第41回昭和医大名人会 その1(隅田川わたし「子ほめ」)

昭和医大、旧昭和大学の学祭の落語会で、無料。
東京かわら版に、最終回と書かれていた。行かねば。
なんで最終回なのかと。世話人だった柳亭左楽師が亡くなったからかなと。
それとは関係なくて、全然知らなかったがキャンパスが鷺沼に移るのですな。学祭も移るわけだ。
鷺沼でも落語会やってくれればいいのだが。移転は2~4年生なので、この旗の台キャンパスもなくなるわけではない。

11時開始。実に早い。
整理券配布だが、何度か行っているので直前に行っても入れることは知っている。
万一「最終回なので満席」ということがあったら、その際は黒門亭にしようと思っていた。

会場は毎年やっている上條講堂なのだが、中原街道沿いに「上條記念ホール」というのがあり、こっちに移ったものと勝手に思い込んでしまった。
紛らわしい。
先に記念ホールに行って、こっちじゃないですよと。まあ、200メートル程度しか離れてないけども。
遅れてもいいやと思ったが、ギリギリ間に合った。

広いホール、空席だらけ。寂しいというほどではない。
しかし落語協会の精鋭が揃った今年の会、レベル高かったですね。
年によっては変な客もいたのだが、最終回をいいお客で迎えられてよかった。
ただし、トリの雲助師の高座で、寝てる客のイビキが響き、ちょっと微妙な空気にはなった。
イビキとともに去りぬ。

子ほめ わたし
権兵衛狸 小はだ
猫の皿 柳朝
小梅
妻の旅行 はん治
(仲入り)
堪忍袋 柳枝
紋之助
夜鷹そば屋 雲助

 

前座は隅田川わたしさん。この人も顔付けされている。
寄席ではないので自己紹介のマクラ。
隅田川わたしと申します。隅田川馬石の弟子です。
寝起きの吉沢亮と呼ばれております。国宝目指して頑張ります。
今日は最後に本物の人間国宝が出ますけれども。

タダの酒飲ませろと子ほめ。わたしさんからは三度目だ。
相変わらず、流れるようなセリフで実に上手い。
子ほめという噺、ちゃんとした人が語ると何度聴いても楽しいものだ。

過去に、「乱暴なのに魅力的な八っつぁんが柳亭小痴楽のようだ」と書いた。
だが、ストレートな乱暴さは結構マイルド化していた。
八っつぁんを変えないにしても、隠居の対応を変える(こんな失礼なやつもいないね、など)など、動かしているようである。
「(爺さんか婆さん)どっちか絞め殺せ」もないんだなと思ったが、これは前回聴いたときもだった。

隠居からは、50の人の褒め方しか習わない。
知らない人を褒めようとするくだりもない。
伊勢屋の番頭さんは、「そりゃそうだ40だからな」と返すだけで、ひっぱたいたりはしない。
「町内の色男」のあと、タバコ屋で会ったじゃないか、色男がいるなと思ったらお前さんだっただって。
2発も先制されて、八っつぁんますますピンチなのだった。

竹のうちに上がろうとして、いったん拒否される。こんなのは初めて聴いた。
寝たばっかりなんだ、起きるとうるせえからな。
しかし半ば強引に上がり込む。
この際、「親の因果が子に報い」と唄うのをやめていた。こういう部分にマイルド化を感じる。

もみじみてえな手だな、と赤ん坊褒めたら、なんと竹が喜ぶ。
ここ隠居に教わってねえんだけどねと驚く八っつぁん。これは子ほめの長い歴史でも画期的なセリフだと思う。
わたしさんは結構噺をいじってるのに、全部さりげなくやる。
よく考えたら、大師匠雲助師のいじるやり方と一緒。昔から誰かがやってるかのように進めてしまうのだ。

調子を変えて、ときに竹さん、このお子さんはあなたのお子さんですか。
竹が、よしてくれ。自信ねえんだよ。
こんなのたまに入っているが、前座のわたしさんの入れ方が一番シンプルで、かつ上手い。
ここでウケてやろうと思ってないからじゃないか。いや、ウケてるけど。

竹でなく赤ん坊に向かって、「あなたのお歳はおいくつですか?」と八っつぁん。
ここもかなりびっくりした。前回はなかったと思う。
落語のことばっかり考えてないと、こんな工夫は湧いてこないと思います。落語のことばっかり考えてたって思いつかないけど。

そして、どう見てもタダでございますの先をスッと進め、「竹の子は生まれながらに重ね着て」に進む。
強引に下の句を付けてしまう八っつぁん。「育つにつれて裸にぞなる」。
冗談言っちゃいけねえ。子ほめの失敗というお話でした。

よく考えたら、フルバージョンで、通常やらないくだりまで付けておいて「冗談言っちゃいけねえ」って珍しいな。

開口一番から素晴らしい予感の昭和医大名人会。

続きます。

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