新宿末広亭の芸協(その1・祝二ツ目昇進)

【昼の部】
寿限無 りょう治
元犬 昇りん
できたくん
新聞記事
野狐三次「木っ端売り」 ひまわり
(換気仲入り)
コント青年団
漫談 愛橋
街角のあの娘 鯉朝
酢豆腐 小文治
弥次郎の改作・演題不明 蝠丸
東京ボーイズ
鍋草履 歌春
(仲入り)
時そば 鷹治
今丸
借家怪談 松喬
堀の内 笑遊
ボンボンブラザース
らくだ 文治
【夜の部】
たらちね 幸吾
権助提灯 昇吾
山上兄弟
ん廻し 仁馬
大安売り 昇乃進
コント山口君と竹田君
次郎長伝「三十石船」 太福

 

コロナ明けの寄席に、ついに行ってきた。
めったに行かない新宿末広亭であり、さらに頻度がやや少なめの芸協の芝居である。
まあ、よく行く寄席である池袋、鈴本、黒門亭がまだ開いていない。新宿か浅草か、どちらを選んでも久しぶりになるのは当然。

末広亭(正式には末廣亭)は、なんと2016年12月上席以来だ。
それまで全然行ってないわけじゃないが、ブログ始めてからは2度目となる。
行かないぞと決意していたわけではないのだけど、私の目にはどうしても池袋の番組がよく見える。
そして、末広亭は初心者向けの寄席だという印象が抜けない。持ち時間とか、演目とか、そして客も。
しかしこの芸協の芝居、番組がなかなかいい感じ。
コロナ明けの落語協会、喬太郎師の芝居は行けなかったが、でもこの席も悪くないと思う。それに、混雑の激しい喬太郎師の席ほど神経使わないし。

本日行ってきて、結構お腹いっぱいだ。
夜席の仲入り前までいるつもりだったが、玉川太福さんの浪曲を聴いて帰ってきた。夕食も作らなきゃいけないし。
久々の末広亭、やはり初心者向けだ。その感想は変わらない。だけど、初心者向けだということの、ネガティブなイメージは一掃された気がする。
末広亭には、落語の基礎が詰まっている。池袋にはない要素。
私も落語ファンとしてそこそこ年数が経ち、一周まわってこの基礎に充ちあふれた寄席を、実に楽しく感じたのである。
末広亭が、「お帰り」と言ってくれている。
ただいま。
しかし、マスクしたままで落語を聴くのは結構辛かった。仕方ないね。

12時開演だと結構忙しい。
早めに家を出て、3か月借りっぱなしだった図書館の本を返しにいったりして。
久々に桂花でラーメン食べたら、もう時間。
末広亭は売店を閉めているということで、伊勢丹で少々仕込んだり。
昼の主任、桂文治師が公式サイトに割引券を出してくれている。
プリントアウトして、住所氏名を書いてテケツに出して、500円引き。2,500円。かわら版割引(300円)よりでかい。
個人情報ぐらい、なんでもないぜ。必要ならマイナンバーだって書くよ(どんな必要だ)。

座席は、市松模様に着席禁止になっている。
まあ、そんなに多い入りではない。
トリの文治師は毎日出ているが、この日に来たのは上方の笑福亭松喬師をぜひ聴きたかったから。
東京の寄席で松喬師が聴けるなんて、とても幸せなことである。
この芝居、上方枠があって、他には上方落語協会会長の仁智師なども顔付けされている。
二ツ目が多く出るためか、円楽党や立川流が出る枠はなし。

この芝居は、二ツ目昇進披露を兼ねている。
ビフォーコロナの3月には、落語協会の新二ツ目を観た。春風亭朝枝さんが拾い物であった。
この芸協の芝居はどうか。
昼の、全太郎改め昔昔亭昇さん、夜の、馬ん次改め三遊亭仁馬さんの二人、とてもよかったと思う。
二人とも、前座時代にそれぞれ一度聴いて、その高座を褒めている。
大したことは書いてないのだが、全太郎さん目当ての検索は、旧Yahoo!ブログ時代から結構あった記憶がある。

昇(のぼる/「しょう」と読むと本名でもある)さんは新聞記事。
「タイ」を思い出すおなじみの場面で、「兄貴の結婚式で出たやつ」と問うと、「豚のバナナ蒸」という料理が出てきて、爆笑。
花嫁が、タイの交換留学生なんだって。ここで思わぬところから「タイ」(を交わす)を思い出す。
師匠、桃太郎についてのマクラで、師匠の教えを語る昇さん。
「噺家は、声の大きさが5割、間が3割、それからセンスが3割だ」。足して11になっちゃったよと。

仁馬さんは、前座時代がばんじ、二ツ目になってじんば。さかさまになったので逆バンジーと覚えてくださいと。
三遊亭小遊三師の型の「ん廻し」であった。リズムとテンポよく、言い立ても楽しい見事な一席。

明日はまず、お目当ての松喬師から取り上げようかと思います。

続きます。

 

作成者: でっち定吉

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