七人の侍4 その1(三遊亭鳳志「ちりとてちん」)

思い立ってお昼のお江戸両国亭へ。
久々の「七人の侍」。2年振りである。
この間、検討は何度もしたのだけども。
七人と言いつつ、六人。
今回は三遊亭楽生師がいないそうで、五人の侍。いないって、トリになって初めて知ったけど。
テキトーな会であるが、テキトーさが好ましいこともある。

芸術協会と円楽党の真打の勉強会。
1,500円とリーズナブル。
受付には鯉朝、鯉橋の兄弟弟子がいらした。
意外と入っていて、20人ぐらいと盛況。
3日前に聴いたばかりの「ラーメン屋」が出てびっくり。季節ものでもないのに。
しかしいいものでした。

ちりとてちん 鳳志
金明竹 藍馬
品川心中(全) 鯉朝
(仲入り)
豆や 鯉橋
ラーメン屋 枝太郎

 

三遊亭鳳志師から登場。
メクリもないのに名乗らない。以後も全員名乗らない。
そんな会なのだ。

歌舞伎座行きましたら外国の人ばかりでした。
落語は来ませんね。ガイドがないですから。
落語では予算の関係で難しいようです。

インバウンド小噺をひとつ。
メモ代わりにオチだけ書いておく。「スワン」。

ちりとてちんだが、旦那が女中のお清と話している。
愛想のいい勝っつぁんを呼んできておくれと命じられたお清、自分のセリフを発する。
私あの人嫌いです。いつも歯の浮くようなことばかり言って。

お清が喋るのが珍しいこのスタイル、なんだか既視感がある。
調べたら、三遊亭好志朗さんから聴いたのがこれだった。
当時、好志朗さんが自分でこしらえたのかなと思ったのだが、原典発見。円楽党にしかないと思う。

お清のセリフが一発入るおかげで、その先すべての見方が変わってくる。
気持ちいいヨイショなのに、裏がありそうに見えてくる。
おかしな勝っつぁんを笑う噺になるのだ。
まあ、裏なんてなくてこんな人なんだと思うけど。

鯛の刺身の前に、流れるようにわさびをつまんで「からいからい!」。
これも、わざとやってるんじゃないかと思える。

腐った豆腐を崩す際、とんがらし入れないんだなと思った。
混ぜて瓶に詰めるだけ。

愛想のない男は鉄さん。
こちらは、常に尖った男。
旦那も、いろいろ連れまわしたりしてるみたいだが、旦那が本当は鉄さんのほうが好きなんだとうかがわせるようなヒントはないし、いたずらする動機も深くは語られない。

うなぎについて、「養殖でしょ」と鉄さん。
ここは旦那が、「うなぎは和食だよ」とボケてみせる。

鉄さん、腹がいっぱいだし、灘の生一本は偽物だという割には、ばくばく食べるしぐびぐび飲む。
非常にわかりやすい。
旦那も呆れているが、ほんのピンポイント以外はすべてスルー。
そのピンポイントこそ、「ちりとてちんの食べ方本当は知らないんじゃないか」である。

愛想の悪い男(私の知る限りは、寅さんと六さんが多い)が、本当にあまり食べていないスタイルをよく見る。
この鉄さんはばくばくやってるので、「腹がいっぱいなんで帰って寝酒にゆっくりやります」といういいわけが通じにくい状況ではある。
このあたりよくできてるなと思う。

ちりとてちんを口にするくだりはたっぷり。
鼻をつまむと、目に沁みる。目もつぶって一気に流し込む。
一瞬にやりとしたあと、すごい顔して一度口まで戻す。
しばし苦悶の鉄さん。

ちなみに、ちりとてちんを持ってこさせる際にお清が笑ってるとか、そういうのはなかった。
愛想のいい勝っつぁんの裏を描く以外には、お清は使わないんだなと思う。

ちなみにトリの枝太郎師が、「あいつ1年に4回ぐらいちりとてちんやってますよ」だって。
季節ものだから1年に4回もやらないと思うけど、勉強会とは言うものの、自由なんだそうだ。

二番手に紅一点、三遊亭藍馬師が出てきた。
袖から上がる際の段差に蹴つまづく。

「なにか嫌な予感があったんですけど、さっそくコケてしまいました」

稲毛に引っ越して、庭で野菜作ってるらしい。
この話、どこに行ったのか忘れてしまった。
ともかく、馬鹿なんですというフリから与太郎へ。金明竹。

満腹で眠くなり、前半は寝てしまう。旦那の断りで目が覚めた。
旦那慌てて出ていって、表でつまづいたそうな。自分に引っ掛けたアドリブなんでしょうか。

言い立てが、速い速い。
この使いの人、理解してもらう気、かけらもないね。早口で言い切るのだけ目的にしているとしか思えない。
そこまでしてスピードを上げておきながら、数回つまづくのだった。これは別にアドリブではない。
言い立てはちゃんとやって欲しいなあ。もっとゆっくりでいいんだと思うけど。

言い立ては3回のタイプ。
与太郎は面白がってるが、おかみさんも面白がっているのは珍しい。

藍馬師、声はいいと思うんですがね。

続きます。

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