夜席、二ツ目は桂蝶の治さん。
「蝶」の字は、このたび名が復活する「蝶花楼馬楽」の蝶である。伸治師に入門する前、先代馬楽の見習い弟子だったので。
当人もたまに語る。師匠の病気(その後死去)によるやむを得ない移籍であり、黒歴史とかではない。
さて最近、「桂蝶の治」で検索すると、「桂 蝶の治 つまらない」という関連キーワードが表示されるようになった。
お気の毒さま。
笑点特大号で盛大にスベッてるからなんでしょうね。スベリウケ狙いだけど。
そして、この検索ワードの1位と2位が私の記事。実際に、流入も多かった。
私自身は彼の評価として「つまらない」って書いてないんだけども。
先のやんちゃな前座を見て、蝶の治さんが前座の「伸び太」だった頃の高座を思い出した次第。
当時なんだか面白いことをしたいらしく、道具屋でもって「お雛さまの首をはねさせてキャッチ」という意味不明のギャグを入れていた(まるでウケてなかった)。
これは批判しましたよ。「私は誰でしょう」のタグ付けて。
そんな人も常識にかかるようになって(実はなったのだ!)、笑点特大号の固定メンバーに出世。
あ、そういえばこの日も特大号あったはずだ。その宣伝は高座で一切してなかった。いさぎよし。
二ツ目さんは、寄席の出番は少ない。この夜席についてはあと2人二ツ目が顔付けされてるが例外(小痴楽師の配慮と思われる)。
そしてせっかく出ても、序盤なので前座噺を掛けることも多い。
個性を発揮する機会は少ない。
そんな中蝶の治さん、派手に「だくだく」で盛り上げていった。
少なくとも、この日蝶の治さんを現場で聴いた人は、誰も「つまらない」とは言うまい。
今後、「桂 蝶の治 つまらない」でこの記事がヒットするといいのだが。
桂蝶の治です。落語界のキムタクと呼ばれています。
…午前中に行った老人ホームではバカウケでした。
ツカミOK。でもいきなりスベリウケからスタートだ。
寄席に出るのも4か月ぶりです。
なので時間がよくわかりません。15分やるつもりが40分喋ってたりします。
泥棒を振って、「先生」。
これは「だくだく」。
数年前、二ツ目さんにやたら流行っていた印象があるのだ。前座噺ならぬ「二ツ目噺」があるとしたらこれという感じの演目。
落語協会でも芸術協会でも、よく耳にした。
なのに最近とんと聴かなくなった気がする。
店賃を1年と12か月溜めて引っ越す八っつぁん、転居先の壁に張った白い紙に絵を描いて欲しいと。
蝶の治さん、もったいを付けて喋る。
以前自分でも、柳家はん治師に口調が似てると言われます、と言ってたっけ。その感じ(声は馬石師に似てるそうな)。
ただ口調は、高座以外では簡単に面白がってもらえるわけではない。笑点特大号では口調がまだ視聴者にハマってないようだ。
でも寄席では、このもったいが実に面白い。
先生に、男女の下駄を書いてくれとリクエスト。
お前さん、女いるのかい。
いないー! と大絶叫(バカウケ)。
もう、展開じゃなくてこういうクセの強さでウケる。ある種特異な落語。
ちなみに絶叫は、ほんとに大声ではない。「大声を出している」さま自体を描く、落語ならではのテクニックだ。
だくだくは、演者の工夫のし甲斐が大きい噺。
スタンダードの型がなくて、中身を好きに作っていいのである。それゆえに流行らなくなるのかもしれないが。
蝶の治さんの工夫は、火鉢のやかんから湯気が文字で「シュー」と書いてあるところ。
それから、泥棒が絵の羊羹をしばらく食べて、客がアレと思うところ。
そして、なんだかわからないがかっぱ寿司。かっぱがかっぱ巻きを握っている(しぐさからするとどう見ても「握っている」のだが、ありゃ巻くもんだがな)。
それ以外は、そんなに入れ事なし。
口調でウケる高座なので、やりすぎるとマイナスになるのだろう(いや、十分入ってるかな)。
サゲは既存のものにくっつけてメタにしていた。カンのいい方なら、ヒントだけでわかるかもしれない。
ちなみに蝶の治さん、高座(本編)でよくこんな顔をしてみせる。

紙切り林家喜之輔師匠は、鋏試しで「騎馬武者」を切る。
そしたら最初の注文が「騎馬武者」。
さすがに、客席に変な空気が漂ったように思う。客のウケ狙いは最も忌むべきところ。
喜之輔師、鋏試しと違う、止まった馬を切っていた。
だけど演者も、もう少し堂々として欲しい。「ふざけてますね!」とか言い返したら、ボケてるつもりの痛い客も救われる気がするけど。
救う価値があるかどうかは知らないが。
この後漫才を挟み、落語は新作3連発だった。新作芝居でもないのに、珍しいことである。
まずは柳亭信楽さん。
私は二度目。ちなみに初回の遭遇は私にとっては決していいものじゃなかった(シブラク)。
自己紹介から。
シガラキです。よくシンラクさんと呼ばれますがシガラキです。
主任の小痴楽の弟弟子です。師匠は柳亭楽輔です。
その師匠が四代目の柳亭痴楽。昔「痴楽綴方狂室」で一世を風靡した人です。
有名なのが「恋の山手線」ですね。山手線の駅名を、シャレで埋めていくという。
…ま、今日はやりませんけど。
本編、「スグルとアキラ」に続きます。