池袋下席は色物さんが2組だけ。ようやく登場。久々の笑組。
かずおさんはまた太ったんじゃないか。ビジュアルだけで面白いという反則な人。
もうコンビで38年やってますと。
かずおの遅刻噺。ある日新宿末広亭に来ないので、ゆたかが自宅に電話したら、出た。
今から行こうかと言うが、立石から新宿3丁目に10分で来れるわけがない。
なのでゆたかひとりで漫談をする。
あとでコイツがなんて言ったと思います? 俺も漫談観てみたかった。
太り過ぎのかずおは腰が痛い。整体に行っても腰が見つからないし、鍼も刺さらない。
体育座りができないんですよとゆたかに言われ、実演する羽目になるかずお。
お腹の肉と、太ももの肉により、体育座りしようとすると見事にひっくり返る。
芸人さんが常に楽しそうな舞台はなんだかいいよなあ。いい寄席漫才はみんなそうだが。
座布団を折りたたんで縛った合い挽きが高座に置かれ、三遊亭歌武蔵師。
「ただいまの決まり手」で笑組を取り上げるが、それほどはいじらない。いじるとしたらデブキャラになってしまうからか。
今日は漫談だ。久々に聴く。
ネタ帳には支度部屋外伝と書かれるのだろう。色物が挟まったばかりだが、それまで落語が続いたのでちょっとリセットする趣旨だと思う。
最近、漫談派が減ったなあと思っていたのだが、歌武蔵師はその気になれば爆笑漫談を出すのであった。
池袋のためか、力士であった過去はさらっとしか語らない。私が観察する限り意外と初心者が多かったと思うので、びっくりした人もいたと思うけど。
例によって、客に笑えと圧力を掛ける。
こんなやり方でもって、嫌な感じにしないのはこの人だけである。
ただ、先に出た弟子など見てると、作法を表面的になぞっちゃう気がするのだなあ。
本場所中なので後半は相撲のネタ。私は相撲全然見てないが、でも爆笑。
笑いの強要と、後半の間なに話してたか忘れちゃった。でも、ずっと楽しかったのだ。
仲入りは金原亭馬生師。
トリの弟子が若手真打なので、サポートにつけようというのが番組の趣旨であろう。ヒザ前に入れそうなところでもあるけど。
ちなみに2番弟子(というか同日入門)が馬玉師。この人も聴きたかったが、今日は休演で残念。代りに入ったのが志う歌師だが。
馬生師、昨年はNHK新人落語大賞の審査員にも登場し、ここに来て妙に出世している超ベテラン。
最近笑点特大号で落語(NHKに出した紙入れ)を披露した春風亭昇羊さんが、神田伯山先生の語りを引用し、馬生師の採点に文句をつけていた。
まあ、気持ちはわかるが、馬生師は「(若手のやらないほうがいい)紙入れだから7点」と言ってるわけじゃないけどね。
それはそうと、充実の馬生師、実にいい。
中継ぎででかい名前を継いだなんて師匠が、評価そのままという場合もあるが、馬生師のごとく気づいたら名人になっている例もある。
名人は言い過ぎ? でも達人ではあるだろう。
遊女につねられる青痣のマクラ。
さらっと深川、現在の門前仲町を説明し、辰巳の辻占へ。
やはり絶品でした。
心中ものなのに、とにかく呑気な男女。まったくシリアスなところがない。
呑気な噺を、ゆるい語りの噺家がのんびり語る。
「はなはさほどに思わぬけれど 今でもさほどに思わない」
辻占の文句を語る口調がすばらしい。
「はなはさほどに思わぬけれど」と明確に語っておいて、いろいろ独り言を言う。
その独り言の感じで声を張らず再度同じ上の句をつぶやいたまま、後半につなげていく。
意外とこんな語りは聴かない。超ベテランの人だってだいたい、同じ口調で繰り返すものだ。
素晴らしい古典落語で休憩に。
池袋、たぶん昨年から通信スクランブルを掛けている。
だからスマホは鳴らない。結構けっこう。
ただ、休憩時にスクランブルを切るのを前座さんが忘れているらしく、電波を求めて地上付近まで上がらざるを得なかった。
まあ、大した用事も届いてませんけどね。
ちなみにスクランブル稼働中でも、私は律儀に電源落としている。
クイツキの古今亭志ん五師は、ツカミでウケてたがなんだっけ。
釣りがテーマの新作へ。調べたら「魚男」。
新婚旅行の行き先を決めたいと奥さん。だが旦那は釣りにしか頭がない。
釣り以外で出かけるとなると、アメ横かしながわ水族館。
魚の匂いと姿があれば嬉しい。
新婚旅行と言いつつ、一度も出かけたことがないので、実は結婚して25年。
娘の名は、サヨリにイサキ。
奥さんが長崎に行きたいと言うと、旦那は知り合いの漁船に乗せてもらおうと。
結局海のない埼玉に。
派手な新作じゃないのだが、実にじわじわくる手練れの作品。
寄席のぬるま湯に浸りきって、もうたまらん。
志ん五師、今や寄席の貴重な戦力。