神田連雀亭ワンコイン寄席68(下・春雨や晴太結婚記念大喜利)

トリはロン毛の瀧川鯉白さん。
師匠方式でゆっくり口を開く。
3人の演者全員に待ってましたって、全然気がないのがわかりますね。待ってないのがよくわかってショックです。
確かに全員への声掛けはよろしくないが、普通の演者がわざわざこれに触れるとイヤミっぽくもなる。
さすがは鯉白さんで、空気が変にならない。

いま晴太ロスなんです。
鯉花さんは面識はある程度なので、別にロスじゃないです。晴太ロスです。
ぼく、晴太さんとは一番仲がいいと思ってたんですよ。前座時代、飲みに行った回数は一番多いと思います。
なのに結婚のこと、まるで知らされてませんでした。
こないだ新喜劇をするので、カデンツァのメンバーが稽古に集まったんですね。
話題は、結婚をいつ知ったかです。まあ、マウント合戦ですね。
俺は特別仲がいいとか、情報強者とかの。
希光さんって頭おかしい人がいまして。この人は3か月前から知ってましたと言ってました。
みんな知ったのが、発表の日をゼロとしたら、マイナス何日かですよ。
で、僕だけプラスなんです。当日見てなかったという。

今日晴太さんと一緒なんで、祝儀渡さなきゃなと思ったんですが、やめました。
その代わり特別企画をご祝儀に…あれ、聞いてませんか?

鯉白さんのマクラは実に起こしにくい。普通の噺家と言葉のチョイスが違うためだ。
起こしにくい人は、一般論としては話ベタである。
たが鯉白さんは、ボソボソ喋って破壊力随一。
希光さんのこと、本当はなんて言ってたっけ?

で、出したのが古典落語の後生鰻。
結婚の話題のあとには最も不謹慎な噺。
だけど、まったく悪意ないんじゃないかなんて気もちょっとするから不思議。そんなことないと思うが。

新作落語の鬼才鯉白さん、古典落語は今年初めて聴いた(新聞記事)。
さすが新作派の古典はひと味違う。
鰻の命を救う隠居は顔を使いまくってクレージー。
「クレージー」は、噺の中で頻出のワードでもあり。
マクラでボソボソ微笑みながら喋っていた人が、顔を極端に動かすギャップがたまらない。

最近では客が引くので難しい噺。
しかし、最初から噺に角度がついた鯉白さんだと、無問題。
おかみさんを川に投げ込むサゲはちょっと替えていた。
相変わらずたまらん人だ。
古典も売り物になるので、どんどんやって欲しいものだ。

鯉白さんが袖に声を掛けると、すでに着替えた晴太さんと、寸志さんが登場。
着替えてるのはよくわからないけど。
寸志さんが、主役は高座に座ってと。我々ははじに掛けます。
なんだか罪人みたいですねと晴太さん。
座布団も勧められてあてる。

で、何年ぐらい付き合ったの? と寸志さん。
これがですね、こないだ数えたら、5年ですよ。
5年!
それは、どちらからアプローチ?
いえ、自然にですよ。彼女前座時代にしばらく体調不良で休んでたんですが、その頃看病したりしてました。
結婚事前に知ってた人はいるんですか? この業界、余計なこと言う人しかいないからね。
本当に少ないですよ。弁橋さんには、訊かれたので答えましたけど。
弁橋さんは観察してわかったんだ。
そうですね、でもそれくらいです。でも、LINE誤爆しちゃったのに全然気づかなかった人もいました。
彼女に送るLINEを間違えて送っちゃったわけね。だれ?
橋蔵さんです。
橋蔵さんは全然気づかなそうだね。希光さんは知ってたの?
知らないですよ。言ってませんから。ウソですね。
鯉花さんからは漏れてないのかな?
知りませんけど、でも本当に一部だけだと思います。教えとかないと変な感じになる人には言ったんじゃないですか。
雛菊さんとか。
そうですね。
小助六師匠が書いてたね。2人とも羽織紐の結び方がおなじだって。
喧嘩結びです。喧嘩のときにすぐ羽織が脱げる結び方です。たまたまですけどね。教えたわけでもないし。
喧嘩結びなんてカップルには縁起悪いしね。師匠には事前に報告したんでしょ?
ええ。ぼくの師匠から先に。松鯉先生はきっと、そういうのは男の方から先にすべきとおっしゃると思って。
師匠はなんて?
喜んでくれましたよ。
2人の関係知ってたの?
いえ全然。
松鯉先生は?
これが、一緒になると思ってたよと言われました。
ほんと? さすが人間国宝。
彼女からご報告があります、ってご挨拶の前に電話してます。そのときに先生、めでたいことだね、って返事しまして。そして「もしかして晴太さん?」って。
すごい観察力だよね。でも、鯉白さんは全然知らないんだ。
あんなに仲良かったのに。
ぼくは鯉白アニさん大好きですよ。言ってますしね。
キスもした仲だし。だからぼく(鯉白)も鯉花さんと間接キスしてます。
順序おかしいよ。鯉花さんが先にキスしてるなら間接キスだけど。
アニさんから噺教わったんですよ。そしたら、ひとりキチ◯イ噺にアニさんが憑依しまして。
さっきの野ざらしはそういうことだったんだね。なんの噺やるの?
あ、ネタ出ししてないんで…愛の噺ですね。
よくやる?
そうですね。
いつやるの?
今月ですね(9月21日亀戸梅屋敷の「瀧川鯉白誕生祭」)。
では最後にお客さまから質問コーナーと参りましょう。ご質問ある方…はい、ないですね。じゃまず私から。

この質問はなんだっけ?
その後鯉白さんからは、「楽屋とか寄席の片隅でキスしたことありますか?」
答えは、「ありません」。
楽屋なんか、人いなくなることあるからね。笑遊師匠が高座に上がってる最中にキスとか、ありそうだけどだって。
晴太さん最後に、子供ができての入籍ではありませんと。
これ、なかなかこちらからは言いづらいですがお話ししておきます。
結婚式の予定はないそうです。

全員高座にいるのに、太鼓が鳴る。昼席の人が急遽手伝ってくれたのだろう。

楽しい大喜利だったが、お客を見送りに出ていた晴太さん、なんだかやたら謝ってた。
「ちゃんとした落語しないで申しわけありません」だって。
恐らく晴太結婚のニュースも知らないまま、たまたまやって来たら突発イベントになって戸惑っていたお客がいたのだと思う。高座からはよく見える。
そういう人だっているだろう。つまんねえ顔しないでよとも言えない。
でも何かありそうなニオイを嗅ぎつけて来た私には非常に面白かったですよ。
ありがとうございます。

(上)に戻る

 
 

コメントする

失礼のないコメントでメールアドレスが本物なら承認しています。