リアリティ番組としての笑点(下)

笑点のファンでも、テラスハウスと同様、知らないうちにネタを信じ込んでいる人がいるはず。
好楽師なんて、本当にうろ覚えで落語やってると思っている人、多いのでは。「仕事ない」まで信じていたら、さすがに社会人としてかなり異常だが。
でも落語の世界はいい。うろ覚えネタすら、結局はご本人の人気になって返ってくる。

私は昔昔亭喜太郎さんにチケットをいただき、かつて笑点特大号の収録に参加した。
その際感じたのは、若手大喜利は、仕込みなしのガチらしいということ。
だがそこで、「爺さんの出るレギュラー笑点はすべて仕込み。若手はガチ。若手は偉い」なんて結論は出していない。
ガチだったとして、それは番組の都合。番組を作るにあたり、「ガチじゃないとダメ」なんて価値観はどこにもないはず。

笑点の演出を巡って、プロの噺家同士の闘いに発展したこともある。
柳家権太楼師は前座時代からNHKお達者くらぶに出演していた人だが、あるとき番組で「笑点には台本がある」とバラしたところ、生放送中に桂歌丸師から脅迫電話が掛かってきたという。
権太楼師の書籍「柳家権太楼の大落語論」に書いてある。余談だがこの本の編者は、フジテレビのトイレで命を絶った、元ニッポン放送の塚越孝アナ。

権太楼師はなにも笑点を貶めようとして発言したわけではなく、噺家の能力に対する世間の誤解を解きたかっただけのようだ。大喜利のアドリブで勝負するわけじゃないんだという。
本気で後輩を恫喝している歌丸師も、この件に関してはいささかみっともなかった。

テラスハウスは、あまりの罪の重さに打ち切られた。
笑点も、若者ではないが純朴な年寄りを騙しているという評価だってあり得なくはない。別に番組が積極的に騙してるわけでもなんでもないのだけど。
さて、「上」で展開した左翼文化人批判と、笑点台本問題とがどうつながるか。
師匠談志にひどい目に遭わされ続けた恥辱を晴らすため、他人に上から当たりたくなったがゆえに(想像です)、左翼ツイートを始めた立川雲水。
この私怨にまみれた立川流の二軍が、こんなことを言っていたのだ。

「笑点は台本だからあんなもの俺でもできる」と、素人の酔っ払い親父が、ホッピー片手にわめいているのはいいとしよう。
だがツイッターでクスリともできないネタを垂れ流しているポンコツとはいえ一応プロ、いったいどの立場からものを言っているのか。
三平に代わってあそこに座れば、自分のほうがウケを獲れると思ってるのか。
ある種本気でそう思ってるんだろうな。ネタをもらえれば俺だってできるが、でもプライドがあるから自分で考えるけどな、みたいな。
弱者に寄り添えない左翼発言は、自分の仕事を減らすだけ。病気だと思えば仕方ない。
しかし、力量もなくせにベテランをdisったこのツイート、落語ファンとして数段アタマにくる。
大嫌いな師匠、談志の始めた番組に対する歪んだ復讐心もあるのだと思う。
立川流でも、晴の輔師とか、こはるさんとか、笑点に連なっている人たちもいる。落語界をタフに生き抜こうとするのに、ポンコツ先輩から貶められるとは気の毒だ。
いずれ、まともな立川流の噺家は、昇太師と親密な志の輔師の主導で芸協に統合されると見ている。
最終的に雲水みたいな、すねた落ちこぼれだけがフリーとして取り残される形になる。
ひとりではやっていけないだろうに。

今回はどうも、書き洩らした内容がたくさんある気がします。またいずれ追加で。

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作成者: でっち定吉

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