笑福亭松喬@ポレポレ浮世亭2 その4(一人酒盛)

再び仲入り休憩。
目を開けると見台・膝隠しが高座に載っている。
最後の一席は、ネタ出しではない演目。

松喬師はまた着替えている。

冒頭から言っていた気もするが、今年も松喬コーヒーありますのでと宣伝。
軽い味です。昨年は200グラム1,000円でしたが、価格高騰により180グラム1,000円となっております。
粉に湯を注ぎますと、私の顔が浮かび上がります。浮かび上がらへん人もいてるようです。
アラジンの魔法のコーヒーです。

毎年私は宇都宮に呼ばれてまして、交通費をもらえるものでこの会をやってるわけです。
今年はラジオの都合があって一度帰らなアカンかったのですが、その代わり明日、ここで同窓会をします。
私が一席やって、参加者の費用で交通費を出そうとこないなってまして。
明日らくだをやります。もしよかったらご参加ください。参加費6,000円です。

私はこの会は毎年、駅の上の(アトレ)パン屋さんのカフェで時間を潰してから来ることにしています。
荷物が多いもんでして。見台も持ってきますし。なので角っこの席が空くの待ってました。
やれ空いたと思ったら、おばんが、おばん、これ悪口ちゃいますけどね、愛称ですけども、おばんがさっとその隅の席取りよりまして。
東京は油断も隙もありません。まあ、その後別の角が空きましたけど。

三喬の披露目は2月からやってます。先日は東京から、蝶花楼桃花さんが口上に並んでくださいまして。
隣に桃花さんですよ。まあ、華やかですな。
●●とか××とかとは偉い違いや。

実名出してたが、自粛します。
大阪ではこんなのもまだギリセーフかなと。でもここは東京ですし、時代も令和ですからね。

さて、酒飲みの話へ。
師匠の地元、灘の酒について。
灘の酒蔵は、西宮市と神戸市にまたがります。

伏見や伊丹の酒もあるが、江戸中期からは上方といえば灘。船で江戸に運ぶと飛ぶように売れた。
これが船でもって揺れて、実にいい感じにブレンドされとったんですな。

灘の酒は運ばれる途中で「振動」によりよくなったんじゃなかったかな。
ブレンドもまあ、「水を足す」ことを考えれば間違いではなかろう。

酒屋は、水を足します。あんまり足しすぎますと酒っぽい水になります。まるで足しませんと採算が合いません。
この足し方が腕の見せ所だったようで。
酒もええもんは江戸に下ります。そやから、江戸に運べへんようなものは「くだらんもの」だったわけですな。
まあ、こんなの白鶴酒造の博物館に全部書いてありますけどな。

酒の噺を、下戸の松喬師がどう見せるか。

ここから一人酒盛へ。
今でもよく掛かる猫の災難と比べると、東西ともどもそんなにメジャーな噺でもない。
私も、あんまりじっくり聴いたことがない。
理由は簡単で、やり方を誤ると非常に嫌な噺だからである。なにしろ、友達を働かせておいて、酒をやらないんだから。
松喬師の大師匠、六代目松鶴がよかったと聴くが、松鶴のものは意地悪で酒をやらんのがよくわかったと。
師匠、先代松喬のものは聴いたかもしれないが。

さすが人柄で聴かせる松喬師。
友達をこき使うのだが、ちゃんと一緒に飲んでる気になってるようだ。
つまり、東京の小さん型。
「五代目小さん芸語録」にも、圓生のものが違うのではないかと思った小さんが、圓生没後に始めたというエピソードが書いてある。
松喬師も、これを参照してるのではないかと思うのだが。
もっとも小さんのものもちゃんと聴いたことはないけど。

灘の酒を5合もらったので、付き合わないかと声を掛ける。
あいにく、仕事がある。
ならしゃあないな。

この部分、すでに人間関係になんらかの変調がうかがえる。
酒があると聞き、呼ばれた男は、いや、なにも今日中に済ませないといかんもんやないねん。

今日はかかがいてへんさかい、お前お燗頼むわ。
カンテキあるやろ、今日は東京やから七輪やな。
殻消もあるやろ。今日は東京やから消し炭やな。

東京にかこつけて説明してるが、本当は大阪でやるときのほうが難しいはず。
大阪の客だからって、カンテキや殻消がわかるわけではない。
このあたり、鶴光師や米團治師は、古語のあとにすかさず現代語を入れるという工夫をしている。
その変種でしょう。

おお、上燗やなあ。見事や。かかは自分が飲まへんさかいにな、燗の具合がわかりよらん。

注いでもらう。
この湯飲み、1合入るねん。いや、溢れそうやろ。ちゃんと入るんや、不思議やろ。
この描写でもって、5合の酒が5回でなくなってしまうことが示唆される。よくできた噺だ。

個人的には、悪気ない人だと解釈したのだが、冒頭のやり取りからすると本当はそうでもないかも。
ただ、個人的な解釈のおかげで、「猫の災難」のように気持ちよく聴けるのだ。

1合ぐっと飲み干して、お燗が上手いとべんちゃら。
しかし褒めるだけではない。ぐずぐずするなと強気に攻めてもくる男。

ここから一気に長セリフに入り、やってきた男はただ、こき使われる様子だけが描かれる。
一緒に飲んでるのかなと一瞬錯覚するが、実は呼んだ男しか飲んでない。それはわかりやすく描かれる。
せりふなくして、糠味噌までかきまわすよう強要される友達。
古漬けを出させておいて、しっかり洗え、臭いと酒がまずくなるとひどい言いよう。

今日で終える気だったのだが、終えたあとのQ&Aもあるし、もう1日行けそうだ。
中途半端で終わるかもしれませんが。

続きます。

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