【鈴本演芸場のうた】
寄席に来てチョーダイ
もっともっと すずもっと(もっと)
落語聴いてチョーダイ
もっともっと すずもっと
「寄席に来てチョーダイ」
そんな歌はありません。
さて緊急事態宣言下の鈴本演芸場に戻ります。今日も遅めの更新ですみません。
ジャグリングのストレート松浦先生は私は3年振り。調べたら2018年、池袋の小ゑん師匠の芝居でヒザを務めていた。
この人は、客をいたたまれない気持ちに絶対にさせない点が得難いと思っている。まあ、ちゃんとした寄席芸人はみなそうだが。
中国ゴマを見事に回しつつ、ここですぐに拍手を入れないほうがいいだろうと思いながら観る。
すると「あの、回ってますよ」。ここで拍手。
拍手の催促にもいろいろある。客が催促を潰してしまうほうがスムーズなこともある。だがストレート松浦先生の場合、引きの喋りなのでお約束まで待ったほうがよさそう。
傘を二本のスティックで持ち上げるだけでなく、通行禁止の黄色と黒の長い棒を持ち上げる芸は、以前はあったっけ?
踏切の遮断機を勘違いして、電車にはねられた歩きスマホの人のニュースがあったのを連想してしまったが。
寄席芸人らしく喋りも強化している。
先に出た市弥さんのいつもの挨拶、「イッチーと呼んでください」を引いて、「一之輔師匠を差し置いて」とチクリ。
「市馬師匠のこともイッチーって呼べるじゃないですか」。
客とコミュニケーションを取るやり方でなく、独り言としてつぶやくのが面白い。
林家しん平師は髪を染めている。
コンビニのスイーツの話。鎧塚シェフの期間限定のお菓子がやたら旨かったとか。
そこから饅頭こわいへ。
ただし設定は現代であり、どのスイーツが好きかというやり取り。
ある男は昔の喫茶店で出される、固いプリンが好き。最近のふにゃふにゃプリンと違い「プリン!」(所作つき)としっかり立っている。
与太郎はカステラに貼られる、ザラメのついた紙が大好き。本体よりおいしいこれをいつも優先的に分けてもらう。
ネタ帳になんと書かれるのかわからないが、「饅頭こわい」でいいと思うのだが。
いつもツイッターにネタ帳アップしている小ゑん師、この日は撮り忘れたそうで。
甘いものにそれほど興味のない私だが、しん平師の語るスイーツの数々、とてもおいしそうだし、語る連中も楽しそう。
若手が似たような改作をやったときに、ストーリーはよくできたとして、しん平師のように噺の細部でもって客をくつろがせることができるだろうか?
落語とは、実にもってムダを楽しむものだと思う。ムダに溢れたとても楽しい噺。
噺に出てくる「プリンどら焼き」なんて食べたことないのだが、今度食べてしまいそう。というか、女性客はこの日のうちに必ずなにかスイーツ食べたに違いない。
噺の進行は、本家饅頭こわいと同じ。ただ、サゲは変えてきていた。
甘いもの責めを楽しむ熊公に、「濃いお茶が怖いって言うと思ったろ」と言わせておいて、新たなサゲを振る。
ちょっと調べると、立川談笑師も同じ発想、コンビニスイーツ版饅頭こわいをやっているようなのだが、関連はわからない。たぶん別々に発展したのだと思う。
桂文楽師の高座は、先日の池袋で爆睡してしまった。
別に師のせいではなくて、暑い中歩き回っていたからなのだが。今回はちゃんと聴きます。
ずっとセコ文楽と揶揄されたまま超ベテランになった文楽師だが、この日出した「替り目」は師の代表作だろう。実に完成度の高い一席。
「一でなし~」の歌をご機嫌に歌い、車夫とのやり取り、帰宅してからもう一杯と、流れるように話が進む。とても楽しい。
クスグリ控えめの点に強いこだわりを感じる。たとえば「隣の亭主」はいただかない。
鼻でもつまんだらとかみさんに言われて、「はばかりで飲んでんじゃねえ」などもない。
おでんの省略も「あたしは『ぺん』と『じ』」で終わる。
替り目のような、聴き手の脳内テキストの充実している噺において、いつも聴くクスグリがないとき、物足りないなんてことはない。
刈り込むことで、新たな反応が生じて楽しいこともある。
亭主の独白も短めだ。
ロケット団の漫才は、適当具合がますます進化している。
以前はもう少し、力の入るところもあったと思うけど。
話題はオリンピックや大谷など時事を斬るが、時間も短いので次々移っていく。
冒頭の自己紹介は、「パキスタン」から「ミャンマー」に代わっていた。真剣に訂正しないので、本当にそうだと思う客もいそうな気がする。
まあ、寄席だしいいか。
締め方も「じゃあ、おしまい」と適当。
どんどん進む鈴本演芸場。
今回の寄席レビュー、下手すると4日ぐらいで終わってしまいそうだ。
それがいかんというのではないのですが。
ご無沙汰しています。うゑ村です
ブログの引っ越しご苦労様でした。家庭の事情でブログを読む機会がなかなかできず申し訳ありません。これからも面白いブログに期待してます
うゑ村さん、いらっしゃいませ。
寄席は毎日空いてますし、定吉は日々更新してます。
どうぞいつでもお越しください。