上方落語でセクハラ提訴

嫌なニュースが出ましたよ。

女性落語家がセクハラ提訴 上方落語の男性、争う姿勢

セクハラというか、酒を飲ませてホテルに連れ込んだならそれは準強制わいせつなのであるが。実際におこなわれたことを法改正に伴う新たな用語でいうと、もっと強い準強制性交等。

といっても今回はあくまで民事事件であって、刑事事件のように実名報道はない。
水面下ではきっといろいろあっただろうし、刑事事件化も考えたんじゃないだろうか。
少なくとも、報道している共同通信とは、告発者は最初から歩調を合わせている。

被害者が誰かだが、後ろ姿だけ写真で出ている。
後ろ姿だけでわかるほど詳しく知っている人ではないが、これで誰なのか特定はしました。名を書いたりしないけどね。
関係者なら、写真だけで一発でわかるはずだ。当人にも後ろ姿とはいえ覚悟があるわけである。

女流落語家も増えたが、被害者はまさか桂ぽんぽ娘さんではない。この人は下ネタ落語。
ツイッターを最近更新しているばかりの人たちも違う。
まあ、このぐらいにしておこう。ヒントを探して私のブログに来た人もいるだろうけど、興味本位で事件を拡大していると二次被害の加害者になりかねない。
そのうち被害者だけでなく、加害者の名も出てくるだろうけど。
加害者、たぶんだが、同じ一門ということはないと思う。

つくづく残念な話。もちろん、被害者に対し「我慢して欲しかった」なんて言うんじゃないですよ。
コロナ禍でも話題を集め、クラウドファンディングで資金も集めた、希望に満ちた東京落語界のニュースがあったばかりなのでなおさらなのだ。
落語界というのは旧態依然の世界なんだなと、一般人にそう思われる。思われるも何も、ある種事実だということがよくわかるニュースだが。
つい最近、快楽亭ブラック師のセクハラ裁判もあったりしたのだが。この人は極めて特殊な噺家なので、気持ち的にはスルーしていた。

しかし、落語界における性犯罪など、実際にあると想像したことなどなかった。
私のイメージの落語界は、決してそんなところではない。
東京の女流落語家たちが露骨な性的被害に遭ったりしないか、心配したことなどない。
仕事を得る代償に被害を受け入れるような恐ろしい世界ではないと思っている。
実際にあったのは、師匠のかみさんが男の弟子を物色するほうである。これも相当特殊な人の話だが。

「我々の業界は、年配の噺家にお尻を触られたら『ありがとうございます』とお礼を言わなきゃいけないんです」などというマクラのネタも、生々しくないから笑えるわけで。
女流落語家にとっては楽屋より、ストーカー的ファンのほうがずっと怖いのではないだろうか。これも想像だが。

誰のネタだったか? 楽屋でおっぱい揉ませろという師匠がいたら、はい師匠どうぞと言って差し出すんだと。
そうすると当の師匠のほうが照れて、そんなことを実行はせずに、お小遣いをくれるという。
そういう楽屋が社会的に許されるかどうかはまた別の話なのだが、少なくとも女流にとっては、立ち向かう振る舞い方も含め一人前になっていく場所。

落語界でも上方のほうが、セクハラにより寛容であって、今回の事件の遠因でもあると考えるのは、東京在住の私の偏見だろうか?
少なくとも西のほうが、女流にとっては大変そうな気はするな。
前述の、ぽんぽ娘さんのような人は別。
桂あやめ師匠も男社会でのし上がってきた立派な人だが、この人もまた、セクハラに負けるようなタマじゃなかった。
逆に、後輩の男の噺家に性的ないたずらを仕掛けるような人だったのは、以前喬太郎師の番組でバラされていた。まあ、令和の世ではそれもまたダメだけど。

「男社会では強い女にならなきゃダメ!」
そこまで言うのは、非常に余計なお世話であるし失礼だから、言わない。
今回も、シャレの世界にとどまらなくなってしまったから提訴に踏み切ったのだろう。
考えてみると、辞めた女流だってたくさんいる。辞めるのは男も女も変わらない。
だが理由として「セクハラに耐えられなくなった」があっても不思議ではない。
女流を守るためには、「女流落語協会」でも作るか。
でも、そんなことしてもダメ。セクハラ客が大挙してやってくるから。

男の加害者のほうはどうなるかな。
噺家生命を奪われることにはなるまい。奪われたっていいようには思うが。
愛人DV野郎の桂春蝶ですら、禊が済んだみたいでラジオにも出ていたことだし。

しかし当事者にとってもそうだろうが、このネタはどうやっても笑いにはなりません。
救いがなさ過ぎていけない。
すべて決着した後で、顛末を新作落語にするなんてできないし。

作成者: でっち定吉

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2件のコメント

  1. 以前、落語協会所属の噺家さんに「セクハラとかないんですか?」と聞いた事があります。
    「うちの協会は歌る多師がおっかないからあり得ません」と笑って仰ってましたが。
    「逆に若手女流に礼儀もビシッと仕込んでくれてますから」とも。

  2. 「芸協にはあります」ってことじゃないですよね・・・
    いずれにしても東京の落語界でセクハラ事件が起こりそうなイメージは、私にもありません。
    上方落語協会ではきっと今後、行政の専門家を呼んでの講習会が行われると思います。

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