浅草演芸ホール6 その3(つるリレー・柳家喬太郎「極道のつる」)

めでたい披露目の席なので、志ん生襲名を潰したい師匠の高座は省略します。
ここで番組表にない仲入り休憩が入る。

緞帳が開くと、披露目の彩り、にゃん子金魚先生。
金魚先生の頭には、本日の主役扇白師の写真。後ろの人にも見えるように大きくしたとのこと。
写真の隣、カップ酒で樽を表現しているのがシャレてる。
先に上の東洋館でやってきたのだが、大スベリだったとかなんとか。

持ち時間は短いので、早めにゴリラのワードが出て、ゴリラオンステージ。
バナナの差し入れは2本。
上ですでに1本食べてきたので、ゆっくり食べる金魚先生。
にゃん子先生が、「ゆっくり食べてんじゃないわよ、45分に降りろって言われたでしょ」。
なので途中まで食したバナナを胸元にしまい込む。

素直なお客さんたち、「この人後期高齢者なのよ」にふうんと感想。
事実だろうけど、疑うほうが普通ではなんて思った。
にゃん金先生のハケたあと、前座の日和さんが、ゴリラがバナナ食べてた舞台前部を綺麗に拭いていって場内盛り上がる。

続いて新真打の柳家やなぎ師。
やっぱり挨拶は「かもめはかもめ」なのだった。

故郷の話。釧路の隣、別海町は香川県と広さが同じ。
人口1万だが牛は10万。選挙権与えたら牛が勝つ。
たまの楽しみは釧路に出かけてマクドナルドを食べること。
別海から釧路への距離は、東京から熱海。

この先が知らないネタだった。
田舎も田舎、別海の人間は、さらなる田舎を馬鹿にして心の平穏を保っている。
相手は鶴居村。あいつら村だし。
冬の短い間やってくるだけの鶴なんて、威張るようなもんじゃないし。
東京に出てきたやなぎ師、最初はコンビニのアルバイトをしていた。
その店に入ってきた大学生の女の子は、釧路出身だという。
大都会釧路の話でしばし盛り上がるが、女の子は急に静かになる。
ウケたマクラのオチは書きません。まあ、わかるでしょう。

鶴居村がブリッジになって、「つる」。
小噺レベルに短くしてある。
隠居はちょっとしたいたずらで首長鳥の逸話を思いつく。八っつぁんが早速どこかでやってきたのに呆れてはいるが、嫌がってはいない。ただ、そこまで面白くないだろと。
つるのいわれを聞かされる側も極めて軽い。拒否もしないし迷惑がってもいない。ムダなアクセントがないこういうの好き。

釈台が出て、喬太郎師。
私の一番好きな噺家だが、あくまでも披露目であってキョンキョンを聴きにきたわけではない。
だが、主役を食いかねない爆笑高座であった。
もちろん食ってやろうなんていうのではなくて、芝居全体を考えてのことだろうけど。

ただいまのは私どもさん喬一門の弟弟子でして。めでたく真打となりました。なんとか阻止してやろうと思ったんですが。
これをご贔屓に、またお越しください。
たまたま来たらやっていたという方もぜひ。
私どもにも、いつものところでお付き合い願います。

ごく軽い古典落語に入るのだろうと。こちらとしてもそれで全然構わないし。
しかしいきなり、背中にもたれて手を広げ、いかにもガラの悪い男が低い声で「おい、ヒデいるかヒデ」。
「いつものところとか言っててよお、こんな噺かよ」

なんだっけ。「華やかな憂鬱」?
いや、アニキはヤクザの、たぶん若頭だ。ヒデは下っ端のチンピラ。
そうか、「極道のつる」でつるリレーか。
私もまだまだ甘いな。つるが出た時点で極つるがあると気づかないようでは。
やなぎ師の発案であろうか。

5年前に池袋で聴いた極つる、いまだに検索で引っかかる。
今後は今日の記事が引き継ぎます。
ヒデがやってくる。いきなりの強烈キャラ。
絶えず奇声を上げていて、もはやどうぶつ。
若頭はヒデに語りかける。
おめえよお、バカだよな?
なぜか照れるヒデ。
少し賢くしてやろうと思ってよお。おめえよお、つる知ってっかつる。
客爆笑。
鶴がピンとこないが、なぜかJALの鶴丸をフックにして理解する、バカのヒデ。
昔つるはつると言わなかったんだ。なんて言ったかわかるか。
ANAっすか?
JALから離れろ!

浜辺で老人がよお、と話しかけられるが、「浜辺」というワードがわからないヒデ。
おめ、浜辺もわかんねえのかよ。
ゴジラの女優っすか?
浜辺美波じゃねえよ。海と陸の境目な。
東映っすか?
あれは岩だけどな、まあそんなもんだ。浜辺の老人がよお、はるか沖合を見ていると。
沖合ってなんすか?
おめ沖合わかんねえのかよ、海の向こうだよ。
アメリカっすか?
アメリカと日本の、中間だよ。そこからオスのつるがツーって飛んできて、メスがルーって飛んできてつるになったんだ。
ツーはわかりますけど、ルーって飛ぶのはわかんねえす。

ウェーおもしれえ、とどこかでやりに出ていくヒデ。
若頭は手下に語る。また背中をそらし腕を伸ばして。
「この噺、意外と疲れるな」

若頭の稲葉組は、梅原組と抗争のまっ最中らしい。
そしてちょっと足りないヒデを鉄砲玉に使おうとしているのだった。それがなぜ首長鳥につながるのかは、わかるようでよくわからない。わからなくていいけど。
そして新たに、稲葉組に協力してくれる右藤組の名前も登場している。

稲葉はさん喬師の、梅原は権太郎師の本名。そして右藤って誰のことだっけ?
聴きながら、市馬師の本名だと思い出した。

内容も含めて、明日に続きます
ストーリー丸々書いたりはしませんがね。

コメントする

失礼のないコメントでメールアドレスが本物なら承認しています。