黒門亭27 その2(柳家はん治「ろくろ首」)

三遊亭ぐんまさんの本編は、三国志もの。
三国とは、常に都道府県魅力度ランキングの下位を争う、北関東3県である。
まあ、「翔んで埼玉」の落語版ですな。

常に争う北関東3県であるが、栃木が群馬に助けを求めてきた。
茨城の躍進が大きく、苦境に立たされているのだ。なので群馬栃木連合で茨城に対抗する。
なに、群馬には井森美幸と中山秀征がいるし(アイドル崩れの芸人じゃないかと栃木のツッコミ)、栃木にはU字工事にザたっち、そしてニックスがいる(寄席芸人ばっかりじゃないかと群馬のツッコミ)。
磯山さやか一人の茨城など取るに足らん。
しかし敗れる連合軍、まさか磯山にやられたのか。いえ、水戸黄門に。

納豆だけの茨城なら、食い物で対抗できるだろう。
そして、世界遺産(日光と富岡製糸場)という武器もある。
しかし、かねふくめんたいパークに敗れる。
魚卵にピリ辛味なんて、まるでベイシアとカインズモールを合わせたようなものだ!
このクスグリ、結構ウケたなとぐんまさん。

しょーもない(褒め言葉)ローカルネタ落語。大爆笑。
結局海のある茨城には勝てないと思ったところに、和睦の申し入れが。
茨城が言うには、我々は敵同士ではない。敵は東京に近いだけで威張っている埼玉と千葉だ。
埼玉なんて魅力度ランキングで群馬と変わらないじゃないか!

この先があるのかないのか知らないが、またのお楽しみにということで。
前座がいないので、高座を返していくぐんまさん。
ちなみに、メクリは最初からない。落語協会の本丸でメクリないなんてね。

続いて柳家はん治師。
高座はご無沙汰だが、きく麿師からマンタ倶楽部の模様を聴き、白鳥師からは「3年B組はん治先生」を聴き、なんだか親しみいっぱい。
そして、2人の弟子がいい。
裁判所の回し者ではございませんすらなく、いきなり「毎度馬鹿馬鹿しいところでお付き合いを。馬鹿はものに動じないなんてことを申しますが」
ぐんまさんが新作出したから、古典らしい。
そして、このフリは、ろくろ首のもの。

ろくろ首、与太郎LOVEの私が大好きな噺である。金明竹と同様、主人公は松公だが。
しかし当ブログ9年やっていて、遭遇したのは2回だけ。しかも1回はつい最近、前座の林家たたみさんから。
さっそく、柳家本流の(そうかな?でもそうかもしれないな)はん治師から聴けて嬉しい。
夏しかチャンスないしね。
久々なのかもしれない。ところどころつっかえ気味。
だがそんなのも味だ。どのみち急ぐ噺じゃなし。

たたみさんに教えたのははん治師ではなさそうなのだが、しかし「お前なんか人間の廃物利用だ。代用品だ」が入っていた。
たたみさんはこのあと、「時代背景的に言葉がおかしいですが教わったままです」とかましていた。
しかしすでに電気を使っている時代を思い起こすと、なんだかぴったりくる気もする。

本来長い噺の編集ポイントは違っていた。

  1. 松公、おじさんに相談
  2. 松公の日常。母親と一緒にいてもつまらない
  3. おかみさん欲しい
  4. 首の伸びるお嬢さんのところに婿の口がある
  5. さようさよう、ごもっともごもっとも、なかなかの仕込み
  6. お見合い(さようさようの実演)
  7. 寝床(首が伸びる)

たたみさんは、4からスタート。
はん治師と同じ一門だった春風亭かけ橋さんは、4と6だけだった。
はん治師は、フルバージョンに近いが、6の実演がない。
1〜5が手厚いので、6がなくてちょうどいい感じ。可能なら聴きたかったけども。
ちなみに「廃物利用」は5のあと。
ともかく、ブログ開始後1〜3聴いたのは初めてであり、感激。
なんで流行らないのかまるでわからない。

松公の義姉は、アニキに「あなたや」と呼びかける。
おじさんがそれ聴いて、あのおかみさんは職人の出にしてはずいぶんしっかりしてるので、そのぐらい言うかなと感想を述べている。
なんだかこうした部分で一気に落語の世界がリアルになる。首の伸びる噺だからこそ。

松公はおっかさんとの生活に不満なのだが、おっかさんは25にもなって抜けてる次男の世話のために一緒にいるのである。これまたリアル。

「おかみさん欲しいー、おかみさんおかみさん」は本当に絶叫はしない。近所の民家に気を使ってるのではないだろうか。
でも、普通の声で絶叫してる感じを出すのが見事。

さっさと一緒の床につく。
普段何があっても目覚めない松公だが、夜中に目が覚めてしまう。
隣を見て、きれいなおかみさんだな。でも寝相が悪いや。こんなに枕から頭はみ出して。
ここから、視線だけで伸びる首を描写し、一拍置いて、「ワッ!」

いいものを聴きました。

続きます。

 
 

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