池袋演芸場37 その2(春風亭百栄「桃太郎後日譚」)

おさん師の爆笑マクラから爆笑本編。
ところで地図見ると、家を出たおさん師がタバコを吸い出すのは出発からあまりにも早い気がするのだが?(地図見るなよ)。

どちらかというと夏の噺の気がするが、あくび指南。
あくび指南が爆笑とは。でもそうなのだ。

前回聴いたのはなんと6年前だった。
らくごカフェでの「くろい足袋の会」。
そのときの20分の爆笑マクラ、遠慮せずに書き残しておけばよかった。もう何にも覚えていない。

私の好きな、看板夫人不在型。
柳家の人からはよく聴くスタイルだが、私はもう、絶対にこっちのほうが好き。
看板夫人は、序盤でピークを迎えてしまうから全体の構成としてよくないと思う。八っつぁんも客も、稽古始める前にダレてしまうだろう?
あくびの先生、名も名乗ってないしスピーディに稽古を始める。

あくび指南にはしばしば、「この噺は本当に客席であくびする人がいますからな」とメタなツッコミが入る。
おさん師のものはとにかく面白くて、そんな隙はない。

今回、おさん師の面白さの秘訣をひとつ発見した。
おさん師、マクラから体をよく動かす。そういえば、喫煙してる駐車場のすぐそばを電車が通ると描写する際に、「あのメクリぐらい」と、腕を伸ばしながら語っていた。
あくび指南でも、体を右に振る所作がよく出る。
野球の遊撃手だったら、三遊間のヒット性の当たりをキャッチし、三塁線方面に体は流れていくのにきちんと肩を入れてから一塁に送球する。
だがおさん師の所作、体が右に流れていく際、肩を入れず扇子を左に振るのである。
これが独特の浮遊感を生んでいる。
八っつぁん(名前は出てない)の、独特のせわしなさにも貢献する。
これは自覚してやってるのだろう。

スタイルが面白いので、吉原にツーと行くのをしつこく繰り返さなくてもすでに楽しい。
先生が2度目を演じるとセリフが増えてるとか、ああいうクスグリは結局、あくびの稽古という馬鹿げた動作に楽しみを見出せてないからではないのかな?
絶品でありました。
最後くしゃみじゃなくて、なんだっけ?

続いて、最近ややハズレ続きの春風亭百栄師。
ハズレ、は失礼か。
定番マクラでウケてる客に合わせる師に文句までは言いづらいけども。でもフラストレーションが。
いつもの日本一汚いモモエはすぐ切り上げた。客からもう、飽きてるよという空気が伝わったのであろう。
さすが池袋、日曜でも客はディープ。
池袋の客、ひとりひとりは、自分自身はごく普通の落語好きだと認識している。
なのにやっぱりディープだというのが、三三師の観察である。確かに。

昔話を振るので、これはもう、桃太郎後日譚であろう。
テレビではたびたび聴いたが、現場では初めてだと思う。
子供がいたのも大きいのでは。

鬼退治は済んだのに、イヌ、サル、キジの手下3匹は、桃太郎の実家でとぐろを巻いている。
早く酒持ってこい、ババア。
もう村に酒はない。近所からもクレームが出てるし、いっそ鬼がいた頃のほうがマシだ。
爺さんがそろそろお引き取りを願おうとするが、鬼退治にこき使われ、精神を病んだ手下たちは出ていかない。
きびだんごひとつでこき使いやがって。酒飲むぐらいバチは当たるめえ。
桃太郎に説得させようとするが、桃太郎は引きこもって出てこない。あいつらはひどいやつなんだ。

おとぎ話のパロディだが、帰還兵のメンタル崩壊やら、戦争犯罪やら、さまざまなテーマをぶち込んだ深い噺。
そうかな? でもそういうところから思いついたであろうことは間違いない。
被害者だと思っていた桃太郎も、戦場で鬼たちに、それはひどいことをしていた事実が語られる。
子供をターゲットにしたとしても、あんまり子供向きでもない。

イヌは語尾に「ワン」を、サルは「ウッキー」をつける。
キジは喋らず、「ケーン」と「ホロホロ」しか言わない。
イヌがだんだん凄みが出てきて、語尾にワンをつけなくなってくるのを後で桃太郎がツッコんで回収するなど、実に練った噺。
やっぱりももちゃんは面白い。そして、池袋のももちゃんこそ最強です。

池袋下席は、4席続けて落語である。ようやく色物で、笑組。
内海好江師匠が亡くなり、志ん朝門下になったが3年で死んじゃった。
その後志ん五門下になったが9年で死んじゃった。
現在は志ん輔門下、と続くのかと思ったら、それはもうやめたのか?

昇太師匠が笑組を、志の輔師匠に紹介してくれる。

「こいつら師匠を次々殺す死神」
「じゃ、談志の門下になってくれ」

テーマは妖怪。
漫才の舞台にも、妖怪鬼すべり(だっけ?)が現れて、寒いギャグを言わせる。

昔話の「はまぐり女房」という、鶴女房と同工異曲の話をゆたさんが紹介する。
かずおさんがタイトル聞いて、「にっかつロマンポルノ?」。
小学生の男の子がこれでウケちゃって。二人揃って、「親はどういう教育をしてるのかな」。
ここが一番面白かった。
まあ、漫才はタイミング一つで子供にも面白いよね。

続きます。

 
 

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