そういえば客席で寝て、いびきをかく客の話もあった。
野方警察で、署長が寝てたという(フィクションでしょう、きっと)ところから。
先日も連雀亭で遭遇したそうで。客4人だったのに。
でも(演者は誰だったか?)いびきのお客さんを起こそうとして起きず、脳梗塞だったこともあるのだと。
お客さん寝るのは、リズムが気持ちいいからだなんてこともいいますもんね。
今日は…寝てませんね。
眠くなる噺家の例として、いつも私が持ち出すのが柳家小せん師。
こないだ、書かなったけど客6人のうち2人寝てたもん。
私も与太郎みたいって言われますと振って、本編へ。
与太郎がおじさんの家に、挨拶もしないで入ってくる。
兄貴のところはお嫁さんがいて、赤ちゃんもいてかわいいや。
ろくろ首である。
10年ぐらいブログやっててなかなか遭遇しなかった噺だが、最近立て続けに聴くようになった。
柳家はん治師からも聴けた。
好きなので嬉しいです。
「おほへはんはほひい」
「なんだって」
「おほへはんはほひい!」
「なんだって、お嫁さんが欲しいっていうのか」
「よくわかったね、絶対伝わらないと思ったのに」
このオリジナルのクスグリに爆笑。
落語は、「言ってることが相手にわからない」のは普通だが、「わからないはずなのになぜか伝わる」はごく少数派のギャグ。
桂竹千代さんの「唖の釣り」で、変なしぐさをしたのになぜか役人に「悪いこととは知りながら」と伝わるのを思い出した。
それぐらいですかね。オリジナル古典落語にはあったっけ。
30にもなってふらふらしてるようなやつにお嫁さんは来ないだろうとおじさん。
婆さんの勧めで、お屋敷に連れてったらとなる。
「お嫁さんの首が夜中になるとにゅーと伸びて、行燈のあかりをなめる」
なめるのは油だが、ここはスルー。
それ、ろくろ首じゃないか? いやだよろくろ首なんて。
この後に感心。そうだあたいは、夜中になると絶対に目が覚めないんだ。
師匠からメールがあっても絶対覚めない。朝になったら着信6件。
ならいいや。
脱線はともかく、与太郎が自ら納得しているではないか。
いいね、主体性のある与太郎。
鞠のくだりはないが、「お前なんか人間の廃物利用だ」は入っていた。
ここだけでわかるわけじゃないが、落語協会の師匠(それも柳家)から教わったような気配。
お婿さんはなんにもしなくていいんだというくだりはないのでスピーディ。
サゲも替えていた。劇的ではないのだけど、結構好き。
お嫁さんが、お前の帰りを首を長くして待っている。
なんとなくこの後与太郎、首の伸びるお嬢さんと幸せにやっていくのではないかという雰囲気が残る。
このサゲのためか、お嬢さんが与太郎を馬鹿に気に入ったという説明も入っていた。
お嫁さんも主体性があるんだ。
南楽さんは本当に、古典落語のいじり方が上手い。
ちょっとだけずらしてくるのがたまらない。劇的な工夫じゃないものも、全部働いている。
前回も感じたが、やはり笑いの才能が豊かである。笑いのセンスの豊かな噺家、意外と少ない(いいけど)。
続いてピンチヒッターの春風亭昇咲さん。
私はそんなに出くわしておらず、2席目だ。
私、9人目だったんですね。
まあ南楽さんと、あと女性の美よしさんと一緒に、この会場で新作の会をやってます。
前座時代も一緒に修業した仲なんですよ。ピンチなら喜んで駆け付けます。
SNSに書いちゃダメとは断っていなかったが、どう考えても書いてはいけないだろうマクラを振る。
CMのオーディションの話。
私が書くと、昇咲さんが規約違反になって落とされると思う。
子役が、7歳の男の子と4歳の女の子。このふたりを、「4年生と2年生」って説明する。
待て。年齢が全然合わないぞ。
ただの言い間違いだと思ったが、年齢も学年も、何度かそう言っていた。
何度も言ってて気づかないんだ。
前座時代、笑福亭羽光アニさんに、七度狐の鳴り物を頼まれた話も。
入ったばかりなのでそうそうできるものではない。ましてや上方落語だ。
正直にできませんと言ったら、「お前が思うタイミングで入れればええんや」。
結局一度も太鼓を入れられなかった。
新作かと思ったら、古典落語だった。宗論。
ドイツから来た宣教師の名前は「ツンパ・デルコンクイ」。パンツ食い込んでる。
これは三遊亭兼太郎さんから聴いた。
サゲも同じ(使い方は違う)で、番頭がキリスト教徒だというもの。
ウケてたのだけど、なんか変だなと。
考えたらわかった。
昇咲さん、必ずツッコミを2回繰り返すのである。
ああ、お笑い芸人でも、こんなツッコミする人がいると白けてしまう。
伝わってるかどうか不安なんだと思う。
いいんだよ、伝わらなきゃそれで。伝わってる人もいるんだから。
笑いの才能溢れる南楽さんは、ギャグは絶対に一度である。
これは前回書いた金明竹がまさにそうで、「ラルフローレンの傘」という強烈なボケを、決して繰り返さなかった。
続きます。