本日9月1日より、五代目圓楽一門会の三遊亭けろよんさんが「兼作」で二ツ目昇進。
おめでとうございます。
いかにも前座らしい名前から、噺家らしい名前に変わる。
特定の噺家について、二ツ目昇進なんていつもはことさらに取り上げたりしないが、この人はいささか特別なのだ。
最初はけろよんの「ろよん」にアクセントが置かれていた(ケロヨンと同じ)が、すぐに冒頭の「け」に置かれるようになった。
けろよん改め兼作さんは、三遊亭兼好師の4番弟子。
2021年の暮れ、デビューしたてのけろよんさんを亀戸で聴いて、たまげた。
亀戸梅屋敷寄席24 その3(すごい前座がいたもんだ・三遊亭けろよん)
この記事がブレイクしたおかげで、「三遊亭けろよん すごい」という検索ワードが登場するようになったのだ。
もちろん本当にすごいのはご本人。それはそれとして、ブログの影響で、特定の前座に「すごい」がくっつくこともあるのだなと。
狭い業界とはいえ。
けろよんさんは計5回聴いた。
いずれも前座離れした高座であった。
スケールがでかいという印象。スケールとは語りだけでなく、世界観。
古典落語の編集力も見事。クスグリの取捨も見事。
うたい調子の語りも見事。
デビュー時の実力差が、一生続くとは私も思っていない。
ごく平凡な前座としてデビューしたものの、実は目的意識がしっかりしており、自分で課した目標を次々クリアして二ツ目半ばで気づいたら一目も二目も置かれている、そんな前座さんだっている。今後も出てくる。
兼作さんも、これからが本当の勝負だ。
だが、単なるアドバンテージにとどまらず、差を維持する飛び道具は多数抱えていそうな気はする。
いずれWikipediaも作られるであろう。
今のところ属性としては、師匠と同じ二松学舎大学の出ということぐらいしか知らない。
けろよん改め兼作さん、あいにく昨年は聴いていない。
亀戸に行くと、いつも弟弟子のげんきさんだったもので。げんきさんもいいですけどね。
9月8日には両国で披露目もある。
亀戸ではやらないかな。16日に師匠ともども出番があるから、急遽披露目になったりしないだろうか。
円楽党もここに来て、円楽襲名もあり大いに盛り上がっている。
この大部分は好楽一門なのである。父親の弟弟子、と紹介される当代円楽師もまた好楽一門。
好楽→兼好とこの一門がどんどん拡大中。
兼作さんも、二ツ目の賞レースを沸かせ、さらに一門と円楽党を盛り上げていただきたい。
団体の域を越え、落語界全体が盛り上がるのが一番いいですが。
だが、兼作さんの昇進でまた前座2人体制だ。
二ツ目になってもしばしば手伝いに出向かないと寄席が回らない。でも、兼作さんには自分の会がどんどん決まりそう。
「デビューまもない前座」というくくりでは、けろよんさんに覚えた衝撃は、その後1回だけ。
昨年に初めて聴いた芸術協会の三笑亭夢ひろさん。
上手い前座というものは無数にいるし、しばしば取り上げている。
だが、デビュー直後に覚えた圧倒的な衝撃は、このふたりのみだ。
楽しみですね。
二ツ目つながりで別の話も。
落語協会の柳家小もんさんが、北とぴあ若手落語家競演会の大賞を受賞したそうで。
大賞とは優勝である。
柳家らしい地味な芸風で、ちゃんと戴冠もする。見事です。
ご本人のキャラは決して地味でもないが、そのギャップがいいのでしょう。
いろいろと賞レースも増えてきたが、北とぴあとさがみはらについては大きな大会であり続けている。
「小もん」は小紋のアクセントであり、平たい。そもそも柳家の「小◯ん」は全部そう。
だが、わかっている私も、脳内では常にcommonになってしまう。
呼びかけたことはないが、呼びかけたい人は気をつけてください。別にcommonさんと呼んで叱られはしないと思いますが。