今日は速報で出します。
優勝は春風亭一花さん。おめでとうございます。
同点決勝でもって、3年連続で出場してるのだからあとひと押しという力は働いたものとは思うが。最近劣勢の東京勢でもあり。
私も、一花さんの高座「厩火事」が終わった際に、客観的にこれ優勝かなと思ったのも事実。意外ではない。
主観評価はまた違うんですけども。
戦前に書いたとおり、一花さんはこの優勝で恐らく抜擢真打だと思う。
すでにさがみはら獲ってるので、可能性は非常に高い。昨年の2位も評価の対象となるのでは。
昇進は2年後、2027年の秋だと思います。春もあり得るが、すでに何か襲名披露が入っている可能性があると思うのだ。
抜擢の場合、歌実、あんこ、一刀、たま平、小もんを抜いて5人抜きになる。
「北とぴあ」を獲っている同期の小もんさんだけは、抜かれると気の毒なのだけど。
厩火事は聴いたことがなかった。
一花さんという人は、女性キャラを前面に押し出してくることはそんなにはなかった。
つる子師のように、女性が主役の落語をやる印象はなく。男の噺家と同様、女性キャラを一から作り出しているという人。
だが、たまに脇役の女性に、地を反映させているのかなと思ったことはあった。明烏とか権助提灯とか。
この厩火事については、もちろん作り上げているのは間違いないが、かなりの部分が地でしょうね。真剣な話の最中に、ついくだらんギャグを言うのも地ではないかと。
結婚してるからできる噺なんでしょう。
馬久改メ馬好師が、ダメ亭主とはちっとも思わないが、でも完璧な亭主ということもないだろう。
馬好師、今度の披露目は池袋で28日。この日二ツ目枠に、笛吹きである一花さんが出ると思う。
書きながら録画を聴き直しているのだが、会話のリズムやカミシモの入れ替えは本当に素晴らしいものだ。
審査の大部分はここにあるのでは。
そして、噺の刈り込みも素晴らしい。もろこしと麹町のくだり、本当にスピーディ。よく説明できるものだ。
その前、お咲さんが亭主の悪口言って、土手で噛み付くくだりも本当に短く早い。
なかなかこんなに刈り込めない。あまりにも見事で、これを寄席でやる際普通の持ってきように戻すなんてことはなさそう。
本当に最低限のギャグを入れて、スピードを維持しつつ客の気を逸らさない。
サゲを変えていたのは、非常に好印象。
サゲなんてなんでもいいとはいえ、厩火事はなにせサゲだけがよくない噺。
「お前にケガされてみろ。俺の好きな酒が飲めねえ」
「しろうまかい。お前さんもろこしだね」
これ、今後のスタンダードになるんじゃないですか。ならない理由のほうがむしろ見つからない。
劇中のクスグリをサゲに持ってくることにより、割とどうでもいいクスグリが仕込みになる。
同点だった笑福亭笑利さんは、新作落語「苦節二十年」。
新作をやってることは知っていた。喜楽館の配信でも聴いた。
なんだ、もっと早く新作で出ればよかったのに。
タイムマシンものをアイディア一つで仕上げてしまった力技。
ウケてたし、やはり作り手の創作力をアピールできる新作は強い。
関西弁混じりの標準語による作品というのもいいと思う。
見台の効果もあり、かえって上方新作らしさが出てくるから面白い。
まだ数年出られるはずなので、来年以降も新作期待します。
今回、主観評価では一花さんではなかったのだ。
一花さんよりよかったと思うのが、桂九ノ一さん。古典落語だと地味に見えてしまうのは否めないが、素晴らしいものだった。
「御公家女房」って何かと思ったら延陽伯だったが。
そしてさらに高評価の一席があったのだ。
ラストに出てきた桂米輝さん。
以前よくYouTubeで聴いていたのと同一線上の作品「シックスパック」。
タイトルは知っていたのだが初めて聴いた。
非常にコテコテした噺でありながら、独自の体系にしっかり乗っているのが素晴らしいなと。
独自の体系と、そしてその体系の中では自然な演技と喋りのおかげで、どんな落語好きも聴いていてつらくないだろうと。
そう思ったのだが。広瀬和生先生はなんと6点。シックスパックに掛けたシャレ?
人それぞれ好き嫌いはあるけども、6点というのは「お前は絶対に優勝させない」という意思表示である。
そんなバカな。高座の後は褒めておいてバサッと。
柳亭信楽を高く評価する人が、桂米輝を低評価? もうわけわからない。
まあ、小朝師も8点だったけど。
これって、西でしかウケない芸なの? そんなことないだろう?
昨年は、主観と客観が完全に一致した一花さんが2位でずっこけた。
今年は私が主観を外したからといって、別に残念ではない。
◯人抜き、は別に喜ばないが、優勝は喜んでいる。
しかし、米輝さんの扱いがなあ…
点数付けてたので、明日公開します。