神田連雀亭ワンコイン寄席の顔付けを何の気なしに見てみたら、今秋真打昇進の入船亭遊京、そして北とぴあを獲って飛ぶ鳥落とす勢い笑福亭希光の名がある。
ちょっと出かける。
メンバーがいいのでつ離れしている。16人だそうで(希光さんによる)。
前説は希光さん。
15分前に客席覗いてみたら男性だけで。
今見てみましたら女性もお越しになって。ありがとうございます。
諸注意のため出てきたんですが…皆さんいい大人ですし、大丈夫ですよね。
結局注意なしで去っていく。
トップバッターは、当ブログで3回くらい「私は誰でしょう」の人。記事にしなかったことも一度ある。
立腹するほどひどい高座ではないが、今回も名は出さず批判。
「スタンプカード芸」である。クスグリを教わったとおり残らず入れる芸を、私はこう呼んでいる。
クスグリ全部入れないと噺を終えられないらしい。
また、「たらちね」はバリエーション豊富な前座噺で、クスグリの種類が非常に多いのだ。
全部入れたって面白さは増えない。だいたい逆の結果。
そしてなぜか本編に入る前の古典ジョーク(落語由来というわけではない)が、故米丸師みたいな昭和30年代の口調になってしまう。
先人を引き継ぐ古典落語だからって、最後は自分で作りましょうや。
演者のキャラは悪くないのだが、スタンプカード芸をされると客の脳内台本との心地いいズレが生じないため、予定調和の塊。
最後はだんだん飽きてくる。
この点、明日書くトリの遊京さんは自分で作り上げた古典で素晴らしいものだった。
続いて笑福亭希光さん。
当ブログでは、なかなか大きなアクセスを集めるようになった人。
上方古典落語の名手で、新作も面白い。そしてマクラの才人。
マクラは練り上げた作品ではなくて、アドリブ漫談。
ワンコイン寄席は3人平等です。同じ二ツ目の身分です。もちろん香盤はありますけど。
持ち時間は平等にひとり20分で。
ところが、15分で降りてきましたよ。
トリの兄さんに時間をたっぷり使ってもらおうということでしょうか。
こういうとき悩みますよ。
僕も早めに降りるか、それとも僕で調整しようかですよ。
前、25分の時間もらって35分やっちゃったことがあって。難しいですよ。
平等といえば、今日はたくさんお越しいただきましたけども、ここの木戸銭、割り切れないんですよ。
昼は4人で1,000円なのでいいんですね。ワンコインはお客さんが3の倍数でないと割れません。
ワンコイン、600円でもええんちゃいます? 600円だったら来ないという方いますか?
今日は受付の遊京アニさんが、15人で確定しましたと言って木戸銭楽屋に持ってこられまして。
そしたら本番始まってからひとり来られまして。またアニさん500円持ってきました。
100円玉で入場される方もいますので、それを使って、最後の方が200円ふたつと100円の山に分けました。
私別に、最後に来られた方を非難してるわけじゃないですよ。
今喋ってる内容は、出てきてから考えたものですね。
こんなん喋ってたらもう8分経ちました(場内爆笑)。そして、今からやる噺は15分掛かります。
早速悪いほうの予想が当たりました。
今から何やるか、よく「考えてません」なんて言いますけど、だいたいカッコつけだと思います。僕の場合はそうです。
事前に「これやりたい」と宣言することもありますよ。先に出る人に配慮してもらうわけです。
一方、いえ先になにやってもいいですよという人もいます。それでも、実際は決めてると思います。
4月はこの噺を集中してやることに決めまして。
ちょっと時季外れですけど冬や夏にはできません。
最近聴いた方は申しわけないです。
上方落語なんですけど、東京にもあります。
誰から教わろうかと思ったんですが、結局東京にいる上方落語の師匠から教わりました。
このあたりでは羽織を脱いでいる。最近羽織の脱ぎ方をまとめたばかりなので、いろいろ気になって仕方ない。
上方落語の師匠とは、亡くなった雀々師のことか。
最後にもう一つマクラを。
神田川の桜を、キセルをくわえて眺めている方がいたんです。
羽織着てるんですよ。
気になって近づいたら、羽織の下はオーバーオールで、スニーカー履いてました。ガッカリです。揃えて欲しいですね。
いや坂本龍馬かと。
本編は鼻ねじ。
珍しさからいうとかなりのもの。
雷門小助六、桂小南(テレビ)、笑福亭たま(ラジオ)で聴いた。
花見の季節限定の噺。
隣の学者が、商家の桜の枝をちょん切っているのが頭にくるので、定吉を隣に行かせて掛け合い。
返答は「塀越しに隣りの庭へ出た花はねじょがたおろがこちら任せ」。
捻じっても手折っても自由。
民法改正ではみ出した枝切りは現在可能になったが、少し前まで、根は切れても枝は切れなかった。
ご近所問題を先取りした噺。
定吉が隣家の反応を主人に伝える際にちょいちょい奉公の不満を混ぜるのが楽しい。
登場人物すべてが冗談めいているのがいい。
珍品でも落語世界の芯を打ち抜く噺。