柳亭信楽さん、本編前にVIVANTでおなじみ、二重人格を振る。
本編は、もろにVIVANTから思いついたらしい一作。「スグルとアキラ」。
スグル青年は、落語家志願。今日は師匠の元で入門試験を受ける日だ。
なのに急いで向かう際中、財布を拾ってしまった。届けていたら遅刻するかもしれない。
そこにVIVANTの“F”のごときアキラが出現する。アキラはいつの間にかスグルの中に生まれた二重人格なのだ。
アキラは天使と悪魔の悪魔のごとく、財布をもらっちゃえとそそのかす。
しかし悩んでちゃんと交番に届ける。
そして、今度は男にしつこくされている女性を発見。同じくだりがあって、やはり助ける。
どちらにしても、スグルとアキラの会話はひとりごとなので、ハタから見るととても気持ち悪い。助けた女性にも露骨に嫌がられる。
試験に遅刻してしまったが、落語らしいご都合主義で、師匠は遅刻の理由を信じてくれる。
この先の展開書いちゃうと、全部書いちゃうことになるのでこのくらいに。
面白いんだけどなあ。少なくとも前回聴いた「腰痛」ほどの極端な違和感はなかった。
でも、なんだか落語と異質なお笑い要素を常に感じるのだ。
ご都合主義の部分かな。でも、落語のご都合主義は嫌いではないので、わからないのは違和感をそこに覚えることのほうだ。
お笑い芸人上がりの噺家も増えたが、元の経歴がそうだからといって、落語と異なるお笑い要素をいちいち感じるわけではない。
でも、信楽さんからは感じるのだ。これは過去に唯一、桂三度さんからだけ味わった感覚。
あと、肝のギャグが、ベタのさらに下。
「腰痛」もそうだが、一言で言うと「場面展開のあるコント」。
コントの笑いを、場面展開により足し算したイメージ。
だがいっそ、コントと同じく一場面だけの落語にしたら、コントに近づいていくのにもかかわらず、ズバリ落語になるのかもしれない。
続いて春風亭昇々師。
本来の出番は羽光さんで。
私、順番入れ替わったんですよ。なんだか用があるそうで。
でも、今日楽屋来たら羽光さんいましたね。なんですかね。
本来の出番だと、20分なんですよ。この出番だと15分ですね。5分短いのでその分楽ですけどね。
でも、お客さんの前でしっかりやりたい気持ちもあるんで、微妙ですね。
学校寄席だったか? 最近やらない古典をやる話をマクラでしてた。
昇々師の新作「ダム」は、もう本当にくだらない一席。
笑い声は決して大きくなかったのだが、客はみんなリラックスして微笑んでいたように思う。
長丁場の寄席で、こういう笑いは貴重だと思う。
ダム建設の説明会に出向く土木技術者2名。時間が近づいているので焦っているのだが、先輩のほうは、尿意をこらえている。
ダムをつくる説明をしに行くのに、先輩のダムは決壊しつつある。
だからといってそこらでするわけにはいかない。そんなことをしたら信頼が台無しだ。
ひたすらダムの決壊と格闘し続ける。
座布団の上に寝そべって苦悶するのだった。
新作落語の場合、高座に寝そべる演者に対し不快スイッチなど発動しません。
ストーリーにはさしたる意味はなく、ひたすら尿意とダムのアナロジーについて語り続ける。
ああ、実にしょうもないバカ落語。
ある種の新作落語の理想形態かもしれないなと。
漫才はおせつときょうた。
昇々師の一席があまりにも印象強かったらしく、これに触れてから。
お客さんみんなトイレ行きたくなったんじゃないですかと。
命の砂時計は早速振ってた。
落語芸術協会の非IT振りについて。
顔付け希望の用紙が毎月届く。これに〇をして、「できればFAXしてください」とある。
いまどき、ファクス送るほうが難しいですよ。
ただ、FAX難しければ手渡しで結構ですとも書いてある。そのため、8割が手渡し。
本ネタは、この人たちはやっぱり食べ物なのだな。ラーメンについて。
家系とか二郎系、一蘭の仕切りの付いたカウンター、ぬるくなったスープに石を入れてくれるつけ麺など振って、漫才コントへ。
「拾った石を勝手に入れてくる」など、伏線を回収した漫才コント。
小さいほうのきょうたの入ったラーメン屋のメニューには、とんこつラーメンでなくポンコツラーメンがある。
毎回、頼んだものと違うメニューが出てくるらしい。
面白かったが、個人的には、きょうたがスベリ気味のノリツッコミを続けるネタが好き。
新作連続3人目は、笑福亭羽光師。
前座の愛昇さんが、見台と膝隠しを持ってくる。
昇々さんは一緒に修業した中で。当時はイメージとしては同い年ぐらいでした。
でも12離れてるんですね。それを感じました。
私あんなに動けませんよ。
師匠が鶴光です。ほかの弟子は、師匠譲りの古典を持ってるんですね。
ぼくは、師匠のエロの方向性だけ受け継いでしまいました。
今日やる噺は、「私小説落語~月の光編~」と言いまして。主人公は私、中村好夫です。
少々エロなので、お客さんも笑いにくいところがありますようで。なので、照明を暗くさせていただきます。
と、日頃明るい池袋演芸場の照明を落としてしまう。たちまち暗くなる会場。
最近は、受け取る側がいやらしいと感じたら、もうセクハラなんですね。ですから私、このあと逮捕されるかもしれません。
セクハラになりかねない噺に、続きます。