浅草演芸ホール4 その2(演者の遊び、収録なのにやり直し高座)

ジロリがテケツの後ろでお昼寝してました。
浅草、今回もお茶の間寄席のカメラが入ってる。
なんだか損した気分。このセコな了見、わかる人にはわかるでしょう。

昼席の仲入り休憩時に入場。
事前に確認できなかったのだが、現在は飲食可能だ(アルコール除く)。でもお茶以外なにも持ってこなかった。

浅草の客は今日も、携帯鳴らしても平常運転。しょっちゅう、「プッ」と短く鳴る。
高座の最中のおしゃべりも平気。枝太郎師の客すらそうだった。
年寄りだけかと思うと、比較的若い奴が高座の最中堂々画面見てたり。
正常な客は、こんなのに腹を立てない寛容さが求められる。
昼も夜もそこそこ賑わっており、そしてコロナ禍を知る演者にとっては感慨深い様子。

カメラ入ってるのに元天歌ネタは結構出てた。協会違いだから出しやすいみたい。
オンエアでカットされるかどうかはわからない。

昼席クイツキは昔昔亭A太郎師。羽光師と成金交互。
いきなり私のときはどうぞ撮ってくださいと撮影タイム。
浅草の客は電源など決して落とさないため、直ちに撮影可能。
いいけどさ。
A太郎師、披露目の際の浅草お茶の間寄席の高座で、同じことしてたね。
放映される予定の高座でまた同じことすんのかよ。多分カットだけど。

アディーレともう1社のCM告知、それから先日トリ取りましたと語って粗忽の噺へ。
お前の親父だを振って堀の内。

実にテンポよく、完成度の高い高座。
これぐらいテンポいいと、スラスラ流れすぎてお客の頭の上を通過したりもするが、この人は大丈夫。
だからって、なにかしら強い引っ掛かりを残しておくわけじゃないのだ。
噺自体にとっかかりはない。不思議な高座。もう5年前に聴いた堀の内が蘇ってくる。
ただ、最前列のノリのいいお客に、賽銭見立ての手拭い投げてた。

枕をくるんでいるのは腰巻きじゃなくふんどしに変わっていた。
腰巻きがわかりにくいという配慮だろうか。
時間の関係らしく、隣のかみさんに怒鳴り込んだところでおしまい。
悪ノリで、最前のお客に羽織を投げ込んでいく。
次の京太ゆめ子先生がすでに登場してくる中、前座さんが羽織を回収しにくる。
再度出てきたA太郎師、回収した羽織をなぜか京太先生に着せたりして。

夜席の竹千代さんの話を掛け合わすと、昼は少々重い客だったみたい。
思い切って遊びを入れたのだろう。

京太先生、A太郎さんとは気が合いますとのこと。

その京太ゆめ子は自由漫才。
しっかりしているはずのゆめ子先生も、本当にボケが入っているようで、ネタどこまで進めたか忘れてしまうが、まるでうろたえない。
京太先生いわく、昔はボケたらツッコんでくれたのに、今ではボケとボケだって。
なに喋ってても楽しいシルバー漫才。

副会長柳橋師は黄金の大黒。
店賃の滞納についてこの時季長屋でやりあってると、この噺。
3人目の口上、こんにちは、さようならまで。
ちょっとここでうとうとしたが、この先は夜トリまで大丈夫。
柳橋師はしるし半纏をあまり引っ張らないし、羽織はわりと早く出るし、スピーディーでキレがいい。

次のヒザ前、寿輔師が少々やらかした。
収録してるからやらかすのか、収録してるのにか。
そういえば数年前に、しくじってグダグダの高座が編集されずオンエアされていた。
だからいいんじゃないですか。
いつものボヤキと客いじり。女の身投げを止めたら顔が泉ピン子だったので思わず放り投げてしまうブラックなネタから、「英会話」に入る。
金坊をゴールデンステッキと呼ぶ、いにしえの芸協新作。
ところが途中で躓いて、どこまでいったかわからなくなってしまう。
ゆっくりしたテンポの寿輔師にだって、ちゃんとリズムというものはある。1箇所躓いてグダグダになってしまうことだってあるのだ。
小遊三師が、ネタにしたヨネスケ師に乱入され、どこまでやったかわからなくなって困っている録画を持っている。
寿輔師、ついにネタ変えますと宣言。
このまま放送されるかもしれませんが、もういいです。あたしの失敗を残してもらいましょう。
恐らく「失敗した」事実はしっかり残しつつ、「英会話」の部分はカットされるのではないでしょうか。

新しく始めた噺は「生徒の作文」。
落語協会にも広く伝わっている芸協新作だが、寿輔師のものには原型はほぼない。
ハプニングがあったためもあるが、中身がほぼ思い出せない。オンエアを楽しみにします。

浅草演芸ホールの公開しているネタ帳には「英会話」と書かれてしまっている。やり直す前に前座さんが書いたそのままだ。

続きます。

(お詫びと訂正)

以前も寿輔師、収録の高座でしくじった記憶があったのですが、思い出しました。しくじっていたのは桂竹丸師でした。
寿輔師にはお詫び申し上げます。
もらい事故の竹丸師にもお詫びします。

作成者: でっち定吉

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