笑福亭松喬@ポレポレ浮世亭2 その5(質問コーナー)

ひどい噺という印象しかなく、ちゃんと聴くこともなかった「一人酒盛」。
こんなに楽しい噺だったとは。楽しくできるなら、やらないともったいないですね。
東京では現在、権太楼師がやる情報しかない。
喬太郎師やらないかな。新解釈がありそうだ。

そして1合飲むのは非常に速い。このため、1合飲むごとに酔いの度合いが加速的に上がっていくが、不自然さがまったくない。

思い出したようにマクラを書くが(思い出したんだが)、灘の酒がなぜ旨いかについても松喬師は触れていた。
六甲の水が湧いて出てくるから。
阪神大震災のときは、この宮水を被災者に提供した。

この噺だけ、見台付き。
パン!という場面転換がある噺ではないので、見台なしでできないことはないと思う。
だが机があると、腰を据えて酒が飲みやすいみたい。
松喬師、この噺のために見台持ってきたことになる。たいへんだ。

友達のほうはセリフが描かれないこともあり、目の前で5合全部飲み干されて初めて怒りを見せる。
啖呵を切って帰っていくのだ。
猫の災難だとこの後も友情(と近所づきあい)は平和に続くと思わせるが、一人酒盛はさすがにどうだろう。

この噺には、「人の動かし方」という、怖いマニュアルも隠されている。
人はこうやって動かす。

  1. お前だけは飲み仲間の中でも特別だ、というメッセージを伝える
  2. 褒める(燗のつけ具合、古漬けの調理具合)
  3. たまに叱りつける(言われたほうは、叱られるのは嫌なので事前に対処しようとする)
  4. 相手に喋らせる隙を与えない
  5. 考えさせない(次の指示を出す)

3なんて、本来上下関係がないとできないはずなのだ。
でもスタート時を見る限り完全にフラットな力関係なのに、いつの間にか上下関係を持ち込んでるところがすごい。
4が、長セリフで描かれる。芝居だったら、相手のセリフも入るところだが、これが落語ならではのウソ。
友情が破壊されてるのにも関わらず、ご機嫌でのんきな噺。よく考えたら、このメンタルすごい。
未聴の小さん型だと、本当に主人公が一緒に飲んでる気になるということなのだが、松喬師はやはり松鶴寄りで、もう少し意図的なんでしょうかね。
でも気持ちがいい。

というわけで、マクラも盛りだくさん、楽しい3席。
松鶴師の東京の予定は、まず5月10日のよこはまにぎわい座。
これは、「私は力入れませんので」とのこと。露の五郎、笑福亭三喬合同の襲名披露興行だからだ。
作法としてそういうもんですと。
6月20日、兵庫県立芸術文化センター(西宮)の独演会のチラシも入っていた。ゲスト柳家さん喬。
その後、文治さんに呼んでもろて末広亭に出ますとのことだが、これはいつだろう。まだ予定が出ていない。

そういえば、3席めの冒頭だったか。「座布団返しましたっけ」と気になる松喬師。
こないだ、学校寄席で訊かれましたよ。座布団はどうしてめくるんですか。
昔からそういうものなんですと答えましたら、「前の人の体温はそんなにいやですか」。

ところで独演会などの場合、高座返しってする義務あるのかな?
たまに自分で替えてる人もいるけど。

最後は質問コーナーですとのこと。これも毎年恒例かな。

「三喬さんはテツですか」
「そうです。関西には梅團治さんと、しん吉というのが有名ですが、あいつはその次ぐらいですね」

「松喬コーヒー淹れたら、喬介さんが出ました。返品してもらえますか」
「しまへん」

あとなんだったか。初めて上方落語を聴きましたなんて人からの質問もあった。

大江戸線に乗り、どこかで初日の分の執筆しようと思った。
結局代々木で降りて書いておりました。
5日間も使うとはびっくり。
来年も参戦したいものです。

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