第41回昭和医大名人会 その2(柳家小はだ「権兵衛狸」)

見事な前座のあとは見事な二ツ目。
柳家小はださん。
あれ、長髪になっている。2か月前に小田原で観た際はボウズだったのに。

この後出ますはん治の弟子の小はだです。
私はわりと近くの出身です。学芸大学です。
この昭和医大は、祖母が入院してましたから、なじみがあります。
パルム商店街を自転車で突っ切って、平塚橋を右折すればすぐです。よく見舞にきました。
タワーのてっぺんに上ると、池上本門寺のほうまでよく見えます。そちらにも母方の親戚がいまして。
今病院で、あっちで葬儀。便利だなと思いました。
私は今、北区王子に住んでますが、今日は実家に戻って前乗りです。そこまでの距離じゃないですね。

この会は、亡くなった柳亭左楽師匠の肝入りで始めたものでして。
左楽師匠は、黒門町の文楽の弟子ですよ。会を始められた際は桂文平でした。
黒門町は住み込み修業で、弟子はつらかったみたいですよ。今の文楽師匠に聞きましたけど、文楽が怒って、弟子を階段の上から突き飛ばすんですって。「お前なんか死んでしまえ」と言って。
「でも生きてるんだよ」と今の文楽師匠おっしゃってました。
リアル蒲田行進曲じゃないですか。

この会、最後に顔付けしていただいて、左楽師匠と縁がつながった気がします。
ネタ帳見ましたら、左楽師匠のネタに、私もやるものがありました。今日はそれを。

と振って、権兵衛狸。
おおと思った。初めてこの会に来て(2018年)、左楽師から聴いた演目である。
田舎ののんびりした風情に魅了され、最近はあまりかからないこの演目の魅力も再認識したのだった。

期待のとおり、序盤からもう、のんびりした噺。
そういえば、小田原で聴いたのは馬の田楽だった。田舎の噺、好きなのかな。
夏の医者も持っていそうな気がする。
狸に悩まされる権兵衛さんであるが、願わくばこらしめてやんべえという感じで、それほど必死でない気がする。
狸は戸を頭で叩きます。尻尾で叩くと、シャラ、シャラ、こんな音にしかなりません。
頭で叩くことを深川と言います。後頭部深川。

小はださん、スベリネタにも強い。

狸に引っかかれて、結構手負いの傷。
昭和医大に行って治してもらったらええだだって。
権兵衛さん、亡妻の命日なので、最初から殺さないと決めている。
これが高座の外にまで、ああいい功徳をしたと伝わるのは、小はださんの人柄じゃないですかね。

朝通りがかった若い衆は、狸汁にすべえと。で、皮だけ俺がもらうだ。
なにを虫のええこと言っとるだ。
若い衆は狸を見て、ああ、こいつだ俺を化かしたのはと。権兵衛さんの家の帰りに空を見上げると、月がふたつ。
片方がペロッと舌を出した。

実に楽しい一席。

続いて春風亭柳朝師。左楽師亡きあとたぶん、今日の顔付けもこの人が作ってるのだと思う。
もともと軽さが魅力的な人だが、ますます軽さが増していていい。

昭和医大名人会は今年で最後でして。
たまプラーザのほうですか(鷺沼)、移転するんですね。

現在、浅草では妹弟子の一花が抜擢真打で、よければそちらもお越しください。
彼女はね、このすぐそば、香蘭の出身ですよ。
香蘭の卒業生と言えば、黒柳徹子さん、大塚寧々さんや、それから片桐はいりさんですよ。
私は大森です。大森は片桐はいりさんの地元でもありまして。
片桐さんとよく遭遇します。あの人は遠くから見てもフォルムがわかりますね。
今ドンキになっちゃいましたけど、地元で有名だったダイシン百貨店、あそこの上に食堂がありました。保育園の頃の子供をよく連れていってパフェやらラーメンやら食べさせてたんですが、その前ではいりさんがお子様ランチ食べてました。

先代の柳朝は大師匠にあたる。豪快な人だった。
志ん生に噺を教わり、アゲの稽古。

「お前、あそこの所作が抜けてたよ」
「そんな、師匠だって入れてなかった」

こんなこと言えるひとだったらしいです。
その志ん生のモノマネが入る。
「ええこの、ビールというものはしょんべんにしかなりませんが、お酒というものはうんこになりまして」

木久扇師の話もあった。
談志の家に遊びに行ったら、柳朝のブロマイドが貼ってあり、さらに目に画鋲が指してあったそうで。

噺家はなんでも浅く広く知っておかないといけないよと先輩からも言われます。
先輩に、銀座の道具屋に連れていっていただきました。この先輩の名は差しさわりがあるので絶対に言えません。
人間国宝の焼き物が、300万円です。すごいなと。
いっぽう気鋭の若手の作品は、大きな壺が15万円、小さな壺が30万円でした。違いがわかりません。
先輩に聞いてみました。
よく見たら感じられるそこはかとない雰囲気があるだろ。それがわからないから、お前の芸はまずいんだ。
叱られました。
スタッフの人が来て、「あ、値段間違ってました」(入れ替える所作)。

ぽろっと、小三治師匠ですだって。
よく使うマクラを、ノンフィクションにしてしまう(もちろん嘘だけど)。

本編はやはりというか、猫の皿。
基本は同じだが、ちょっと変わった設定だった。

続きます。

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