珍しく連休中にどこか連れてけと言われた。よし、いいのを見繕いましょう。
普段夜は出歩きにくい分、夜席へGoだ。
鈴本演芸場の4月下席は人間国宝雲助師の主任で、廓噺ネタ出し。
べらぼうコラボ企画。
楽日の30日は「木乃伊取り」。好きな噺。
連休といっても平日のしかも夜で、控えめの客席でスタート。
| 黄金の大黒 | ぼんぼり |
| 粗忽長屋 | 白浪 |
| ストレート松浦 | |
| 車内販売の女 | 駒治 |
| 長短 | 菊太楼 |
| あまね | |
| 今どきの作文 | 百栄 |
| 穴どろ | 今松 |
| (仲入り) | |
| アサダ二世 | |
| 浮世床(夢) | 馬石 |
| 猫八 | |
| (ネタ出し)木乃伊取り | 雲助 |
ちょっと遅れて鈴本へ。
もう前座は上がっているので後ろで聴く。
前座なのに黄金(きん)の大黒かよ。前座が掛ける噺じゃないし、初めて聴いた。
披露目だったら、めでたいこの噺をやってもよさそうだけども。
さてこの初めて聴く前座、やたらと上手い。主任の孫弟子、桃月庵ぼんぼりさん。
前座で上手い人は「棒読み+α」の人が多い。こちらとしてもそれをよしとしている。
だがぼんぼりさんは、普通に演技が上手い人。
落語協会の前座香盤見ると、このあたりは上から下までのきなみ上手いと思うのだが、その中でもこの人は二ツ目っぽい。
「こんちは」「さようなら」はなくて、坊っちゃんの頭を金槌でぶん殴ったところで降りる。
続いて、今度は桃月庵白浪さん。ぼんぼりさんの兄弟子。
今年初めて聴いたのは、この頼りなさげな人だった。
番組トップバッターから粗忽長屋。
前座が黄金の大黒で、二ツ目が粗忽長屋か。こういう日なの?と思ったらこの後は普通だったけども。
寄席で二ツ目がやる粗忽長屋だなんて、初めて聴いた。
しかし、こんな出番で掛けるだけあって、軽くていい感じ。場面展開が早い。
そして、粗忽の八っつぁんを、ややマニア度高めのファンに最速で納得させている。
師匠・白酒のユニークな粗忽長屋に準じているのだが、結末はさすがに変えていた。
八っつぁんに連れられて雷門に戻る熊さん、最後まで死人が自分であると納得しない。
「この目のあたりがお前にそっくりじゃないか」「俺一重だけど」
熊さんは、「これは吉公の野郎だ」。
なので八っつぁんたちは吉公を呼んでくる。吉公は、「俺、トメだけど」。
登場人物がどんどん増えて終了。
ふざけてるな。
白浪さんはなにか仕掛けずにはおれない人みたい。
女性の前座さんが高座返しをしている。初めて見た。
一瞬、金原亭杏寿さんがいると思った。つまりスラリとした人。
終演後調べたら、噺家ではない。太神楽の翁家丸果さんである。4月に楽屋入り。
ちなみにもうひとり女性が見切れていたのだが、同じ身分の翁家日和さんらしい。
ふたりとも国立劇場の研修生上がりだ。
数年後に二人でペアを組むのかもしれないな。
丸果さんの師匠は勝丸師。日和さんの師匠は和助師。
噺家でないのは残念な気もするが、久々の女性前座ではある。
ディアボロ(中国ゴマ)から入らないストレート松浦先生は初めて見た。
お手玉と、デビルスティック、そして皿回し。
どんどん進んで古今亭駒治師。
大江戸線でやってきたら、隣の兄ちゃんがスマホを覗き込んできた。「覗かないで」と打ってみたら、「はあ、覗いてねえし」。
いつもこれ振ってお客さまのレベルを測っています。今日は中の下です。
いつもここまでマクラで聴くわけだけど、「中の上」のほうがいいんじゃないかといつも思う。
今日は雲助師の席で、来てるファンは上の中だと思う。どうでもいいが。
新幹線の車内販売がなくなってしまいまして、残念です。
車内販売の噺です、と「車内販売の女」。
駒治師の池袋の初トリの初日に出た噺。久々だ。
ちなみに舞台を神宮球場にした「ビール売りの女」というものもある。
東海道新幹線の車内販売、マキ嬢はエース。今日も車内で氷結を売りまくっている。
指定席を換金していつも自由席に乗っている、今昔亭駒治師匠ともおなじみ。駒治師匠は弟子の駒ンドーと駒ネチも連れている。
マキ嬢は、貧農の出身。8つを頭に15人のきょうだいがいる。
妹は吉原に売られている。
いつもの話術にほだされ、氷結を9杯買う駒治師匠。
かつてマキに戦いを挑んで敗北したタエコ嬢は、金魚売りに落ちぶれている。
そして今また新たなライバルが。しかし自分のお客には売らせないマキ。
吉原みたいな掟があるのだ。
あんたなんか、とっとと常磐線のグリーン車にでも行くがいいさ。
当時なかった新たなギャグが入っていた。新幹線の野立て看板でおなじみ、「727」を使ったネタ。
電光ニュースあるあるも入れて、実に楽しい噺。
最後は駒治師お得意の無意味な勝負である。
寄席は楽しく、くだらない。
常磐線のグリーン車とスカイライナーがネタに登場するが、ここは上野。
もちろんこれらで帰宅する人もいるのでしょう。

新幹線の固いアイス