10月3日金曜日はちょっと足を伸ばして西新井。
2年前にも出向いた東京都弘済会主催の「いきいき寄席」。当日券少数あり。
今回も柳家喬太郎師を聴きに。
昨年は立川で開催していたが、当日券はなかった。キャパの違いみたい。
前売券は地元でしか売っていないので、入手のハードルは高かった。
木戸銭は500円だが、交通費は高い。
なので都営交通の1日券700円で。
2年前もこれを使い、三田線から都電、舎人ライナー江北から最後バスで行ったら大変くたびれた。
しかし池袋から西新井に行くこのバス、当然各地を経由するわけだ。
そう思って改めて調べたら、いつもスタジオフォー行くとき使ってる三田線西巣鴨も通る。よしこれで。
西巣鴨から40分かかるけど。
帰りもこの駅に出て、三田線沿線のスーパーでいたばしPay25%還元で買い物すれば大団円。
スーパーで4,800円買い物すれば、1日券と木戸銭が出る計算。無理にそれだけ買うわけじゃないが。
豊島5丁目団地なんて未踏の地域を通り、実に楽しい。首都高だと絶景だが、下からの眺めはまるで違う。
そして楽だった。
終点・西新井駅のひとつ手前で降り、陸橋で東武の線路を越えるとギャラクシティ(足立区西新井文化ホール)。
12時から当日券発売。無事買えた。
1時の開場のためにすでに並んでいるお年寄りが多数。
| 子ほめ | わたし |
| 元犬 | 小駒 |
| 紙入れ | 馬生 |
| (仲入り) | |
| 和助 | |
| 禁酒番屋 | 喬太郎 |
前座は期待の隅田川わたしさん。
名前の紹介でややウケ。
前座なので毎日師匠のうちに通います。寄席もそうですが、師匠のうちも365日休みはありません。
楽しいことも、嬉しいことも、嫌なことも、嫌なこともあります。
本編は昨年末、黒門亭で聴いて激賞した子ほめである。
隠居の家にタダの酒を飲ませろと来る八っつぁんが乱暴この上ないのに、魅力的。
こんなことのできる前座はそうそういない。
前座どころか、柳亭小痴楽にでもならないと乱暴で魅力的なんてできない。
普通の前座さんはだから、棒読みで個性を描かず喋るのがいいと思う。
基本的には1年前と同じ。
家に上がり込む際「親の因果が子に報い」と相変わらず不謹慎。歌ってはいなかったが。
ただ、八っつぁんの口上「亡くなったおじいさんに似て」のあと、竹がすかさず「生きてるよ」とツッコむのはなかった気がする。
婆さんも生きてると否定した上で、買い物行ってるんだと説明。
地味だが会話が自然になっていい。
ちなみに「どっちか絞め殺せ」は入らない。乱暴なのに意外と丁寧。
どう見てもタダでございますのあと、極めて自然に噺は続く。
「竹の子は生まれながらに重ね着て」の下の句を無理やり付ける八っつぁん。
竹が本気で嫌がっている。
「育つにつけて裸にぞなる」で、「冗談言っちゃいけねえ」。
あ、しまいのしまいまでやって冗談落ちだ。
たっぷり展開なのに、13分ぐらい。キレのいい落語。
二ツ目が金原亭小駒さんなのも2年前と一緒。
私は立石というところに住んでます。笑った方はおわかりですが、せんべろの聖地です。
汚い飲み屋がたくさんあります。
こないだ夜勤明けらしい作業服のおじさんが、朝から飲んでできあがってました。
いかにも葛飾らしい、横に発達したおばさんが犬の散歩してました。
おばさん、おじさんにぶつかりまして。おばさんのほうが体格よくて、おじさん吹っ飛びます。
このおばさん、謝ればいいのに反撃するんですね。なによ、フラフラぶつかってきて。
おじさんは立ち上がって答えます。朝から豚の散歩ですか。
なによ、どう見ても犬じゃない。
私は犬に訊いたんですが。
動物からつなげて元犬へ。
この元犬に、小駒さんの並々ならぬ成長を感じた。
本当に細かい工夫の数々。決して派手な工夫じゃないが、先の展開が楽しみになる元犬だった。
蔵前の八幡さまでは、口入屋の上総屋さんと会わない。
人間に生まれ変わったシロが、上総屋さんを思い出して、家まで行くのだ。
嗅覚を使って。ただ、シロは上総屋さんの場所知ってるので変だけど。
前座のやる元犬は、入れると決めたシーンがだいたいたっぷりすぎる。
小駒さん、各シーンが少しずつ短いので、高揚してくる。
入っていたのは「水ぶっかけられた」「雑巾がけ」「梅干しとタクアンは食べたことない」「アジなら残らず食う」「おひつのおまんまたいらげ」「四つ足に下駄を履く」「立ち小便」「慣れるとついてっちゃう」「身の上ばなし」「猿」「鷹」「ちんちん」「ほいろ」。
下駄を履いたことありません、などどんどん削る。
身の上話も手短。オスはブチらしい。メスは毛並みのいいのといなくなった。兄弟3人はみんな死んだ。
なるほど。
改めて、世間で掛かる元犬に飽きてしまう理由がよくわかった。
小駒さんも、本来楽しいはずのこの噺に思うところがあるのだろう。