また前座のちづ光さんが出てきて高座返し。これで客の前に姿を見せるのはおしまい。
たい平師登場。
横浜にぎわい座の初代館長、玉置宏さんにはお世話になりまして。
芸人はホームグラウンドを見つけたほうがいいよと言われたんです。だからうちでどうぞと。
お言葉に甘えて2か月に一度独演会をさせていただいています。最初はこの人数の半分ぐらいでしたね。
今日は遊雀師匠との二人会で嬉しい限りです。
還暦を機に、修業し直そうということだそうで。
ただあの、袖に下がるときの丸まった背中がね。あれだけ年寄り臭いですね。
たい平師は、遊雀師へのアンサーをマクラで語る。
30分でビール5本って話ですけど、その前段階があります。
上野の※※ってお店です。コロナで商売やめちゃいましたけども。
前座のときに飲んでたら、店主があんちゃん前座だろって言うんですね。池袋で観たよって。
出世払いだよということで、ビール5本にやきとり10本つけて500円ということにしてくれてたんです。
なかなかないお店です。
ただ、やきとりの前に問題がひとつあって。
突き出しが貝なんですけど、なんだかいつも生臭いんですよ。これを食べないとやきとりが出ません。
ただぼくは、鍛えられてますので胃袋が丈夫です。いつも食べてましたし、いつも無事でした。
ぼくは三平のうちにいたわけです。あ、三平って面白いほうですよ(客爆笑)。
師匠はこん平ですけど、近くにアパート借りろって言われたんです。でもおカネがないですと話したら、大師匠の家に行くかと言われたんですね。
しゅう平という兄弟子がもうすぐ年季明けだから、その後入るかと。
ぼくは海老名家で初めて、糸を引くご飯というものを見ましたよ。別に納豆が混ざってるとかじゃないです。
しゅう平アニさんが食えというので食べてました。
15年ものの羊羹とか、毛の生えたまんじゅうとかいろんなもの食べてましたよ。
15年ものの羊羹は、砂糖とあんこが完全に分離してました。
だから胃が丈夫なんです。
30分でビール4本飲みまして。アニさんは1本です。
やきとりかっこんで海老名家に帰ります。帰ってカレーライス3杯食べさせられたりなんかしまして。
浅草に珍しく、早稲田の女子大生が3人来てました。
先輩が言うんですよ。手紙見渡してこいって。一緒に飲みませんかっていう内容なんですけど。
俺が高座返すから、その間に渡して来いって。
寄席がハネたあと、女子大生は待っててくれました。みんなで飲みに行くんですけど、ぼくは帰らないといけませんから、最初の一杯だけです。
タクシーを奮発して海老名家に帰りまして。
おかみさんに言います。今からお風呂に行ってもいいですか。
時間は30分しかありません。
銭湯に行く支度をして、またタクシー飛ばして、みんなが飲んでるところで一杯だけやって、またタクシーで帰ります。
湯に行った証拠が必要です。また、その日が冬至で。
居酒屋でゆずをもらってきて、体に振り掛けました。
そして公園の水道で頭ガーと洗いまして、戻りました。
「戻りました。今日はゆず湯でした」
そんなことばっかりしてました。
リアル干物箱。
しかし、糸を引くご飯ってとんでもないな。
小さん宅でも弟子が率先して古いご飯を食べていたそうだが、師匠がそんなことやめろって言ったエピソードがある。
海老名家では糸を引くご飯を、息子や娘が食べてたわけじゃないだろう。弟子だけに違いない。
ともかく、たい平師の絶妙な海老名disはたまらないね。
テレビでは言わないが。
そういえばあずみさんも、師匠宅でカンピロバクターにあたった話をしてるけど。
三平宅では、屋上で家庭菜園を作ってました。
入門したときにおかみさんが訊くんです。あんた、生まれはどこ。
埼玉の秩父です。
なら野菜作れるわね。
出た。東京の人の、田舎者だったら野菜ぐらい作れるだろうという偏見。
でもプランター買ってきて、野菜作ってました。ひとりで土を下から運んで。
きゅうりを育てると、赤ちゃんみたいなきゅうりができます。ちっちゃいなりにトゲトゲもあって。
家庭菜園してるかたならご存じだと思います。
このまま大きくなるかなと思ったら、なりませんでした。先っぽが細いままで、しっぽの方だけ大きくなって。
小遊三師匠のチン◯コみたいです。
きゅうりは全滅でした。
きゅうり難しいですよ。トマトは冬でも作れるようになりましたけど。
野菜高いって言いますよね。キャベツ300円もするとか。
でも、野菜育てるのって大変ですよ。キャベツを300円で作れるってすごいことです。
秩父はきゅうりがうまかったですね。ポキンっていい音がして。
あれが季節の味ですね。
どうやら本編は千両みかんらしいと思ったところで、まだ海老名家の話が続く。
ぼくは修業がつらくて、辞めようと思ったことも何度もあります。でも、辞めると噺家になれない。
なのでつらいときは、屋上で泣いてました。
おかみさんに野菜を見てきますっていって、ひとりで泣くんです。
するとおかみさんが、あ、またひとりで泣いてるなっていうんで屋上に来て、優しく抱きしめてくれるわけです。
この話を、徹子の部屋に出たとき出したんですが。
徹子さんの前に机があるんですが、あれは大事なメモ置き場で、事前にゲストから聞いた話をあそこに書いて並べておくわけです。
ただ、そのメモが手短で。
徹子さんに訊かれました。「あなた、屋上でおかみさんに抱かれたんですって」。
遊雀アニさんとは、喋れない話がまだまだありますよ。
今日言ったこと、SNSにアップしないでくださいね。
マクラで今日1日埋まってしまいました。
喋れる話なんだから、「SNSに出さないで」はシャレだと解釈しました。
本編、遊雀師が歴史的なサゲ改変だと評する千両みかんに続きます。
私なりの作法として、サゲは書きませんがね。