北千住で寄席定席? 国立演芸場建て替えに伴い

国立演芸場、というか国立劇場全体の建て替えは、私的にはでかいニュース。
前回書いた記事はこちら。

国立演芸場が建て替え

このたび続報のニュースが出ている。

国立劇場建て替えへ ホテルやレストラン併設 新開場は29年秋(毎日新聞)

ホテルやレストランは既報通りであり、目新しいものではない。まあ、ホテルがあればレストランも当然ある。
目新しい内容は、同じ館内に大劇場、小劇場、演芸場を併設するということ。
裏手でひっそりしている(でも駅からは近い)演芸場も一体化されるのか。
ただ計画の概要を見たら、同じ館内でありつつも、演芸場は現在と同じ側に入口が設けられるようだ。
まあそうでしょう。別にひがみはしませんよ。

そしてもうひとつ情報が。
劇場建て替えの間、代替公演はどこでやるのだろうと思っていたら、これが初めて報道されている。

<建て替え期間中の歌舞伎・文楽・落語の主催公演は国立能楽堂、新国立劇場、足立区文化芸術劇場(シアター1010)、日本青年館ホールなどで実施予定。>

え、足立区文化芸術劇場? 通称シアター1010の「1010」はもちろん千住のもじり。
北千住駅前の、マルイの入っている「千住ミルディスⅠ番館」内の劇場である。

国立能楽堂で落語やるのかなと考えていたが、能・狂言のスケジュールの合間を縫って開かれる公演は、文楽のほうがピンとくる。
そして、歌舞伎は新国立劇場だろう。
「おなじはなし寄席」では能楽堂使っていたけども。
落語という芸能を卑下するつもりはまったくないのだけど、どう考えても北千住の劇場で歌舞伎や文楽をやりそうには思わない。
やはりここでやるのは、落語じゃないでしょうかね。
北千住は浅草や上野に近いという問題点は多少あるが、気を遣うほど近いわけでない。
ちなみに日本青年館ホールは新宿だから、末広亭との絡みで落語はまず考えられない。
末広亭が潰れてしまったら別だが。

つまりなんと、足立区で、北千住で、落語の定席が開催される!(らしい)
「東京のピョンヤン」「日本のチベット」「埼玉の隠し玄関」「群馬の物置」すべて北千住の異名。全部、「悲しみは埼玉に向けて」に出てくるフレーズだけども。
三遊亭円丈師匠がご存命なら、このニュースにさぞ喜んだことだろう。
ちなみに冒頭の広告のCDでは演題が「悲しみは埼玉へ向けて」になっている。円丈全集その他では「に」なんだけど。

復活した黒門亭で12日に、柳家小ゑん師が「悲しみは埼玉に向けて」をやったはず。
このニュースを織り込めたらよかったのに。池袋でこの噺を聴いたが、小ゑん師も「1010」はネタにしてた。

シアター1010のスケジュールを見てみたら、ずいぶんガラガラだ。
今年9月に柳家喬太郎独演会が開催され、そのチケットが来週売り出されるというのは初めて知った。行こうかな。

東京かわら版を穴が開くまで見てるわけじゃないが、落語会がどの町で開催されるか、イメージはだいたい持っている。
北千住の落語会は確かにあまり目にしたことがない。そもそも劇場があること自体、頭の隅になかった。
近隣で、私の認識している落語会がよくある地域は、荒川区役所、町屋、亀有、西新井というところ。
荒川区役所前のサンパール荒川には、当ブログを始める前に「小朝」「昇太」「一之輔」を集めた春風亭の会というのがあってこれに出かけたことがある。
あと無料の「荒川ふれあい寄席」が東尾久であったので、地元のお年寄りに交じってこれにも行った。
落語自体は地域全体を見ればなかなか盛ん。少なくとも北千住にだって落語会をやる余地はあるのだ。

しかし定席となると、また勝手が違う。
なにしろ、2023年秋の両協会、新真打披露興行が北千住で行われるかもしれないではないか。
最高裁の隣から、埼玉の隠し玄関とは大変な移動だ。

もしかしたらですよ。2029年までまるまる6年間、北千住で寄席をやる、そんな可能性だってあるかもしれないではないか。
東京の寄席地図が塗り替わるかもしれないじゃないですか。
ぜひ、足立区にもこれについて声明を出して欲しいものです。区を上げて盛り上げようではないか。

まあ、会場については記事では「など」とまとめられている。
私の住んでる城南で国立定席やってくださっても全然いいですけども。
最近行ったばかりのスクエア荏原とか、落語のできるホールは数多くありますからね。

(2022/8/6追記)

続報がひっそりと出てました。

足立区と連携協力協定を締結いたしました!

なんだ、北千住は文楽やるんだって。
落語のことはまだ不明。

(2023/4/3追記)

国立演芸場のプログラムによると、2024年の1月からは、紀尾井小ホール他で代替開催とのことです。
2023年の11月、12月は開催しません。

作成者: でっち定吉

落語好きのライターです。 ご連絡の際は、ツイッターからメッセージをお願いいたします。 https://twitter.com/detchi_sada 落語関係の仕事もお受けします。