亀戸梅屋敷寄席37(中・三遊亭ぽん太「不動坊」最短ver.)

クスグリだけ思い出して追記するのも野暮だけど。
げんきさんの黄金の大黒、口上の2人目(与太郎キャラ)が大家に「長生きするね」と言われ「青汁飲んでますから」。
兄弟子の兼太郎さんは「青竹踏んでますから」だった。春風亭一花さんと同じ。

続いてその三遊亭兼太郎さん。
この日はお囃子さんがいない。CDの出囃子の音が飛んでた。

最近、充実一途。
バカキャラを作り上げずにバカを打ち出す、なかなか得がたい人。
弟弟子や後輩は、こんな路線には来ない。なので唯一無二。

この日は大入りでノッたのだろう、ほぼ漫談。
足立区の敬老会の模様や、ダジャレ。
東尾久に住んでます。洗濯物がよく乾きます。あらかわく。
先日屋形船で落語したが、鉄板(この席でもやってるもの)のマクラがだだスベリ。やはり陸の上はいいです。

相撲の噺に決めてからも、なお漫談が続く。
同じく弟子入りの必要な落語とパラレルに。
モンゴル人が強くて日本の国技とは言えないんじゃないか、いやいいんだ両国ってぐらいで。

漫談で終えるのかなと。円楽党ではこれは非常に珍しいことである。
と思ったら、相撲場風景の小便のくだりだけやる。
半分垢とかマイナーなものまで含め、相撲噺のよく出る円楽党であるが、この噺は初めて聴く。

便所に行き損なった連れのため、酔っぱらいの空の徳利こっそり預かってそこにさせる。
酔っ払いが口をつけようとするので慌てて止める。
サゲを改変していて感心。
しかも被害者の酔っぱらいのほうが、人の小便勝手に盗ってすみませんと謝っている。こういう価値観の逆転が上手いひとだ。
どうせシッコウ猶予とでも言うのだろうと決めつけてたら、違うサゲだった。

仲入り休憩、超満員なのでロビーに出づらい。
ボードには今の噺「相撲風景」とあった。この表記もあるらしい。
お客さんが、女性のトイレがいっぱいなのと頼んで再開を遅らせてもらっていた。
げんきさんともうひとりいる前座さんは愛二郎さんであろうが、この人はまだ聴いたことがない。

後半は三遊亭ぽん太さんから。
いや〜、お目当てをなかなか出さないで二ツ目ばっかり並べるというね。
YouTubeの広告みたいでしよ。なかなか本編始まらないアレね。
またはGoogleの広告ですね。大きく広がって読みたい記事が読めないやつですね。
我々が入るから兼好師匠が1,200円で聴けるんですよ。
そんな卑下することもないですが。

三遊亭けろよんさんが9月に二ツ目になります。
名前は兼作です。師匠が好作だったのでそこから取って。
両国と、亀戸でも披露目があるのでお楽しみに。

うん。披露目行ってみたいな。

ぽん太さんは執念妄念残念を振る。
通常さらっとやる小噺に、顔のアクセントを加えているのがおかしい。
珍品派のこの人のことだから、夏に取り合いになる「お菊の皿」じゃないだろうなと。
じゃ、応挙の幽霊?
でもなくて、なんとトリネタ。不動坊。
不動坊を刈り込んで、このクイツキで出そうというのだ。

ちなみに本編が始まってから、どこからかスマホの発する「こんにちは」という音声が聴こえてきた。
伯山先生だったらキレてますね。

ぽん太さんの不動坊は、長屋の3人組の悪い相談から始まる。
前半にも大きな比重のある噺だが、なんともぶった切った。
吉公の野郎が大家の世話で、死んだ不動坊のカミさんもらったってよ。許せねえ。
落語家呼んで幽霊やってもらおうと思うんだ。
林家正蔵の弟子で、林家九蔵だって。一部の客大ウケ。

「四十九日も過ぎぬのに、嫁入りするとは恨めしい」これ覚えてくれ。
覚えました。
早いね。
噺家ですからね。

しかし林家九蔵は、覚えるのは早いが忘れるのも早いのだった。
とっとと夜になって、脅かし実行。
チンドン屋のホラ万さんが、チンドン屋の正式衣装で現れ、アルコールならぬアンコロで笑わせてくれる。
ただ何せ刈り込んだもんだから、ギャグだけがいきなり現れてしまう。さすがにそんなにはウケない。
「わかったか、アルコールだぞ」とでも仕込みで念押しておけばもうちょっとウケるかもしれないが。

それでも、幽霊が吊り下がってからは実に楽しい。
幽霊の不動坊に向かって、お滝さん自らが「あんたの借金全部肩代わりしたのはこの人よ。感謝こそされ、恨まれる筋合いはない」と語っているのは非常に珍しい。
そもそもこのかみさん、セリフないことが多い。
でも、このほうがいいね。

いずれにせよ、15分程度で不動坊やりきってしまうとは、これはすごい。
サゲは既存のものよりちょっと面白く改変していた。

白熱の亀戸、二ツ目も面白い。
続きます。

 
 

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