阿佐ヶ谷に戻ります。今日で終わりです。
仲入り休憩を挟み再度遊京さん。
自慢になりますけど、受賞しましたと報告。
水戸で菊之丞師匠がやってるみやぎん寄席がありまして。その席亭賞というのをいただきました。
みやぎん寄席は小さな会場で、ほんとここぐらいですよ。
東京とはお客さんの感覚も違いますし、面白いですよ。
賞は第3回。2回目までとは異なり、お客の投票になったそうで。
2回目までの受賞者が茶光、兼太郎の両名。
その二人と吉緑、計4人で戦う。
吉緑アニさん真打なのに開口一番。
3人に沸かせてもらって、トリの遊京さんは徂徠豆腐。
人情噺は強いですね。作戦勝ち、とのこと。
プリモ芸術コンクールについでの受賞。
どちらも大きな大会ではないけど、遊京さんの評価が世間で確実に高まっていることはうかがえる。
わずか4人の大会だが、メンバーはいずれも売り出し中の若手。
茶光さんは「スラム街から来た男」を掛けたそうだ。以前聴いて、演題がわからなかった噺のことだと思う。
私も一度みやぎん寄席行ってみたいが、茨城にはついでがないなあ。
遊京さんのブログには、三笑亭夢丸師が大賞を獲ったことも書かれているが、夢丸師の受賞の話は出てなかったような。
ただ夢丸師も出た、小痴楽師のラジオの話へ。
小痴楽の楽屋ぞめきで、立前座役を仰せつかりました。
太鼓を叩いたり、鉦を入れたりしています。
NHKのらじるらじるで聴けますので、ぜひ。
小痴楽アニさんって人は、本当に言っちゃいけないことばっかり喋っちゃう人で。
ラジオに編集があってよかったですよ。
放送に乗せられないことを喋っちゃう自覚は持ってるので、生放送のときは喋らないんですね。
先日小痴楽師本人から、生放送では黙るという話を聴いたばかり。
最近radikoプレミアムを抜けたため、らじるらじるで真打ち競演とラジオ深夜便を聴いてる私だが、楽屋ぞめきまではなかなか手が回らない。ご本人が取り上げていた芸協らくごまつりの回は聴いたが。
せっかくなので聴いてみたら実に面白かった。
四代目鈴々舎馬風の「権兵衛狸」など聴けて。
先代夢丸や痴楽の高座のダイジェストも。
生放送危険な小痴楽アニさんを粗忽につなげ、粗忽の釘。
つい先日、鈴本(クイツキ抜擢)で聴いたばかりの演目だが、大きく違っていて驚いた。
鈴本では、寄席用に短く編集したのだと思われる。それにしても、見事な編集っぷりだ。
この日は時間が実質無制限みたいで、フルバージョンを出してくる。
まず、タンスを担いだ主人公の放浪が前段にある。
犬の喧嘩を見て、馴染みの犬を応援するが2頭とも吠えてきて、タンス担いでびっくりかえってバタバタ。
人力に引っ掛けられてまたバタバタ。
曲がる目印の豆腐屋が見つからない。仕方ないので目についた豆腐屋に入り「引っ越してきました」。
当然豆腐屋はパニック。追い出されて、元の家まで戻って大家に連れてきてもらう。
犬の喧嘩はたまに聴くけど、見知らぬ豆腐屋に飛び込むくだりは聴いたことなかったと思う。
このくだり自体珍品の趣があって好き。
鈴本で抜いたのはわかる。冒頭なら簡単に抜けるし。
しかし粗忽の主人公が、向かいに行ってからいったん自分の新居に戻るくだりを寄席で抜いていた。これに気付き改めてびっくり。
今回は、いったん戻ってかみさんを呆れさす。これが基本らしい。
遊京さんは、こんな細かい出し入れを自在にこなす人なのだ。
もっとも、だからこそ神田連雀亭で、入れてない「うんでば」を取り上げてしまう失敗もあるのだろうが。
各シーンをくどく描写はしない。この人ならではの美学。入船亭の美学か。
向かいのうちで、「素人にはわからねえでしょうけどこんな長い釘なんです」なんてのは、時間があっても入れない。
「藪から棒」「壁から釘」なんてわかりやすいのもない。
しかし、向いのうちに釘が届かないのに途中で気づいて、「さようなら」。これでしっかりウケる。
改めて出陣の隣のうちでは、カカアとの馴れ初め大爆発。
このカカアは、独身だったら遊びに行きたいという積極的な女。
お隣と釘の刺さった場所をやり取りする際に、(セリフだけで)「ここです」なんてのもない。
さらに「見えませんか」なんて入れる演出もあるが、これはもう粗忽ではなく与太郎。
いや、与太郎だって言わない。
こういう、作り込んだウソ粗忽が嫌いなんでしょう。
釘は仏壇に刺さってるが、幸い阿弥陀さま(観音さまだっけ)の首の上でセーフ。
仏さまにバチあたりでない、他に聴かない演出だ。
やり過ぎないことを心がけてるのだろうか。
ともかく大満足。
トリの雷門音助さんは質屋蔵。
内容は非常によかった。
だが、なにせ長丁場になったこの席、スタンダードな演出の演目について書ける記憶が残ってない。
マクラも覚えてないし。
上中下でなく「その1」で始めたのは、4回続けるつもりだったからなのだが。
出入りの熊さん、彫り物は昇り龍と、事情があってもう片方は泥鰌だそうな。
定吉に買ってやるのは栗。
すみません、尻すぼみに終わります。
音助さんの実力はまったく疑ってません。
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