万博は反対派だったんですけども、せっかくなので行ってみました。
そしたらえらい面白くて。大屋根リングもええ眺めですし。
フリーパス買ってしまいました。昨日も行ったところです。

私が見る限り、万博会場にいる人の9割方は大阪の人間ですね。
小学生も連れてこられてます。昨日も枚方の小学生がいました。
京都の人は、なんかやってはりまんなぐらいの感覚やないかと思います。
京都のひとからすると、「京都」プラス別個に関西という感覚です。自分たちは別なんですね。
関西の大都市は京阪神です。それぞれ独自でして。ひとつにならないんですね。
奈良という街もありますけど、一番古いのにこちらは全くプライドがありません。我々は大阪の属国でよろしいわてなもんですな。

「上方」は最近では、京都の人は使いたがらないんですよ。京都の人からすると、大阪を中心とした言葉なんですね。
上方料理、という言葉がもともとありますけど、京都では京料理です。
「上方舞」という踊りがあるんですけど、京都では「京舞」に名を変えたぐらいです。
家元に訊いてみたんですよ。なんで名前変えられたんですかと。
「そんなのわかりまっしゃろ」ということでした。

米團治師は、テレビに出る際はもうしょっちゅうこんな比較文化論を話している印象。
しばしば語っているのだろうに、まるで擦り切れない。
客席は爆笑である。
関西の出身者も、ただの喬太郎ファンもいるだろうが、まとめて爆笑。
実に楽しい。
かといって、別に京都の悪口なんかではないのだ。

催し物としての万博には、政治的な話とは全く関係なく私は興味は持っていない。
割と評判良かった2005年の愛知万博に出かけた際、1970年の熱狂などかけらも残っていないのに気付いたからである。
1985年のつくばは面白かったけど。
だが米團治師のプレゼン(といっても具体的な話ではない)には、いたく興味をそそられた次第。

それから米朝の話。
落語協会は100年の歴史ということですが、今年は昭和100年です。
そして米朝生誕100年でもあります。
米朝は、大正14年生まれですから、まさに昭和の歴史を生きてきました
そしてラジオが放送開始してから100年でもあります。米朝はラジオと共に生きてきたのです。
米朝は姫路で生まれ、ラジオで東京落語を聴いて大きくなりました。当時は、上方落語は滅びかけていたからです。
爆笑王の初代春團治という人が亡くなってからは、大阪は漫才ばかりで、本当に滅びかけていたのです。

米朝は東京に憧れていて、親を騙して東京に出てきました。
ですが召集されまして。
陸軍の検査で、この時だけ肺に影が発見されたんですね。病院に入れられまして。
病院では落語を披露して、患者に喜ばれていたそうです。

戦後再び東京に出て、師事していた正岡容から、君は上方落語を復興しなさいと言われて上方に戻ってくるわけです。
そして四代目米團治に入門したのです。私は五代目ですが。

ですから米朝は、東京を一度回ってきた上方落語なのです。
このため、全国どこの人からも聴きやすいと評価され、親しまれたわけです。
一方では松鶴師匠などは、他の地域の人からはわかりづらかったようで。鶴瓶にいさんの師匠ですね。

ここで、松鶴のモノマネ。それにしてもモノマネ得意な人だ。

ともかく、他に春團治、文枝という師匠がたが、上方落語四天王として盛り上げてこられたのです。

今日で締めるつもりだったのに、マクラだけで1日分になってしまった。
自分でも驚いた。

京阪の比較の話が、最もスムーズに繋がるのははてなの茶碗。
落語会のトリではよく掛けているのだろうけども、もしかするとキョンキョンへの対抗ではないかと。
喬太郎師の出した二つの噺は、ともに「価値観の転換」を描いたものだったからだ。
上方古典落語で価値観の逆転というと、なんの変哲もない茶碗に千両の値が付くはてなの茶碗こそふさわしいではないか。
想像がいささかたくましすぎるかもしれないが、でもこういうことが起こり得るのが二人会の良さなのでは。

マクラに感心し、そして本編に感動したのです。
今や名人、米團治師のはてなの茶碗本編に続きます

 
 

作成者: でっち定吉

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