現在、落語界はお笑い芸人上がりの人でいっぱい。
芸人を辞めて落語の師匠に入門し、前座を務めてプロの噺家になる。
まわりくどい道だが、割と皆さん売れている。こんな人たち。
- 錦笑亭満堂
- 笑福亭羽光
- 春風亭昇也
- 桂竹千代
- 笑福亭希光
- 笑福亭茶光
- 三遊亭鳳月
- 三遊亭好志朗
- 三遊亭東村山
まだいたと思うが。
NSCに入った人も含めると、雲龍亭雨花師や、三遊亭好好さんなど。
上方落語だと、ご存じ月亭方正や桂三度。
芸人から落語に来て、パッとしない人はいない。大したものです。
芸人のキャリアは、落語に活きる。
ルートとして確立した以上、今後も増えるだろう。相方に辞められた漫才師など、落語をしたくなるかもしれない。
何も、芸人時代のネタをやってるというのではない。ちゃんと落語してるのだけど。
鳳月さんなんて、笑いも極力入れない本格派の落語をしている。
さてこのたびなんと、逆ルートの人が現れた。
落語協会所属の真打・三遊亭れん生が吉本興業所属に!『復活落語会』も開催決定!(よしもとFANY Magazine)
三遊亭れん生。円丈門下。
入門時は玉々丈という名前で、これはちょっと知られていた。
二ツ目昇進時ではなく、途中で丈のつかない「めぐろ」に改名している。
落語協会で、2021年春に真打に昇進している。
同期は、和泉、燕三、㐂三郎、柳枝。寄席のトリを取っている人が3人いる。
れん生師は、このところしばらく名前を見なかった。
これは不思議なことではない。真打は毎年たくさん生まれるが、寄席のトリを取れる人は少ない。
トリを取れなくても、脇役としていい仕事をする人はいる。ただその地位を占められない人も無数にいる。
姿を見なくなってしまうことも珍しくはない。特に一門のトップである師匠が亡くなると、寄席の顔付けの点では非常に不利になる。
どうしているのかすら気にならなくても、だから別に薄情というわけではない。
そのれん生師、3年休んでいて、NSCに入学し、卒業していたのだという。
休業理由は、Wikipediaには「親の介護」とあるけど。
このたび吉本興業に所属し、休業前と同じくれん生の名で活動するのだそうで。
落語協会は辞めたわけではないから、寄席からお声が掛かれば普通に出られる。
しかし、恐らくそんな道には頼らないのではないか。
寄席に出るとしても、3月の新作まつりで1日ぐらいではないかな?
これはなんだろう?
NSCを利用して、事務所所属を狙ったものなのだろうか?
よしもと側も、落語芸人、それも今までいなかった東京落語家を増やせるメリットがあるということだろう。
東京かわら版で見つけるよしもと落語会は、メンバーが方正、三度、三四郎というところ。
ここに文三、遊方、かい枝、若手で笑利など、大阪在住の噺家が加わるイメージ。
ちなみに三四郎師は先日芸術協会の客員になったので、寄席のほうが増えていくであろう。
こんなルートができたからといって、後に続く人がたくさん出るということはあるまい。
私には思いつかなかった。
芸人から噺家になる場合、芸人としては事務所を辞めるのが普通。
しかし逆ルートの場合、噺家自体は辞めなくていいのだった。
れん生師、よしもとの芸人には後輩扱いされる。年下の先輩をにいさんと呼ぶことになる。
一方で、落語協会では引き続きアニさんと後輩から呼んでもらえる。
今後、れん生師がにいさんと呼ぶ芸人が、落語界にやってきて、再び先輩後輩関係が入れ替わったりなんかして。
興味あるニュースだが、私がれん生師に遭遇することは今後あるかどうか?
よしもとの会に行こうとは思っていない。