国立演芸場14 その3(口上)

3日目にしてこの日の演題演目一覧を出します。

幼き日の家光と信綱 紅希
壺算 昇也
粗忽の釘 小笑
マジックジェミー
落語禁止法 米助
(仲入り)
口上
最終面接 昇々
もぐら泥 昇吉
ボンボンブラザース
拝啓15の君へ 羽光

 

仲入り休憩後の口上の模様。
下手(左)から、昇也(司会)、小笑(新真打)、昇吉(新真打)、羽光(真打昇進披露)、昇々(新真打)、米助。
全員黒紋付、袴姿。袴は黒や茶とは限らず、カラフルである。

披露目は通常、1人か2人のために行われる。
この日は、披露目の対象となるのは、トリの新真打、笑福亭羽光師である。
普通、口上に並ぶのは、羽光師の師匠・鶴光をはじめ、芸術協会会長・昇太などということになる。
しかし新真打が勢揃いする披露目という、珍しいパターン。「偉い人」は芸術協会参事のヨネスケ師だけ。
羽光師だけが両手をついて、顔を上げてみんなのおもちゃになっている。
当然、羽光師以外の新真打は、口上をする側。
そして実に珍しいことに、二ツ目が司会。昇也さん。
番組トップバッターで出た際は、「私は今日は司会はしません」とわざわざ言っていた。ヨネスケ師につかまって司会をしろと言われるので、早めに帰りますなんて。
もちろん予定の司会。今後も芸協では、司会要員として披露目に引っ張りだこなのではないかな。
ヨネスケ師に、「ちゃんと着物持ってるじゃねえか」とツッコまれ、まあそうなんですがと返す。

全員の紹介。
まず三遊亭小笑師から。
司会の昇也さん、「鹿児島県出身です」で紹介を終えてしまい、本人にツッコまれる。
改めて、成金のマスコットですと。
春風亭昇吉師は、東大出の真打であり、私の兄弟子です。先ほどヨネスケ師のYou Tubeの撮影もしてました。
主役の笑福亭羽光師については、なんて言ってたかな。エロ関係だったか、芸人上がりの経歴だったか。
春風亭昇々師については、「私の兄弟子であり、古典新作二刀流、昇太一門の総領弟子であり、そして桂文治の愛人」。
昇々師はこれを受けて、よくそんなこと言われるんだけど、今回の披露目で文治師匠、まだ並んでくれてないんだよと。
ヨネスケ師については、やはり隣の晩ごはん。

小笑師は、羽光師のケチエピソード。
羽光さんは賞レースを獲りまくった。私はひとつも獲ってない。
獲りまくった羽光さん、みんな貯金して吐き出さない。
司会の昇也さんが来年真打になれたら、祝儀を弾んでやって欲しい。
じっとしてなきゃいけないのに、思わず顔を上げる羽光師。

次が昇吉師。この人の羽光師への口上に、激しく引いた次第。
国立の披露目の前に、大須演芸場で披露目があった。
その際、お囃子さんや前座さんに、私は祝儀を切りまくったが、羽光さんは全然出してませんでした。
そこまでは別にいいのだが、なにもオチを付けず、ケチの汚名を着せられた羽光師を救済せず終了。
意味がわからない。まあ、スベッたわけである。
毒を吐くなら、毒吐きキャラを確立していないとならないが、そんな前提もない。
主役にマイナスイメージを与えて笑いにしたいなら、最後に持ち上げないとおかしい。
トークセンスが著しく欠けているのか、それとも人柄か。たぶん、両方。
そりゃ、羽光師の高座で無視されるわ。
円楽師みたいな、売れてる人のやり方を表面だけなぞっている。勘違いも甚だしい。
ヨネスケ師がツッコんで、全体を救済しようとしていた覚えがある。

いっぽう、熱い昇々師は、熱い口上。
羽光さんとは前座の頃から一緒に新作を作ってきた同志です。
一緒に会もずっとやってました。羽光さんがいなかったら、私も新作を作れていないです。
いいねえ。これでしょう、同志からの口上は。
もちろん、通常の口上であっても、ふざける師匠がいて、真面目なことを言う師匠がいる。
そういう意味では昇々師も、普通のバランスの取り方には違いない。でも、とにかく熱いのです。
もう寄席では間に合わないけど、どこかでやるようなら、昇々師の披露目にも行きたいな。

全体をヨネスケ師がまとめるのだが、なに語っていたかな。
忘れてしまいました。
私、高座で噺家がなに語っていたかは結構覚えてるのだけど、披露目の口上はダメですね。脈絡がないからすぐに忘れてしまう。
まあ、録音もメモもしてませんから。

続きます。
 
 

作成者: でっち定吉

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