トップバッターは花いち師。
今年は3度めで、例年よりもやや少ない。ただ6席め。
ぼくは一応教育学部を出てまして。教育実習にも行きました。
小学2年生の読書の時間を任されまして。何やってもいいよっと言われたんですね。子供たちに本読ませるのでもいいし。
ぼくはオチケンだったので、落語をしました。
ものすごくウケました。信じられないかもしれませんけど。
教室が揺れまして。隣の教室から何してるんだって覗きに来たぐらいです。
あのウケが、今も超えられません。
今でも、同期が呼んでくれたりするので学校寄席行くんですね。
おそばを食べる実演するんですけど、小学生は厳しいです。
「そんなのおそばじゃないよ」「うどんだよ」「ラーメンだよ」
なので最近では、「麺食べるよ」と言って演じています。そうすると不満が出ません。
寒い体育館で学校寄席やったことがあります。
太鼓を叩いてもらうこともします。先生に叩いてもらいまして。
60ぐらいの先生が、舞台に階段あるのに、飛び上がれると思ったんでしょう。ひらりと飛びあがろうとして足をぶつけてました。申しわけないななんて。
そのときにも、おそばの実演しました。
そうしたら寒いので息が白くなりまして。
「落語の名人は湯気が出せるんだ!」
と大盛り上がりでした。
ぼくはディズニーづいてまして、元気いっぱいです。
ディズニーランド行ってきました。弟弟子の圭花さんと。
ぼくが44歳で、圭花さんは46です。おじさん二人です。
スティッチのアトラクション入りまして。
お客さんの一人をアップして、スティッチが「久しぶりだね」とか色々言ってくれるんです。
圭花さんと二人、はいはいって手挙げたんですけど、おじさんには当ててくれませんね。
これ、わかるんです。ぼくも逆の立場だったら当てませんから。
お客さんにおそばの食べ方の実演をやってもらおうというときに、手を挙げたのが酔っ払ったおじさんでした。
おじさんをやむなく指名したら、おそば食べずに奇声を上げてましたから。
パレード観て、またスティッチ行って。やっぱり当ててくれませんでした。
帰り、圭花さんと別れるときに、また行こうねって言ったら、微妙な顔をしてました。
あとで圭花さんからメールがきました。
「ディズニー久しぶりで、本当に楽しかったです。ただ、5年に1回だと嬉しいです。毎年はいいです」
今度、後輩の◯◯くんと(誰だっけ?)一緒にディズニー行きます。
ぼくの父は浜松オートが大好きで。よく一緒に行きました。
父によると、勝ったときのビールややきとりのほうが、負けたときよりおいしいそうです。
ギャンブルやる人の噺です。
わけがわからないかもしれませんが。
と振って入った、「チンチロ」はやたらと面白かったです。
新作落語は、初めて聴いたときならではの楽しさが強い。ただ、初めて聴くということは、演者にとっても手慣れていない噺の可能性がある。
この点、演者のほうは多分ちょうどこなれてきて、聴く側が初めてという最適な出会いでありました。
そして、花いち師ならではの抑揚を刈り込んだ話し方が、やたらハマる。
いや、抑揚刈り込むは変だな。抑揚はあるけど、普通の話し方と抑揚が違うのだ。
低いトーンを排し、高いトーンとさらに高いトーンで語る。
後輩を連れて中華屋へ。町中華なんだろう。今日は俺が奢るよ。
生を2杯頼んだら、店員が言う。
「チンチロやるー?」
どんぶりにサイコロ2個振って、偶数だとそのまま。奇数だと倍の量で倍額。ゾロ目だと半額。
ああやってみますと。
見事ゾロ目を出す。
餃子を頼むと、
「チンチロやるー?」
「餃子にもチンチロあるんですか。やります」
すると目は1と6。
「今日何日? あ、16日だからね。1と6だと春巻き4個」
なんと、餃子が春巻き4個に化けてしまう。でもいいよ、俺春巻き好きだもん。
でも、餃子も食べたいね。
「餃子もください」
「チンチロやるー?」
チンチロやるー、がクセになる。
ちなみに本当にこの日16日だが、この噺はやれる日とやれない日があるね。
10日とか、17日、29日じゃできない。あと11日や22日もやりづらそう。
まあ、どうしてやりたければ日付を動かすだろうけど。
春巻きに紹興酒、フカヒレまで卓に並んで大騒動。
初めて聴く新作はだいたいサゲは忘れる。まあ、忘れていいようなサゲばかりだが。
今回は、サゲもよくできていてしっかり覚えて帰ってきました。
やめられない止まらないギャンブルの本質を、中華屋のチンチロで語ってしまう。
主人公がいみじくも語る。脳汁が出てるのかもしれないと。
やむなく注文する羽目になったフカヒレが、主人公にはまったくうまくない。
以前から思っていたのだが、落語には「バクチの魅力」を描いた作品はない。
「狸賽」や「看板のピン」にバクチの魅力はない。
阿佐田哲也とかカイジみたいに、バクチの魅力を描いたコンテンツ自体はあるのだが、落語にはない。
この「チンチロ」が初めてじゃないかなと思った。
2度目のトリもうなずける、破竹の勢い。
正月のプークにも顔付けされてるし、立派なものだ。
続きます。