渋谷らくご6(上・好きな演者でも消化不良になる)

渋谷らくご、先月6か月有効の割引券もらったからどの席でも1,900円で行ける。喬太郎師だと満員になっちゃうからムリだけど。
だが、LINEでクーポンが来たので、現物割引券は取っておいて今月はクーポン使う。その土曜2時の席へ。

トリの扇辰師は心眼。圧巻の一席。
今回はなあ、どうもその前3席が消化不良気味。
翌日日曜の無料の会、眞福寺落語会(用賀)にしておけぼよかったなんて思った。ゲスト歌武蔵。

五目講釈 兼太郎
今どきの作文 百栄
(インターバル)
腰痛 信楽
心眼 扇辰

 

三遊亭兼太郎さんは最近の私のイチオシ二ツ目。
持ち時間長いこの日も悪くはなかった。なのに、ハネたあとの爽快感が湧いてこない。
自虐をぶち込みながら客と合わせていく、ありがちな手法。
この人の平常運転。
だが、こういうのを25分もやると、おかしな感情のほうも徐々に蓄積されていくのであった。
「(ウケなくて)帰ろうかな」「今日私の味方はいませんか」みたいなギャグは、客にとって「拒絶」されたかすかな記憶として積み重なっていく。
兼太郎さんの味方を自認している私をしてすら。

「お客さまのご機嫌をうかがう」っていい言葉だと思う。
客と(大して対立してもいないのに便宜上)対立した構図を強調していくと、いつの間にか客の不機嫌をうかがってることになる。
今回に関しては、高座の最中は一度もイヤだなんて感じなかったけど。悪い貯金があとでじわじわとね。
噺家の二世を振って若旦那。
本編は湯屋番(師匠譲り)かと思ったら、これは紙屑屋(大師匠譲り)か?
結局どちらでもなくて、珍しい五目講釈。
浅草お茶の間寄席で柳家わさび師が出していたのと同じ型だ。
落語と講談の違いなど、脱線して解説する。
たが地噺みたいなところがあるため、実質マクラが続いている感覚。するとマクラの悪い貯金がリセットされないままなのだ。

エンディングで映し出された演目は「居候講釈」とあった。
そんな演題、聞いたことないけど。上方でそういうんですね。

春風亭百栄師は、いつもの日本一汚いモモエから、実に20分定番マクラ振ってた。長いよ!(長すぎだよ!)
ボケ予防の話や、浅草の年齢層、夫婦ドライブで旦那を地獄に落とす話、名人の落語は脳に良くない、ミミズの移植された記憶など。
これはももちゃんの、鈴本や浅草での作法じゃないか。鈴本でも、これされると私かなりガッカリするんだけど。
悔しいことに、めちゃくちゃウケてるんだ。そりゃ面白さに自信があるからやるわけで。
ウケてると文句言いづらい。
でも、できれば池袋の作法を用いて欲しかった。

時計見てたのが高座の演者にバレたっぽい。イヤミな行動を企図したわけじゃなくて、本当にマクラの時間測ってたのだ。
そこきっかけなのかわからないが、10分でできる本編へ。
本編も「今どきの作文」。やはり鈴本っぽい。
これも、悔しいことにウケてる。
私も好きな噺なんだけど…でもたっぷりやれるシブラクでこんな小品?

今年も聴いたばかりだが、ちょっとだけ変わっていた。
最初の生徒、岸朝子の訪れる家のお誕生日の子は「山本益博」くん。演芸と料理の双方で評論してる先生。
それから3番め、ドSの生徒千草忠夫は、よりサディスティックな口調に変わっていた。
給食を「もっとよそえ」ではなく「もっとよそいなさい」。
それからこれは変わっていたわけでなく、初めて気づいた。最後、4人目の作文の生徒の名前は「豊田宏寿」と言うのだ。
同じ一門の、林家木久蔵師の本名であってサゲに関連する。細かい部分も作り込んでいるのだなと感心した。
でも、マクラ含め35分もやって、やはり消化不良。
長い時間に合わせたトリネタでなぜいけないのか、まるでわからない。
この出番はみんな大ネタやるのに。

神田連雀亭には出てない柳亭信楽さんは初めて聴く。
ラジオでも聴いたし、期待されてる人なのは知ってる。楽しみにしてきた。
だがこの日のネタ、「男女がぶつかって中身が入れ替わる」と、ギックリ腰を組み合わせた新作落語「腰痛」は、まるでわからない。ゾンビに怪獣も登場。
わからないと言っても、「この人が何を面白がっているのか私にはまるでピンと来ない」ではない。
そんな落語は、世間がどう評価したとしても、個人的には拒絶するしかない。そういうのではない。
信楽さんがなにを面白がってるか、なに狙ってるかはほぼわかる。
わかったうえで、私の琴線に響いてこないのだ。
他の客にはかなりウケてたけど。
最低限はわかるため、脱落もせず、笑いもせずひたすら聴き続ける。

途中出てくるギックリ侍こと、ギックリ腰治療の達人の名が「ぎくりや腰たろう」。
こういう強引なギャグ大好き。いかにもピッタリ来そうなのに。
渋谷らくご創作大賞だそうだが。ホントに?

マクラも同じで、何を狙ってるか理解はできるのに、まるで共感できない内容。
口を開くなり「腹に据えかねてるんですよ」と、NHK新人落語大賞の予選に落ちた文句。
大衆に合わせた基準には迎合しません。革命を起こします。
そしてさがみはらの、大会とは別の会で知り合った人が、大会の創設者。
そして慶応OBの人もいた。
相模原には慶応OBの集まりが多くある。紹介してあげようか。お願いします。
みんなでチケット買って、君に投票すれば優勝だ。そうしようか。
ぜひお願いします。評価より数です(絶叫)。
黙って飲んでた文菊師匠に言われた。「君はそれでいいのか」。

まあ明らかに、かつての春風亭昇吉師の疑惑を皮肉ったネタなんだが。
客に伝わったろうか?
結局さがみはらは抽選落ちで出られない。

明日は扇辰師の心眼を。時間オーバーして40分くらいの長講。
この日は結局、トリだけでいいです。
逆に、ここまで腹がよじれるほど笑って、最後陰気だなって真逆の感想の人もきっといる。
それはそれで否定はしない。好きなものを聴きましょう。

続きます。

 
 

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