拝鈍亭の瀧川鯉昇2(上・マクラ「暑さと水鳥」)

昨年も参加した拝鈍亭の瀧川鯉昇の会。
〆切があるので断念し掛けたのだが、案外早く終わり、出向くことにする。
最初から行くつもりだったら当日出しだったのだが、行かない前提で昨日のブログ上げちゃった。まあ、鯉昇師の師匠の話だし。

直前まで目白駅付近で仕事をしていた。ぶらぶら歩く。
拝鈍亭と掛けまして、企業乗っ取りを図ると解く。その心は、増資がヤ。
でっちです。

昨年はのだゆきさんがゲスト。
行って知るが、今年はマジックの伊藤夢葉先生。
2席目に鯉昇師がちょっと語っていたが、同じ浜松出身なんだそうだ。そうは見えないが同い年でもある。

受付でもらう鯉昇師のプロフィール、今年も二ツ目時代の名前が「愛嬌」のままだった。愛橋です。
拝鈍亭の関係者は当ブログをお読みではないようだ。当たり前ですかそうですか。
12年間間違ったままかもしれませんな。

80人定員の拝鈍亭、この日は9割の入り。
開演前のご住職の挨拶によると、コロナ以降で初の大入りだそうで。さすが鯉昇師ですと。
鯉昇師は拝鈍亭12回目の出演で、最多記録を更新中。

鰻屋 鯉昇
夢葉
(仲入り)
芝浜 鯉昇

 

飄々と鯉昇師登場。例によって、しばらく口を開かない。

寄席は今でも回復しておらず、特にお年の方があまりいらっしゃいません。
でも今日はそういった方がたくさんいらしたようで。
寄席に一時期アクリル板が設置されたりしました。今日はむき出しですけど、飛沫が飛ぶようなことはありません。なにしろ熱演しませんから。
ただ夢葉さんが(高座の)前に出てやるので、前列の方は多少飛ぶかも知れません。

今年の夏は体温より気温の高い日が続きまして。
私は王子に住んでまして、浅草演芸ホールに通うときは鶯谷や上野から歩くんです。今年は、歩道で倒れている人をすでに4人見ました。
周りの人が甲斐甲斐しく世話をしてあげて、脇の下を冷やしたりしていますね。ここを冷やすと体温が下がります。
私のマンションは石神井川に面してます。仕事のない日はなにをされてるのですかとお客様に訊かれるのですが、窓から石神井川に集う水鳥を見て過ごしています。ユリカモメとかでしょうね。
水鳥も今年の夏は暑いのでしょう、羽ばたき方が違います。脇の下を冷やすように(実演)羽ばたいています。
その様子を一日眺めて、夕方になったら焼き鳥屋へ行きます。一日中鳥と過ごしています。

暑さは戻ったんですが、まだ女房が戻ってこない。お陰様で季節ごとにこんなこと言わせてもらってます。

8月の22、23と仙台花座へ行きました。ちょうど仙台育英高校が優勝したときで、誰も来ないんじゃないかと思ったんですが、十数人のお客様が来てくださいました。前売りで買ったチケットがもったいなかったのでしょう。
甲子園、相撲、競馬などのある際は、浅草演芸ホールのお客さんの雰囲気が違います。笑うべきところで笑わないので、よく見ると耳にイヤホンを挿しています。
馬券を買って、ここで涼んでいるわけです。
私はメニエール病で、キャッチボールはしたことがありません。前にボールを投げると横から「イタッ」と声がするもので見学専門でした。
野球もよくわからないんですが、昔王貞治さんに似てると言われまして。
東京ドームができる前の、雨天中止があった時代の穴埋め番組によくモノマネで出てました。
12年の信用があるからいいでしょうと、ここで立ってモノマネを見せる鯉昇師。

私が王で、亡くなった痴楽さんが張本勲です。あと、林家鉄平さんが掛布で。
王監督のフォームを真似るのですが、野球に詳しい小遊三さんとヨネスケさんから厳しい指導が入りました。
私なにしろ、左でバットを握る際に、右手が上に来るもんですから。
こんな番組も、覚えておいでのお客さまがいらっしゃいまして。

一時期、舛添要一さんにも似てると言われました。
その頃寄席のマクラで「違法ではないが不適切」という言葉を多用したものです。
笑わないお客さんは、違法ではないが不適切。
あるお客さんが楽屋に来て、「つまらない噺家も違法ではないが不適切だな」。

神田伯山で初めて講談を覚えた人が寄席に来て、落語を聴き、仲入り休憩時に大きな声で話しています。
「あのかぼちゃ屋に出てくるポーッとした、馬鹿にされている男は、将来何になったんだろうね」。
私が仲入り後の出番だったら教えてあげるんですが。あれは麻生太郎の若い頃ですよと。

今年もマクラを記憶のまま詳細に書いてしまった。
営業妨害だと言われたら、謝るしかないですが。師匠は言わないだろうけど、誰かに。
でも鯉昇師のマクラは本当に練り上がっていていつも面白い。だからよく覚えているのです。
そして「高座でこういうネタを出す私」という、過去には見られなかったメタ視点が加わっていて、さらに面白い。

続きます。

 
 

作成者: でっち定吉

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