神田連雀亭ワンコイン寄席73(上・昔昔亭喜太郎「お見合い中」)

リブート最終回の日曜日、ちょっと連雀亭に行ってみる。
3人のうちふたりが真打昇進の決まっている人。もうひとりの幸朝さんも目当て。
関係ないがリブートに出てる戸田恵梨香の役名もいちかさんである。

お見合い中 喜太郎
たいこ腹 幸朝
豆腐屋ジョニー いちか

 

超満員。定員38人のところ、39人だそうだ(いちかさんによる)。
こんなのしばらくなかったなあ。
日曜日だから入っているのだとも限らない。裏には鈴本早朝寄席もあるし。
このお客さんたちは、この後よそに回るのだろうか。

喜太郎さんから。
いちかさんともども真打昇進ですと拍手をもらう。
もちろん、披露目のチケット売りますと。
今日のお客さんには特別です。チケットに、落語芸術協会の誇る春風亭昇太、三遊亭小遊三、桂宮治各師匠のサインを、私が書きます。

桃太郎師匠の思い出。
喜太郎、お前の披露目には間に合いそうだ(モノマネ)と言ってましたが年末に亡くなってしまいました。まだ実感が湧きません。
私の披露目に現れて、ドッキリでしたなんてあるんじゃないかと思ってます。

お前を(昇進のときに)柳昇にしようかと思ったんだけどな。
なんて師匠が言うので、ドキッとしました。
でも、まわりに反対されたからダメだ。
じゃ、言わないでください。このドキドキ返してください。

師匠に弟子入りしたときは、寄席芸人伝なんかで読んで入門は3回断られると覚悟していました。
でも頼みに行ったら、「あ、そうか」とあっさり弟子にしてもらいました。
それで、「明日から楽屋に入れ」。こんなこと普通はしません。
着物の畳み方とか教えてくれるもんじゃないんですか。
仕方ないので翌日から楽屋入りして、なにもできないのでじっと見てました。
そしたら3日後に師匠から電話が掛かってきて、「やっぱりお前弟子に採るのやめるわ」。
なんでですかと聞いたら、師匠とおかみさんと食事したとき、気を遣いすぎてたのが男らしくないと。
おかみさんは、「あの子は私をおかずにご飯食べてる」。
なので採らない。落語家はヤクザみたいな商売だ。お前みたいなやつは立川流に行ったほうがいい。
立川流のほうがヤクザじゃないですか。
ちょうどその頃、付き合ってた彼女にどうするのと迫られてまして。結婚するの?
結婚したいけど、クビになっちゃった。
無職で落語家志望で、彼女の家に挨拶に行きました。当然叱られました。
改めて師匠に、どうしても落語家になりたいんですとお願いしました。
彼女はどうするんだ。
結婚することにしました。
偉い! 男らしい!

師匠はヒモみたいな男に憧れがあるようで。

このマクラは初めて聴いた。
一度クビになってたとは知らなんだ。楽屋入りしたときも、まだ前座になっておらず見習いだったんでしょうかね。

私言ってるの、師匠の悪口じゃないですよ。愚痴です。
今日日本の話芸で桃太郎の追悼で、「ぜんざい公社」が流れますので。
今から帰っていただいたら間に合いますね。

マクラが長くて、残り10分しかない。
結婚する話とつながっているらしい、お見合い中。
あ、師匠の噺。
先日「カラオケ病院」を聴いて、この柳昇の噺はできても、「結婚相談所」とか「お見合い中」はできないかななんて書いてしまった。
やってるんですね。

桃太郎師のお見合い中はもうめちゃくちゃな噺で、あの師匠だから成り立ってるのだと思っていた。
でも、フラのある喜太郎さんなら案外面白い。登場人物をマンガにしちゃうのがコツなんでしょう。

お見合い連戦連敗の男が母親に心配されている。
こないだのは。
向こうが断ってきた。
その前は。
こっちが断られた。
その前は。
向こうが断ってきた。

古典落語「大安売り」のオマージュでしょう。

真っ赤な髪に真っ赤な唇、真っ赤な着物に真っ赤な帯、それで鼻血出してる派手山さんが今日のお見合い相手。

そういえば師匠の噺に入ってた、「童貞拾った恋だもの」というギャグは抜いてあった。
短いが、その代わりサングラス出してきてモノマネが入る。
師匠もやってたけど、使い方は違う。

「ホットでいい? この人にお湯」っていうのは師匠のにあったっけ?

「私はお湯の水女子大学。あなたは」
「ぼくはませだです」
「ませだというと理工かなにか」
「ばかです」

というやりとり、めちゃくちゃ好き。

とにかくも、桃ちゃん師匠の噺が令和に引き継がれていくのを目の当たりにした。
嬉しい限り。
新たな古典の誕生だ。
あるいは桃太郎落語は、その前の時代の芸協新作の前時代性を一掃してるのかもしれない。
もっとも、誰にでもできるわけでないという感想は変わらない。

続きます。

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