神田連雀亭ワンコイン寄席64(上・桂竹千代・スネ毛事件と令和の「桃太郎」)

今日はコーヒー豆を買いに出掛けるのが主。
明日から杉並区15%還元があるが、1日フライング。
キャッシュレス熟知してる私には、さしたる問題はない。

ついでがあると出掛けやすい。
神田連雀亭の公式ブログは、リンクしてるカレンダーが表示されなくなってしまっている。
その代わりにXに番組が載っている。
いい顔付けなので寄っていく。

桃太郎 竹千代
ぞろぞろ しん華
悋気の独楽 らっ好

天気いいのにつ離れはギリギリしていない。

連雀亭では極めて珍しいことだが、2席終わった段階で面白すぎて、非常に疲れた。
トリのらっ好さんも良かったのだが、そこまでで体力使い果たしちゃった。

前説は桂しん華さん。相変わらずすっとぼけた人で、面白いこと喋らなくても面白い。
携帯電話については、鳴らないようお願いします。私、鳴らしたことあります。

トップバッターは桂竹千代さん。

SNS時代は便利でして。我々もフル活用しています。
でもそれで困ることもありまして。
ぼくは高座からマグロを釣るという落語やってるんですよ。
座布団を紐で縛ってお客さんに投げて、それを扇子で釣り上げるという落語です。
年始にあるでしょ。マグロと闘う男たちみたいなドキュメンタリーが。あれの落語版です。
落語なのかどうかよくわかりませんが。とりあえず高座にあるものを使ってやってます。
この際、お客さんに撮影してもらってます。拡散してもらいます。
そしたら誰かのアップしたポストに、ぼくの師匠(竹丸)がコメント付けたんです。

「スネ毛が汚い」

ぼくはもともとスネ毛濃いです。全身毛が濃いですけど、スネ毛は特に濃いです。
渦巻き状になってて、たまに中で虫が死んでます。
マグロを釣り上げるときに、スネが見えるもので。
綺麗事の師匠ですから、お客さんに見せる部分は綺麗にしておけということです。
前も言われてたんですよ。あっ、しまったなと。
ただここは、面白く返せば許されるとも思いました。面白ければ大丈夫という価値観も師匠にはあります。
なので返信したんですよ。

「すみません師匠、剃ったんですが、高座の最中生えてきました」

面白いでしょ、これ。
これなら大丈夫と思ったんですが、さらに師匠から書き込みがありました。

「問答無用」

これはしくじりました。
これは剃らなきゃ許してもらえそうにありません。
ちなみにスネ毛でお客さんに見えるのは右の脚だけです。
右の脚だけツルツルにしました。
そして両脚写して、「使用前」「使用後」とキャプション付けました。

弟弟子の笹丸から電話がありました。
アニさん、師匠カンカンですよ。スネ毛の件だと思います。
早く謝りに行ったほうがいいです。
こいつ半笑いでしたけど。
両方剃って、お詫びに駆けつけてなんとか許してもらいました。
坊主にして詫びるというのは聴きますけど、スネ毛ツルツルにして詫びるのは初めての経験でした。

爆笑マクラはまだ続く。

先日愛知県の新城市に行きました。
とりいすねえもん(鳥居強右衛門)ってご存じでしょうか。
あ、ご存じですか。歴史にお詳しいですね。
戦国時代の足軽なんですけど、歴史に名を残してます。
長篠の戦いです。織田信長が鉄砲隊で武田勝頼を破ったあの合戦ですね。
長篠城が武田に取り囲まれまして、援軍の要請もできない状況でした。これに志願したのが強右衛門なのです。
水を潜って城を抜け出して、無事援軍を呼ぶことに成功したのです。ですが帰ってくる際に武田に捉えられまして。
武田は強右衛門を利用して、「援軍は来ない。城を明け渡せ」と長篠城に伝えることを企みました。そうすれば強右衛門は助けてやると。
ですが強右衛門、城の味方に向かって「援軍は必ず来る」と叫んだのです。
当然、強右衛門は処刑です。はりつけにされました。
世界の磔はイエス・キリストですが、日本の磔は鳥居強右衛門なのです。
現在鳥居強右衛門はヒーローとして崇められています。

この人の磔の絵を、新城市ではやたらと見ました。
この絵、変なんです。
絵の強右衛門は、やたらと体毛が濃く描かれています。頭髪は薄いので、男性ホルモンが強いんでしょう。
ふんどしからはみ出た毛まで濃く描かれています。
なのに、スネ毛だけないんです。スネエモンなのに。
私考えました。体毛というものは、体の弱い部分を保護するのが本来の役割です。
強右衛門はきっと、スネが強かったのでしょう、だから保護する必要がなかったのです。
ふんどしの下は弱かったのでしょう。

爆笑マクラが10分ぐらい。
そこから桃太郎に入っていった。これなら10分でできるらしい。

桃太郎なんて、有名すぎて逆にそれほど掛からない噺。
珍しい、という感想はさすがに変だが、でもそんな気にもなる。
この桃太郎が爆笑の一席で。
演題は「令和の桃太郎」のほうがいいんじゃないかと。

桃太郎は、「今の子供」がすでに古い。名前も金坊だし。
しかし竹千代さん、昔の子供は金坊だが、今の子はタカシだった。
タカシはゲームに夢中でなかなか寝ない。

爆笑なのだが、令和版だからといって噺の骨格が違いはしない。
ただ、タカシの親父追及がいちいち面白い。
そして親父も、追及に負けて次々ボロを出すのも普通だが、さらにエスカレート。

時代は弥生時代(大化より昔でないといけないから)。
おじいさんの名はおじいさんおじいさん。おばあさんの名はおばあさんおばあさん。
ただし売る前の名。
おじいさんは富士山へ柴刈りに、おばあさんは隅田川へ洗濯に。
そこへ岡山産の桃、紅ほっぺが流れてくる。それいちごじゃねえかよとタカシ。

「なんだそのハンバートハンバートみたいな名前」というツッコミはなかった。
これは私が思いついたもの。

続きます。