国立演芸場寄席@すみだトリフォニーホール2 その2(笑福亭羽光「七度狐」)

見台と膝隠しを、前座の枝ぴょんさんが持ってくる。
非常に楽しみな笑福亭羽光師。

マクラなし。
喜六と清八という二人の若者がお伊勢参りに向かいますと、いきなり東の旅。
あ、古典なんだ。
羽光師、古典をやるのは知っているが、初めて聴く。
喜六が何の気なしに石を放り投げて狐に当てる。恨み骨髄の狐。
七度狐である。
しかもハメモノ入り。
東京の寄席で、本格的上方落語スタイルが聴けるなんて、すばらしいじゃないですか。
そういえば、春風亭昇咲さんが、羽光アニさんに七度狐のハメモノを頼まれて、上手く入れられなかった話をしていたなと。

ちなみに昨日のネタ帳で、「七戸狐」って書いていてすみません。なんだしちのへきつねって。

本格的上方落語で、非常によかったのだ。噺の内容は。
だが羽光師、なんだか口が全然回っていない。常に口ごもっている感じなのだ。
師の新作からは、こんなのを感じたことがない。古典だとこうなのか?
新作なら、語り口を自分で開発すればいい。特に羽光師の新作落語は、古典と断絶しているので、語り口を決めやすい。
だが古典だと、先人の口調というものに合わせていかないといけない。それでなのか?
ちょっとガッカリしました。

メタ新作やエロ新作だけやっててほしいなんていうのではない。古典でもって大阪の会に呼んでもらえるぐらいになっていただきたいと思ったのです。
もしかして、音楽ホールの反響に合わなかった?
そうじゃないと思う。

口跡に不満がありつつ、麦畑のシーン、尼寺のシーン、とぼけていてしかしながら怖さもあって、いいんだけどなあ。

「あさーいか、あさいか」
「ふかーいぞ、ふかいぞ」

なんて上方落語のリズム、実にいいのに。

尼寺のシーンも、恐怖を変にあおらず淡々と進めるので、かえって怖くなる。
ただ、ガイコツの踊りや、「ねんねんよ」のくだりで「ほんまに情があって」。この尼さんのセリフがなんだか詰まり気味。
で、やっぱりがっかりすると。

喜六清八が、急にできた川を横切り、そして伊勢音頭を踊らされ。
そのたび同じ村人が叩いて気づかせてくれるのだが、当人たちのほうは気づくまでにタイムラグがあって、なおも踊っている。
ハメモノも、一瞬続いている。
このあたり、たまらなく好き。
だからこそ非常に残念に思ったのです。

漫才はおせつときょうた。
出囃子は「世界の国からこんにちは」。
色物も一門で固めるのなら、ナオユキ先生となる。予定があったものか。

暑さのため、大阪では毒キノコが大量発生しているそうですよ。
そうなんですね。
いましたね、ここにひとり。
だれがキノコやねん。笑いの胞子振りまいたろかっちゅうねん。

アイスクリームのネタ。大きなおせつが小さなきょうたに向かって、お前の食べとるのはあれ、ラクトアイスや。
乳固形分が多い順に、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓や。
お前やろ、ラクトアイス芸人は。
だれがラクトアイス芸人やっちゅうねん。笑いでまわり凍り付かせたろかっちゅうねん。

記憶頼りなので違ったらすみません。でも要は、ツッコミ、ツッコミ返しからの華麗なボケ、ボケスベリという一連の流れを書きたかったのです。

前回聴いた際、面白いんだけども、おせつのいじりの表面的な部分が、ちょっとイヤな感じだったと書き残していたのを思い出した。
いじめっぽくて。
今回は、まるでそういうことはなかったので安心。
最近の漫才、コンビ仲の良さが表面的なやり取りまでにじみ出ているほうが人気である。
芸協漫才のエース、宮田陽・昇はまさにこれ。
トスを出すおせつの側に、「ほんまはそういうことやないねん」という気持ちがあるかないかではないかと思う。

後半は、漫才コント。必ずこの人たちはこうなるね。
もろパクリのアイス屋、サーティーツーが舞台。
この人たち、食べ物ネタが好きだな。

仲入りは見台なしで、笑福亭里光師。
マクラはなに話してたかな。
もう暦の上では晩秋ですけども、夏の噺を、と断って青菜。

なんだか、上方の中堅師匠の雰囲気が出ていて非常によかった。
いや、上方の中堅師匠、そんなに聴く機会はないけども、でもまあテレビ・ラジオや配信でイメージは持ってるから。

この青菜、どこかで聴いたことがある。
今年桂吉弥師から聴いたものに似ている。おてしょう、とは言わなかったが小皿を使わず、自分の左手に鯉の洗いを乗せるもの。
直接教わっていても、驚きはしない。
東京だと、「旦那、これは直しじゃねえすか」が必ず入るが、上方のものは「柳陰」のまま。

かみさんの描写、風呂に誘いにくる大工の描写、青菜嫌いだがわけがあるらしいと頼んでやる描写、ことごとく引っかからなくて、実にいい感じでした。
青菜は東西ともども、普通にやればいいのに引っかかってしまう人が多い、落とし穴一杯の噺だと思います。
柳陰だと思ったら焼酎、鯉の洗いだと思ったらおからの炊いたんだが、いちいち大げさにやりたがる人が多いと思う。

続きます。

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