若頭の喬太郎師、手下になんですかこれと問われ、メタなセリフを吐く。
このつるって落語な、ほんとくだらないだろ。三遊亭円丈って人はこの噺が大嫌いでな。俺も直接そう聞いたよ。
でも俺好きなんだよな。罪がなくってさ。
中途半端な若手がやる噺だよな。
ここで背中をそらしたまま楽屋を向いて、「ごめん、そんなつもりで言ったんじゃないから」。
全部書きたい誘惑に駆られるがじっとコラえて。
ラスト、カチコミに遭って撃たれた若頭が「めでたい披露目の席に、人が死ぬ噺を出して申しわけない」。
サゲに関係する電話は、稲葉組の協力関係にある右藤組から。どうでもいいストーリーの整合性が地味に進化している。
ちなみにキングオブコントでの、や団の暴力性について書いたばかりだが、落語ブログなのに検索にも掛かり反応上々だった。
で、極道のつるについてだが、暴力性に伴う不快感など一切感じないのだった。
私がズルいのではない。演者がうまいのだ。
三遊亭歌武蔵師は「ただいまの決まり手についてお知らせします」。
柳家小春師匠の見事な三味線でございました。
そして、隠居と八っつぁんの会話へ。さすがにあれと思う。出過ぎ。
「自衛隊はなんで自衛隊って言うんですか」
「自衛隊はもともと自衛隊とは言わなかった。もともとは警察予備隊といって」
…なんて噺続いたら、つまらないでしょ。
フェイクか!いつもの漫談でした。
例によってつまんなくても笑えと強要。
だいたい3,500円ぐらいで、たっぷり笑わせてもらえると思ったら大間違いです。
この手のもので、本当に笑いが成立しているのはこの師匠だけだなと思う。
どこかに、言ってる方がムチャなんだという視点があるからだ。まあ、それでも嫌な人もいると思うけど。
「3,500円」に客席から4,000円だとツッコミが入る。
4,000円でも同じですと歌武蔵師。
ちなみにこのツッコミ入れてる人、やたらとこんな感じで声出すのでアタシはあんまりいい気分じゃない。浅草らしくはあるが。
ゴリラバナナの後始末をしてた前座さんに「前座!」とか声掛けてたし。ウケ狙うな。
ただ声掛けが、「ひより!」だったら私たぶん許す。詳しいじゃないかと。
歌武蔵師あとは相撲ネタで、北の富士の不謹慎な解説をさらっと取り上げる。
無観客だと、土俵から転げ落ちてもクッションがないですね。
本当の仲入りの出番は落語協会会長、柳家さん喬師。
夢を振るとなると、天狗裁きか夢の酒。
どちらかと言うと後者が好きだが、前者だった。
天狗裁きは、友達、大家、奉行、天狗と変わっていく場面を、さん喬師がいかにペースを上げていくのかを楽しむ噺。
繰り返せばダレるに決まっているので、徐々に短くなっていく。
いよいよ口上。緞帳が開くと、後ろ幕は今度は「愛媛県立松山中学校・松山東高等学校同窓会」。
県立松山中学校というのは、母校の旧名らしい。
下手から、こう。
- 司会:古今亭菊之丞(理事)
- 柳家喬太郎(常任理事)
- 入船亭扇白(新真打)
- 入船亭扇遊(新真打の師匠)
- 柳家さん喬(会長)
喬太郎師は釈台付き。
司会は菊之丞師。
新真打の経歴を語り、最近のプリモとみやぎん寄席の受賞も語る。
あと、中国渡航の話。
釈台の喬太郎師は、「えー、では続きまして大喜利のコーナーで」。
私は初めて聴いた落語が学校寄席で、新真打の大師匠、扇遊師匠の師匠だった先代の扇橋師匠でした。
本当に優しそうな方で。これが饅頭怖いを掛けたら、体育館が震えるような大爆笑でした。
扇遊師匠もまた扇白さんも、この優しさを引き継いでいます。
私の同期で入船亭扇辰さんという人がいまして、昔から一緒に勉強会をやってます。
扇白さんは会をずっと手伝ってくれてまして。
扇白さん、不思議な人なんですよ。存在感がないんですね。でもしっかりそこにいるし自己主張もあります。落語も本寸法で。
入船亭をしっかり受け継いで、心が洗われるような人です。
次にさん喬師。
先代の扇橋師匠は、三木助師匠が亡くなってから小さん門下になりました。
隣りにいる扇遊さんは小さんの孫弟子ですね。扇白さんはひ孫弟子ということになります。
私は小さんの弟子で、喬太郎は孫弟子です。
ここには4人、小さんの一門がいるんですね。菊之丞さんだけ知りませんけど(司会、腰を上げる)。
すいませんすいません。
扇遊さんは昔から、私と一番近い人ですよ。気心知れてまして。
その弟子の扇白さんですから、間違いはありません。
最後に師匠、扇遊。
師匠・扇橋のもとに初めて扇白を連れていったときに、一句詠んでくれまして。
茶が咲いてゆう京白き香をはなつ
それが本人に強く残っていたようで。名前もないので自分で考えなさいと言ったときに、この白が入った名を考えてきました。
先ほど喬太郎さんが、扇白は心が洗われるようだと言ってくださいました。
その通り、洗えるといいですね。これをセンパク石鹸と言いまして。
人の口上の最中目を閉じて、洒落を考えてる扇遊師匠、カッコいい。
内容的にアドリブだと思う。
7月の高座では師匠の命日にちなんでセンキョウ降水帯と言っていた。
扇遊師も弟子のために俳句を詠んでいた。あいにく覚えてない。
センパクなので船が掛かっているとも述べていた。