県民共済シネマホール寄席3(中・三遊亭ごはんつぶ「うどんの逆襲」)

花いち師の「いいからいいから」。クスグリは若干増えていた。
清算時におばさん、「Suica」「PayPay」「イオンカード」の3種類で支払おうとする。
返すほうは、「私ピッてできないので」「私PayPayって言わないので」「私ワオーンって吠えないので(※これはイオンカードじゃなくてWAONの機能だけどな)」。

さらに思い出してみると知らないマクラもあった。
学校寄席で質問が上がる。「花いちさんの尊敬する人は誰ですか」。
師匠・柳家花緑と、笑点の昇太師匠です。なお、花緑師については、楽屋にいるから名前出してるわけじゃないですよ、いつも言ってますからと。
そして気軽に質問者に、「きみは尊敬している人はだれ?」
その子、固まってしまって何も出ない。先生がフォローして小声で、「柳家花いちさんって言いなさい」。
その子は一度抵抗してから、泣きそうな顔で「柳家花いちさんです」。

もうひとつ、担当美容師のお父さんのため、老人ホームに慰問に行くネタも初聴。
共通項は、どちらも自虐ネタ。ほかのネタもみんなそうなんだけど。
どんなところからも自虐を引き出す腕はすごい。なにしろ、教育実習で落語を披露したらめちゃウケたという、自慢話から自虐を引き出すのだから。
家族からも自虐を引き出す。
私は大好きなんだけども、ただお客によっては、自虐を繰り返し聴いているうちに、本当に軽蔑スイッチが入ってしまう人もいるのではないかな。
そのメカニズムも理解はする。人間は、表面的な事象の裏側を理解しつつ、脳が表面的なほうに反応してしまうことは珍しくないようだ。
「悪態をついている芸人の悪態が、本当に嫌になった」とかあるでしょう。ギャグだとわかっていても。
「私を下に見て笑ってくださいね」というギャグを聴くうち、脳が本当に下に見てしまうことは珍しくない。
花いち師のことをあまり好きになれない人がいるとすれば、そこだと思う。

全員好きにさせるためには、自虐の視点に「私だって頑張ってるんです!」を追加すればいいのだろうか?
これは恐らくいい方法だと思うのだが、偉そうに論じるほどの自信はない。

さて仲入り休憩後は、三遊亭ごはんつぶさん。
ずっと気になっている人だが、2年振りである。
2年前にはプークと、さらにあざみ野で花いち師との二人会を聴いた。
あざみ野では古典二席で、古典も上手いなと感心した。

ごはんつぶさんは袴姿。袴で新作かよ。
花いち師と被らないよう古典の予定だったのに、変更したのではないだろうか。
花いちアニさんが変な新作やってたのにまた新作か! と叫んでいた。

なんだか記憶のごはんつぶさんと雰囲気が違う。
客席を手玉に取っていて、以前よりさらに洗練されスマートだ。兄弟子わん丈師を連想した。
売れっ子っぽい。ぽいを付けたら失礼だが。

師匠が三遊亭天どんで、弟子がごはんつぶ。そういうことでございます。
私は本物のハマッ子です。浜松ではありません。
ただし、緑区なんです。中山です。
山を登ったところですから、遊びに行くのが億劫なんです。なので一人遊びにハマっているうちに落語家になってしまいました。
子供の頃、父が長野県に連れていってくれました。カブトムシ採取に行こう。
オスとメスが捕れました。自宅のベランダで飼っていましたが、子供なので蓋を締めるのを忘れまして。
気が付いて見てみたら、5匹増えてました。
なんだ、そういう環境のところに住んでるんじゃないかと思いました。

中山もだいぶ、林だったところが空き地になり、空き地がマンションに代わってきました。
ずいぶん変わりましたよ。その割には潰れそうなそば屋がまだあったりしますが。

飲食店からつながって、最近の冷凍うどんはびっくりするほど旨いですねと。
なんでも、タピオカ粉を練りこんであって、それも急速冷凍をしてるんだそうで。
架空の工場でもって、オートメーションではなくスタッフが職人芸を駆使して絶妙に冷凍うどんを作り上げるさまを紹介。
このネタは、面白くなりそうなのによくわからなかった。ごはんつぶさんがスマートすぎて、大きなボケを相殺してしまうみたい。
ツッコミタイプの人がボケるためには、説明口調ではなく、小噺としてセリフの中に入れないといけないのだろう。

そしてスッと、冷凍庫の中のうどん玉たちに描写が移る。
5個パックのうち、1人前は買った直後に食べられた。残された兄弟は、出番を待ちつつもう7か月経っている。
人は、冷凍庫に入れた瞬間に賞味期限を見なくなるのだった。なんだかもっと古い、冷凍された肉も一緒に入っている。
マクラっぽいがすでに本編。ご本人が語っていたのでわかるのだ。
ちょっとだけ気になったのは、桂小春團治師の「冷蔵庫哀詩」と設定が似ている。
以前林家やま彦さんの「肉の部位Ⅵ」にもこの点で苦言を呈した以上、一応触れておかないと。
ただまあ、ごはんつぶさんが扱っているのは冷凍庫内だけなので、違うと言えば違うテーマ。
冷蔵庫内は意味なく小分けのカラシがたっぷり入っていたりするが、冷凍庫内は、賞味期限を気にしない食材が次々入ってくるブラックボックスだからだ。

とにかくうどん兄弟は人間に復讐するため、冷凍庫内をいろいろ操作する。
氷がくっついていると出しにくいとか、冷凍庫あるあるも盛り込まれている。
自信作なんでしょうね。
しかし作為がゆえに結局、うどんたちに災難が降りかかる。
綺麗なサゲに感心した(でも忘れたけど。別にいいのだ)。

次世代の新作派は、十分仕上がってるなと感服した。

続きます。

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