落語協会からはまだ発表されていないのだが、2026年の新真打たちが独自に昇進後の名前を公表した。
Zak Ⅱなどでもすでにニュースになっている。
| 現在の名 | 昇進後の名 |
| 柳家圭花 | 二代目 華形家八百八 |
| 三遊亭ふう丈 | 二代目 三遊亭円丈 |
| 柳家小はぜ | 三代目 柳家小はん |
| 三遊亭伊織 | 三遊亭歌奈女(かなめ) |
| 入舟辰乃助 | 八代目 船遊亭扇歌 |
すでに発表されていた柳家圭花改メ花形家八百八を含め、5人全員改名。
しかもうち4人が襲名。非常に珍しいことである。
中でも目玉は、「三遊亭円丈」復活。多分、正確な表記としては圓丈。
ふう丈さんが襲名とは、一切想像していなかった。
白鳥師が襲名するのは十分ありだと思っていた。
実際、この2026年春の昇進のあとは次の真打まで空くので、何かの襲名披露があるのは確実。
そこで白鳥師が襲名というのはありそうに思っていたのだ。
打診もあったと思うけども。
白鳥師は圓朝になるのでしょうか。
師匠が亡くなり名前が空いて、それを下のほうの弟子が昇進時に継ぐというのはあるところ。
襲名披露を新たにやるのは大変だが、昇進時なら大丈夫。
最近では古今亭志ん橋、さらにその前の古今亭志ん五などそう。
三笑亭夢丸師は生前贈与での襲名が決まっていたところ、師匠が昇進前に亡くなった。
うがった見方だが、ふう丈さんは弟弟子(同時入門)のわん丈さんに抜擢で先を越されたので、その代償ということもありそう。
ふう丈さんが円丈か。
新作落語のパイオニア、偉大な師匠に比べると正直小粒な感は否めない。
まあ、名前なんてなんだっていいものではあるし、空いてたら継いで構わないものだけど。
すぐ慣れるだろう。
一つだけ確実に言えることがある。
昇進後、「三遊亭円丈」で検索すると、先代の情報ばっかり出てくるであろうということ。
これはもう、仕方ない。
小三治襲名もあるかも、とかつて思っていた柳家小はぜさんは、小はんでした。
はん治の弟子が、空いた小はんになるのは悪くない。
半分当たった。
もっとも、もっと強く予想していた名は「小半治」だったけども。
先代の小はん師匠は一度だけ聴いたことがある。2017年の池袋。
親子酒がたまらないものだった。
「なんかこう、頭がクラクラするものが欲しいんだよ」「じゃあ、目と目の間を金づちで引っ叩きましょうか」
古いクスグリに痺れた。
圭花さんは華形家八百八。
「古い名前が復活する」と菊之丞師がつぶやいてたので、あたしゃ志ん生復活のことだと思っちゃいました。
圭花さんのことだったらしい。
華形家八百八は、落語協会の副会長を務めた蝶花楼馬楽が、真打昇進時に初代として名乗った名前。
名前が足りないため真打昇進時に二ツ目名を名乗る例も多いが、今回はちゃんと真打名なのだった。
馬楽も柳家の人なので、柳家が名乗るのはおかしくはない。
入舟辰乃助さんの名乗っていた亭号、「入舟」は、みんな入船亭じゃつまらないというので付けられたもの。
本来は「入船」だったのを捻ったそうで。
今度名乗る船遊亭もまた、古い亭号。
兄弟子は当代十代目入船亭扇橋だが、この名跡は七代目まで船遊亭であった。
この亭号復活は、いずれあるんではないかと思っていた。
それにしても今度名乗る船遊亭扇歌はなんと八代目。そんなに続いたの?
と思ったら、七代目までは「都々逸坊扇歌」として数えているようである。
都々逸坊(どどいつぼう)も復活すればいいのにと思っていた亭号。
三遊亭伊織さんだけは、襲名でない改名。つまり初代ということ。
歌奈女という名はどこから来てるのだろう。
それにしても、「女」の字は珍しい。
現在、上方の桂枝女太師と、その弟子結女花さんだけみたい。弟子のほうは女性。
子供の頃「柳家つば女」という名前を知り、色っぽい名前だなと思ったものだ。
この六代目つば女も男性。五代目までは「つばめ」だったのだが。
あと、曲独楽のやなぎ南玉師匠の師匠は「やなぎ女楽」という人だった。古い文献などによく名前を見る。
女の字を使うのはいいとして、検索サジェストに「三遊亭歌奈女 ジェンダー」とか出そうな気がする。
いや、「古今亭佑輔 ジェンダー」など出てますからね。