また伯山先生が吠えている。
公演中の着信音どう規制? 講談師・神田伯山さん「自分が悪者役になって、鳴らさないでと言い続けないと」(読売新聞)
正確にいうと、この記事そのものに吠えている。
神田伯山 某紙のインタビュー記事に怒髪天「フザけんなよ!」「これ、俺が悪いの?」(東スポ)
読売新聞の記事のどこがおかしいのかよくわからない。
演者の味方をしている記事に平気で噛みつくのが伯山イズム。ラジオのネタと理解はするけど。
東スポの「怒髪天」はまあ、自己とメディアの脚色だとは思うけども。
正直、面倒くさい。もういいよ。
公演中のスマホ鳴らし問題、その対策にはずっと違和感を覚えている。
伯山先生を支持するファンにもだ。
ヒーロー視にもだ。
私はなにも、鳴らす客の味方ではない。鳴らす奴は絶対に悪いし、現代社会の敵。
そういう共通認識は間違いなく持っている。
金払って公演を聴きに行き、他人のスマホが鳴る、演芸ファンに取り、これがある種の災難であることは間違いない。
だが、災難だ災難だと大騒ぎして、自分の行った会を悲劇として総括してしまうとするなら、もうまるで意味がわからない。
そしてヤフコメあたりに、「鳴らした客は出禁にしろ。二度とチケット買えないようにしろ!」とかできもしないことを書いて。
できもしないことを書く人は絶対に賢くはない。
今後も伯山先生は、「自分が悪者になって」言い続け、そしてファンも「悲劇だ悲劇だ」と言い続ける。
なんだこれ。
スマホ鳴らし問題が解決しないのはなぜか。
よく考えたらわかった。これは結局、確率論なのである。
500人の客がいる。たったひとりがスマホを鳴らす。
鳴らし確率、0.2%。
500人入る会を4公演やる。4公演のうち1公演で、たったひとりがスマホを鳴らす。
鳴らし確率、0.05%。
スマホが5回鳴るトンデモ公演を、1回にすることはできると思う。
寄席でも鈴本演芸場は徹底して働き掛けをしていて、遮断装置も働いてるにせよあまり鳴らない。
私も、結構スマートに電源オフを呼びかける、あの寄席の姿勢には敬意を払っている。
それでも鳴ってるのに遭遇したけれど。
しかし、鳴らし確率0.2%を、0.05%にするのはなかなか至難のワザだ。
ましてや、絶対にゼロにはならない。絶対にゼロにはならないと思っているなら、あんなに怒るのは無益。
人間、総体としてそこまで賢くない。
無益を通り越して、客全体に不快感を分け与えてなにが得られるのか。
客全体に不快感を与えても、確率ゼロにはならない。
人間は本質的におっちょこちょいだ。
池袋演芸場で、折り畳みテーブルをちゃんと止めずに落っことす客はざらにいる。スマホ鳴らしよりずっと多い気がする。
あれに、「けしからん!」と叫ぶ人はいないと思う。
そんな怒りは滑稽だ。
先日出向いた「三三と若手」でも、公演中コーヒーを落っことした人がいた。
騒ぎにはならなかったし、前方の客は気づかなかったかも。でも私はずっと見ていたし、大いに気がそがれた。
でも私は怒っていない。
私だって、落っことしたことがある。こぼしはしなかったけど。
誰にも迷惑はかけてないが、公演開始時間を間違えたり。
なにか落っことして金属音を響かせる客もいる。
演者が、スルーできなくて話を中断してそれに触れることもある。
思わず大きなくしゃみをして、遊雀師匠に「くしゃみしてる場合じゃないよ」とネタにされる客は、しくじったのでしょうか。
スマホ警察だけ、いささか突出してはびこりすぎなのではないだろうか。
スマホ鳴らしに怒るのは個人の自由だが、伯山先生の悪い影響下にないかどうかは再度チェックしていただきたい。
そしてたぶん、かつてスマホ鳴らしに激怒しつつ、もう仕方ないなと達観した演者もきっといる。
私の見解はすでに書いている。
ムダに腹を立てるよりは、気にしないほうがずっと健康だと思う。