両国寄席7 その3(三遊亭好の助「蚊いくさ」)

昭和のお笑い名人芸

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仲入りは、トイレが大混雑。
そして、普段ない場所に席ができていて、通り抜けるのもひと苦労。
でも、多少前に空席があるのだ。ひとりの客は、席をこしらえる前に誘導したらいいのにと思ったが。

三遊亭好の助「蚊いくさ」

王楽師は好楽師の息子だが、好の助師も二世。ナポレオンズ、ボナ植木先生の息子である。
金髪で登場。いつ染めたのか。
ツイッターで、一門と関係ない人に苦言を発せられたとコメントしていた。
噺家は、薄くなるか、白髪になると金髪にするんですと。小朝師を引き合いにして説明。
高座返しに出てきていた弟弟子の、はち好さん、次の席から二ツ目に昇進して好好だが、彼も本当は金髪なんですだって。つるつるなんだけど。
先日、TVに出ていたはち好改め好好さん。きっとファンからハオハオと呼ばれると思う。

好の助師、この日の両国の演目予想をツイッターに載せていた。半分ぐらい当たっている気がするということだったが、パーフェクトに外れ。
ご自身のやる噺は「道具や」を予想していたがそれまで外れ。別に、やっても問題なかったが。
ちなみに兼好師については「千両みかん」と予想。

珍しい噺、「蚊いくさ」。
聴いたことはないが、このストーリー、なんとなく知っている。圓生あたりの速記でも読んだことがあったか?
バカな人たちが、バカな世界で楽しく遊ぶバカな噺。

働かず、剣術の稽古に夢中になる八っつぁん。蚊帳も質に入れてしまい、坊やの頭は虫食いだらけ。
カミさんに叱られ、稽古を辞めてこいと命じられるが、剣術の先生は蚊帳がなくても大丈夫だと、蚊と戦う方法を伝授してくれる。

蚊との戦い、やってるほうは大まじめなのだけど。でも了見がふざけている。
それにしても好の助師、本当に外れのない人である。
この人が顔付けされていると期待するのだが、裏切られたことはたただの一度もない。
常に噺への向き合い方が軽やかで、余裕があるところがいい。

母心

母心の漫才を寄席で聴くのは初めて。最近は女装はしないらしい。
ラメ入りの派手なスーツ。
歌舞伎ネタだが、もうめちゃくちゃ面白かった。歌舞伎は回りくどいという。
真似が上手い。
落語の合間に入る寄席の漫才が私は大好きなのだが、客の気持ちを切り替えるという目的からして、爆笑ということはそれほどない。でも、母心には爆笑。
爆笑なのだが、ネタも古典芸能ものだし、しっかりヒザの仕事になってるところが素晴らしい。
笑わせても、トリの邪魔はしないのだ。

浅草と両国の客を比較するネタでつかみばっちり。両国の人は品が良くて、ヤジったり、酔っぱらったりしないんだと。
ツッコミの関さんがやたら上手いことにも気づく。
ここまでナチュラルにボケを活かすツッコミ、寄席の世界でも意外とない。ツッコミで客がつっかえる部分がまったくない分、笑いが大きい。
ボケの嶋川さんがセリフを忘れてごまかしているのを、的確なタイミングで指摘して爆笑。
これだけツッコミが綺麗に決まると、やってる当人も楽しいだろうなと変に芸人目線。
ボケの嶋川さん、夫人がオフィスまめかな社長らしい。まめかなは円楽党を中心にした噺家が所属する芸能事務所。
母心もまめかな所属のまま、落語協会か芸協に入会しないかな。
どちらかの寄席に出ている漫才と比べても、かなり上のほうだと思う。漫才四天王には匹敵する。
まめかな所属の古今亭菊志んさんに、一門に加えてもらうわけにはいかないだろうかなんて勝手に思う。
落語協会に所属しても、両国に出るには支障はないはず。
落語の合間にぴったりの楽しい芸であった。

続きます。

作成者: でっち定吉

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