古今亭志ん橋一門会 その1(古今亭志ん雀「子ほめ」)

土曜日は楽しそうな会がめじろ押し。
その中から梶原いろは亭の「古今亭志ん橋一門会」を選んで予約。
この会昼夜あるが、駒治師の出る夜の部へ。夜といっても5時開演で夕方だ。
駒治師は、昼は横浜にぎわい座で鉄道落語の会をやっている。そちらもちょっとは考えたけど。

同じ月にいろは亭に2回も来るとは珍しい。
寄席にも多く呼ばれている駒治師は、たびたび聴いている。先月も亀戸で聴いたばかり。
それ以外の人は、結構ご無沙汰。
当代志ん橋師は二ツ目時代に数回聴いたが、披露目は行ってない。
志ん雀師もまた、真打昇進後初めて。5年ぶりだと思う。
神田連雀亭に出てなかったわりに、二ツ目(志ん吉)時代はよく聴いていた。まさかこんなに空くとは。
志ん陽師はもう、いつ以来かわからない。寄席では聴いてるはずだが、書き残していないので。
まあ、ご無沙汰なのも楽しいもの。

子ほめ 志ん雀
夏泥
志ん陽
(仲入り)
オコッペ本線 駒治
船徳 志ん橋
トーク 出演者全員

 

つ離れはしている。

幕が開くと、メクリは志ん雀とある。
暑い中、お米の値段が高い中、色々騒がしい中お越しくださいましてありがとうございます。
志ん橋一門会ということで、初の試みです。
我々の師匠、先代の志ん橋が亡くなって、早いもので秋には三回忌です。

しんじゃくと申します。ひんじゃくではございません。
私はもともと落語を知って入門した口じゃありません。
私は俳優志望でした。恵比寿にあるテアトル・エコーの養成所に入れていただきました。
そこで、演技の勉強ということで落語の授業があったんですね。その講師が志ん橋でした。
この時は、弟子でもなんでもないわけです。ただの生徒で。
師匠は、ただの生徒に対してはすごく褒めるわけですね。すごいね、よく覚えたね。上手いねと。
そこで勘違いしてしまい、養成所を辞めて噺家を志したわけです。
そんな昔じゃないですが、当時もまだ、師匠の住所が生徒には公開されてましたよ。だから住所は知ってました。
入門には、寄席で声を掛けたり、ストーカーみたいにつけて行ったり色々手段があるわけですが、私はあらかじめ調べて自宅へ行きました。
自宅はわかりましたが、なかなか呼び鈴が押せません。
師匠の自宅は線路ぎわです。次の電車が来たらピンポンしようと思うんですが、なかなか押せません。そして、井の頭線は3分置きにやってきます。
朝早くから行って、3時間ぐらいうろうろしてました。また具合の悪いことに、目の前に小学校がありまして。
そこに慣れないスーツを着た、スキンヘッドの男がうろうろしてるんです。しかも入門のお願いの稽古のため、ぶつぶつ喋ってます。
なんとか師匠にお会いできました。養成所はどうするの、辞めましたみたいな話をしまして。
気が変わらないなら、またあさって来なさいと言われまして。
明後日に行ってみたら早速、小学校には「不審者に注意」と貼られていました。

私が入門した次の年、テアトルエコーの養成所からは、落語の授業がなくなりました。辞められちゃ敵わないということみたいです。
おかげで師匠は仕事を一つ失いました。

今日は当代志ん橋がトリです。我々は手短に。
と言いつつ、マクラ10分、本編18分のフルサイズ高座。

噺家はヨイショも大事だと言いますけど、志ん丸アニさんみたいなようにはなかなかできませんと振って、子ほめへ。
開口一番だから前座噺ということなんでしょう。
真打の子ほめは楽しい。

八っつぁんがいきなり、タダの酒飲ませろと乱暴に迫るタイプ。
前座が語るのと比べると、さすがに勢いがある。
「しみったれ」も勢いあるが、大家が怒るようなこともなく。
お顔の色がお黒くあたりから、ちょっとうとうとしてしまった。番頭さんのくだりはまだら。

タケのうちから復活。
ときに竹さん、こちらのお子さんはあなたのお子さんですか。
タケが激しく動揺して「なんか知ってんなら教えてくれ」というのがおかしい。
もっとも八っつぁんはすでに口上モードなので、なにを言われようが最後までやりきる。
サゲは「どう見ても半分でございます」。

急に前座噺の構造が気になったのだが、子ほめの赤ん坊の母親、赤ん坊置いてどこ行ってるんですかね?

続きます。

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