3月上席、末広亭の米丸追善興行は即日完売だそうで。
2階を当日券用に開けてくれるそうだが、なんだかもういいや。
ブログの商業的に考えると注目度高い席に行くべきかもしれない。実際はあんまり関係ないです。
2日の日曜はばばん場のはん治一門会と、祐天寺の扇辰独演会とで悩んだが、祐天寺へ。どちらも3,000円。
花みずきという料理屋さんでの毎月の会。初めてだ。
当日電話したら予約できた。25人で満員の小さな会。
打ち上げメインの会みたいだが、そちらはパス。
打ち上げに合わせているようで、午後4時スタート。
現地に着いたら、あ、先ほどお電話くださったでっち定吉さんですねと。
初めてですか? ええ?
扇辰師匠のファンですか? ええそうです。
年3回ぐらいのペースだが、ファンには違いない。
会場は2階。日頃はテーブルが並んでいるのだろう。打ち上げもここでやるみたい。
スタッフの人が、「からかさ(出囃子)は29番だよ」「そうこれこれ」とか言い合ってて面白い。
長岡から来られた方とか、扇辰師の同級生などもいらしているらしい。そんなことわざわざ言うんだと思ったが。まあアットホームではある。
前説がある。
この花みずき落語会はもともと圓菊一門の方がいらしてました。
サタデー寄席と言いまして。それで年10回、7年やりました。
その後日曜日に移り、扇辰師匠にお世話になりましたが、コロナで休止になりまして。
扇辰師匠がご近所のよしみでそろそろどうですかとお声かけてくださったので再開しました。
今日は落語初めてという方がお二人いらっしゃいます。
古典落語は、昭和初期ぐらいまでの設定ですね。もっと古いのもあります。空海とか。
悋気の独楽
(仲入り)
小間物屋政談
扇辰師登場。
よっこいしょと高座に上がる。
祐天寺秘密倶楽部へようこそ。
この会はね、私が世話してるんだけど私が上がるのは年1回でね。コロナ明け以降は2回目ですね。
近所なんでね、もっと上がりたいのはやまやまなんだけど。
若いのがね、佃煮にするほどいるんだよ。若い奴らを大事にしないとね。だから遠慮してね。
一番弟子の扇橋も近所なんだよ。
私と扇橋は例外的にひとりで出してもらうんだ。そのかわり真打価格で3,000円にさせてもらってね。ふだんは2,000円かな。
私はね、◯◯☓丁目(※自粛)だよ。あんまり詳しく言って、家に来られても困るけど。
寄席に行くときはね、最近はもっぱら中目黒まで歩くんだよ。
いろんな道があるけれど、花みずきさんの前も通るよ。
看板が変わったときは驚いたね。初めていらした方にはピンと来ないだろうけど、おかみさんの写真をドンと打ち出してね。
それまで地味な看板だったんだよ。
帰りに通ってカウンターで一杯やってくこともあるよ。どうぞご贔屓に。
先ほど赤松さんが説明してくれてたけど、古典落語ね、そんなに古いわけでもないんだよ。
ただね、江戸時代の噺を今やって感覚的に合うかというとね。
時そばなんて、よく残ってるなと思うよ。あれ、時間が九つから始まる時代でしょ。今使わないからね。
湯屋番もだね。銭湯は今でもあるけど、番台なんて知らないじゃない?
家見舞って噺があるんだけどね。本当は肥瓶って言うんだけど、放送に乗せる時に肥瓶じゃね。それで家見舞になったんだけど。
私もね、昔はよくやったんだよ。でも最近ウケなくなって。
こないだ前座にヒアリングしたんだ。25人ぐらいに訊いたよ。そしたら、汲み取り便所のわかるやつがひとりもいないのさ。
いやしくも古典芸能やろうって連中がだよ。
和式便所はかろうじて知ってるんだけどね。
今日、家見舞やるって思った? やらないよ。やってもいいんだけどね、このあと打ち上げなのにちょっとね。
最近、やりにくい噺が多いんだ。廓噺とかね。
五人廻しなんてやったんだけどね、全然ウケないの。ずっと時計見てたりしてね。さっき見たじゃねえかと。
田嶋陽子みたいなのがいるんだよ。
でも不思議なことにね。こないだ東京芸大で大吉原展やったのさ。そしたら大勢女性が集まってね。どうなってるんだろうね。
べらぼうでも吉原が出てるじゃない? あ、そうか今日放送だね。
興味はあるんだけど好きじゃないみたいなね。
今日廓噺やると思った? 残念だけどやらないよ。
最近、SNSにみんな書くからね。炎上まではいかないけど世間で叩かれることが多いんだよ。
あとは全然差別するわけじゃないんだけども、体に障害のある人の噺ね。
噺そのものもあるんだけど、言葉遣いね。ひとりだけ話を聞いてなくて「つんぼ桟敷かよ」とかね。着物の「めくら縞」とかダメだっていうんだよ。
片手落ちとかね。よく言われるんだよ。
あとは、こっち(頬に手)の話題とかね。すぐ叩かれるよ。
扇辰師は「コンプライアンス」と言っていた。
当ブログのタグにいきなりコンプライアンスも変なので、「放送コード」タグを入れておきます。
扇辰師は、やっていいかどうかを問うてるのではない。世間で差別を感じさせる噺がウケにくくなったことを語っているのだ。
扇辰師の「五人廻し」は、私は二度聴いた。圧巻だった。二度目は当時小学生の息子にも聞かせてやれた。
あれを楽しめない人がいる事実は、決して想像の外にはないけれど。
盲人の噺も扇辰師はすばらしい。麻のれん。さすがに季節が違うから今日はやらないと思ったが。
ちなみに「にっぽんじんかおまえ?」という典型的クスグリが左翼メディアのリテラに叩かれた(立川志らく師が入れたというので。実際には前座だって入れる)という話題が出るんではないかと一瞬思った。
別に、怒りに満ちた社会派の語りなんかではありません。その証拠に私は聴いててどんどんくつろいできたもの。
ただ、当ブログにその様子を書くことで、なんて噺家だと一方的に怒る人が出るかもしれないが。
(3月3日の午前7時にアップするつもりだったのに、酔っ払ってたせいか2日の午後10時前に上げてしまいました。翌日気づきました。おかしなこと書いてなくてよかったですが)