亀戸梅屋敷寄席17 その1(三遊亭好二郎二ツ目昇進口上)

仕事はまとまったものが続いていて幸いだが、くたびれた。金曜日は落語に行きたい。
もともと、柳家小ゑん師が昼席主任の新宿末広亭、こちらに1日は行きたいと思っていた。仲入りは、やはり大好きな柳亭小燕枝師。
池袋の駒治師の芝居を1日だけで切り上げたのも、次週に小ゑん師が控えていたからでもある。
新宿は、2016年の年末に出向いて以来。池袋派の私はずいぶんご無沙汰である。
浅草演芸ホールはさらにご無沙汰だ。寄席ファンのつもりでいるのだが、行く場所はずいぶんと偏っている。
でも結局新宿、やめてしまった。
どうせ流し込みの寄席に行くなら、夜席の仲入り(小里ん師)までいたいではないか。でも、そこまでの精神的余裕はない。
結局、2時間の亀戸梅屋敷寄席に出向くことにする。主任は円楽党会長、好楽師。
好楽師にもちょっとご無沙汰している。この素敵な師匠が聴きたい。
本当は昨年2度聴いているので、そんなにご無沙汰でもない。
でも妙にご無沙汰感がする師匠。なんだかちょくちょく聴きたくなるのだ。
新宿と迷っていた私の背中を押してくれたのは、兼好師の弟子、好二郎さんの二ツ目昇進口上があるという情報。
好楽師のツルの一声で実現したようだ。
二ツ目も、結構披露目をしてもらえるようになっている。でも寄席ではやらないから、私は観たことがないのだ。
円楽党の本拠地、両国でもこんなことはしないだろうし、今後の新二ツ目さんが、亀戸で毎回やってもらえることもないだろう。
好二郎さん、前座としての見事な高座を、11月に聴いている。ただ一度だけではあるが、「あのじゃんけんさんが」という感想にちょっとだけなる。
当初名前のなかった兼好師も急遽出るのだと。それは非常にありがたいのだが、最近めっきりファンになっている鳳志師がその代わりのお休みで、これはやや残念。

どう考えても混みそうなので早めに行こうと思いつつ、電車が大幅に遅れてしまい、開場後に到着。
受付にはスウェーデン人のじゅうべえさん。
案の定ぎゅうぎゅう詰め。椅子ごとお膝送りをしてもらい、さらに椅子を追加で並べる。
50人ぐらい入っていたか。
メクリにはすでに「口上」とある。真打昇進披露のように仲入り後でなく、いきなりやるらしい。
時間になり、黒紋付の4人が登場。最初に好楽師が出てきて、例によって深々とお辞儀。
主役の好二郎さんを挟んで、大師匠好楽に、師匠兼好。司会は楽生師。
2年前に、好の助師の披露目を観た際は、高座を横に広げていたのだが、今回は急遽だからなのか、いつもの狭い1人分の高座のまま。
その狭い高座に無理やり4人腰を下ろす。楽生師が、もうちょっと向こうに寄ってくださいなんて声掛けつつ。
好楽師と兼好師の師弟が、同じ絵に入っているのを観るのも初めてで、嬉しくなってしまう。
写真撮っていいですよとのアナウンスもないのに、客は撮る気満々でバチバチとすごい。明確な許可が出ていれば私も撮ったのだけど。

口上は好楽師から。
我々、真打昇進時より二ツ目に上がったときのほうがずっと嬉しいんですと。羽織が着られるから。
これはよく聞くところだ。
二ツ目になれたら噺家は万々歳。後はもう死んじゃったっていいんだって。ダメですと兼好師が返す。
好二郎という、師匠の名乗ったいい名前を継げて幸せだと好楽師。
弟子なんてものはいきなり家にやってくる。おかみさんにしたら、自分じゃなくて師匠の弟子だし扱いが難しいのだと、兼好師のおかみさんのことも褒める。
そうやって、噺家のおかみさんらしくなっていくんだと。
いい話である。さすが落語界でも一二を争う巨大一門の師匠は言うことが違う。
優しさに溢れる好楽師。
兼好師は、じゃんけんの名前、じゃんけんぽんに替えてもよかったのだが、本人が漢字が欲しいなんていいましてと。
好楽師の音頭で三本締め。私、一本締めは好きじゃないんです、寂しいからと。

楽しい口上でありました。
続きます。

 

作成者: でっち定吉

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2件のコメント

  1. 初めまして、いつも楽しく拝読させていただいています。
    亀戸での好二郎さんの二ツ目昇進に行かれたのですね! 平日の昼間で行けなかったのでうらやましいです。
    代わりに10日の両国での昇進披露は行けましたが。鳳志師匠も出演されてましたよ! 好楽師匠はおられませんでしたが…。
    両国でも二ツ目昇進披露はやっているのです。

    亀戸と両国で昇進披露をするのは好楽師匠の一門だけ、とぽん太さんと好好さんの二ツ目昇進披露の際に好楽師匠が仰っていました。
    なので西村さんとじゅうべえさん、しゅりけんさんの時もまたあると思います。楽しみですね!

    1. 風さん、コメントありがとうございます。
      両国でも披露目やっていましたか。盛り上げるのが好きなんでしょうね。
      私も円楽党にはかなり通っているつもりなのですが、まだまだ知らないことがあるものです。

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