仲入りは三遊亭円楽師。今日の番組も自ら組んでいるのだろうか。
結婚してる男性は皆さん思い当たるでしょう。結婚して、掃除洗濯料理、皆上達しました。あと土下座。
松本人志が出ていた頃の「酒のつまみになる話」を、奥さんと観ていた。
出ている芸人が、松本初め皆カミさんの尻に敷かれているとアピールする。
それを観て円楽、というか王楽師はどこも同じだねと奥さんに言うと、奥さん烈火の如く怒り出す。
あたしはいつも外であんたを立ててるじゃない! うちは旦那のほうが強いの!
松公がおじさんを訪ねてきた。
これはろくろ首である。
与太郎もので私の大好きな噺なのだが、2022年に聴いたのか唯一だった。
ところが今年になっていきなり3席め。面白いことである。ただ、本来マイナーな話というわけではない。
意外とたっぷりした噺である。今年聴いた前座の林家たたみさんも、柳家はん治師も一部を省略していた。
だが円楽師、フルバージョン。冒頭も非常にたっぷりで、「おかみさんおかみさん」の絶叫まで5分ぐらい掛かったのではないか。
なかなか噺が先に進まないものだなと思ったが、でも好きなので楽しい。
それに、他の噺にはない要素が多い。
たっぷりしていてもトリネタではない。だから出しにくいのか。
はん治師のものと同様、「お前なんか廃物利用だ。再生品だ」が入っていた。
市馬師など、柳家の師匠に直に教わったものであろう。
「馬鹿は動じないなんてことを言いますが」というフリはなかったが。
先方の礼儀正しい婆やとの「ごもっともごもっとも」「さようさよう」「なかなか」のくだりもたっぷり。
猫が出てきて、サインの鞠にじゃれるので混乱する松公。
猫はちゃんと事前に登場して、松公がかわいがっている。
ゆっくりした噺、婚礼が決まってからは早い。意図が感じられる。
お嫁さんの頭が枕からずれて、寝相悪いやなんて言ってるうちにみるみる首が伸びる。
この、状況を把握しながら徐々に驚いていく松公がいい。
円楽師、池袋中席の披露目が残っている。あと、11月2日に国立博物館でもある。
どちらかに行こうかなと。
仲入り後は常に怪しい三遊亭鳳笑師。グランドモフ・ターキンに雰囲気が似ている。
円楽師もろくろ首の中で、「休憩の後出てくる鳳笑みたいな顔しやがって」ってクスグリ入れてた。
私は冬になりますと、脂肪を燃焼する体質のようで。
放っておくと1日500グラム体重が減ります。
先日故郷に帰りまして、落語会に両親もやってきました。
父はよく笑うんですが、母はあまり笑わない人です。ただ今回は、「あんたにぴったりの噺だったわね」と喜んでくれました。
死神やったんですけどね。
師匠からの稽古。
師匠・鳳楽は寝ながら聴いて、終わった後で「ダメ」。
大師匠・五代目圓楽はやはり寝ながら聴いて、終わった後で「名人」。
そして博打をやめられない小噺。
サイコロ2個を川から放り投げて、「これでやめられる! ところで目は丁半どっちだったろう」。
ここからへっつい幽霊へ。
へっつい幽霊はバージョンが色々ある。私の知る限り、こう。
- フルバージョン(へっついが若旦那宅から熊さん宅へ移動する)
- フルバージョン(へっついは最初から熊さん宅へ)
- 若旦那の出ないショートバージョン(戻ってくるへっついあり)
- 若旦那の出ないショートバージョン(博打帰りにへっついを引き取る)
鳳笑師のは4である。
鳳笑師以外では、落語協会の、来春華形家八百八で真打昇進の柳家圭花さんから聴いた。
最近末広亭のトリで聴いた雷門小助六師のは1。
小助六師のものは最高だったが、1はサイドストーリーが充実しすぎて難しいのだと思う。
少しでも和らげようと、2がある(たぶん)。
3も、冒頭の道具屋のエピソードは入っている。
最初から主人公を博打打ちの熊さんにして、色々刈り込んだのが4である。
もっとも、圭花さんは博打で勝ったのでへっついを購入する。鳳笑さんは負けている。古いへっついから火が出るといけないので、まずそのケアをすることにしたのだ。
スピーディな利点が活かされた、見事な内容でした。
以前どこかで聴いたはずだが、と思いながら聴いていた。調べたら昨年(2024年)に聴いたのだが、途中で寝落ちしてしまったのだった。覚えてないはずだ。
せっかくのいい高座、取り返せてよかった。
ちなみにその昨年のマクラは金縛りで、全然違っていた。結構器用な人。
冒頭に出てくる道具屋は、すでに繰り返しへっついを売って儲けたあと。この飄々とした描写がたまらない。
この道具屋は、なぜへっついが戻ってくるのか、ついに知らないまま。
なんらかのいわくを知って引き取ってくれる熊さんに、3両つけてくれる。
へっついに塗り込んだ金は100両と、ちょっと少ない。でも300両よりリアルに思う。
130両儲けて、30両は生活費に分けて100両塗り込むのもリアル。
そしてフグに当たってしまい、無縁仏として埋葬されてしまったそうで。
死神も合うのだろうが、幽霊もぴったりの鳳笑師。
幽霊はビビりまくっているということはなく、熊さんの方もやたらと脅かそうというのではない。
とっとと楽しい漫才が始まるイメージ。
鳳笑師の、飄々としたムードが楽しさを加えてくれる。
さて、一度寝てしまった鳳笑師を取り返したというのに、私の我慢してきた眠気はピーク。
トリの鳳志師はうつらううらしてしまった。しかもマクラで、寝る常連客を振っていたというのに。
先日落語協会の披露目で聴いたばかりの徂徠豆腐だったのもあるが。
そんなしくじりもありつつも、収穫の多かった亀戸梅屋敷でした。
帰りはすみだデジタル商品券で買い物をし、交通費と木戸銭(1,200円だから安いけど)のいくばくかを取り返すのであった。