桂宮治真打抜擢

先日、才人である桂宮治さんがなぜ真打に抜擢されないのかの考察をちょっとした。
そのとたん、落語芸術協会で抜擢の発表。
先日は、松之丞の抜擢はないなと書いたとたん伯山先生誕生。

私もとんだ恥さらしである。
だからといって、抜擢の事実で、高座の印象が180度変わるわけじゃないけど。
宮治さん、毒吐き高座が追認されたわけだから、伯山先生と同様、ますますエスカレートするのでしょうね。私は当分かかわりたくない。
橘家文蔵師みたいな、見事な毒を吐く人になればいいのだけども。
現状、宮治さんのは信念のない毒だと思っている。だから矛盾だらけ。
道を踏み外さなければ、令和の大名人になる人だと思っているのだが、私の想像する道の方へ進むことはないのでしょう。
誰がお前の指し示す道に行くかだって? まあ、確かに余計なお世話だ。

それにしても、宮治抜擢の背景はわりと簡単である。
香盤を抜かれるのは5人。

  • 三遊亭小笑
  • 春風亭昇々
  • 春風亭昇吉
  • 笑福亭羽光
  • 春雨や風子

昇々、昇吉が、昇太会長の弟子だから実現した抜擢なのだと考えれば間違いない。
自分の弟子たちに遠慮させたわけだ。
弟子たちには気の毒だが、これ自体、ある種の美談でもある。
昇太師自身は抜擢を受けて真打になった身なのであるが。
あとの3人は、悪く言う気はまったくないが、抜かれて普通の人たち。決して屈辱ということはない。

多くの賞レースで活躍し、すでに十分な実力を認められている昇々さんは本当に気の毒だ。
会長が師匠でなかったら、宮治さんと一緒に抜擢されたっていいぐらいの実力者だ。
私もこの才人が抜かれる事実に関しては、ひそかに心を痛めている。
だが恐らく昇々さんには、代替措置が採られるものと推測する。
以前から、私が特に根拠もなく予想している「春風亭柳昇」襲名である。
来秋の3人同時昇進(たぶん)において、昇々さんに柳昇が与えられると想像するのだが、どうでしょうか。
柳昇の名は大名跡ではないが、一代で大きくなった名前だから価値は大変に高い。大きな名前が弟子を飛ばして孫弟子に行くというのはままある例。
米團治、柳朝、今輔(これは曾孫弟子)など。米朝もたぶん孫弟子が継ぐだろう。
柳昇は本来、師匠・昇太が継いだっていい名前なのである。兄弟子の桃太郎師・鯉昇師が積極的に昇太師を推す中で、香盤でさらに上にいる移籍組の小柳枝師が反対していたようだ。
関係者情報なんてひとつも持っていないので、すべて憶測ですが。
そんな揉める名前であっても、孫世代なら異論も少ないはず。
あるとすれば、昇々さんが柳昇のように新作一筋じゃないことか。私も新作を高座で聴いたことないものな。

昇吉さんも、また賞レースの常連。
だが、この人については、宮治に抜かされるのは恐らく、ペナルティの意味合いと捉えればいいと思うのだ。
まず例の、さがみはら不正疑惑である。
とはいえこれは疑惑に過ぎない。
それよりも恐らく、現在の活動状況に対してのペナルティ。
さがみはらの件も関係しているだろうが、この人は、香盤の近い人大部分が参加するユニット成金がブレイクした裏で、ほぼひとりで活動を続けている、はぐれ噺家である。
反対に師匠・昇太ほど、仲間意識の強い噺家も珍しい。
だから人望を買われて芸協の会長なのだし、他派との交流も実に深い。
SWAでブレイクし、笑点で大ブレイクした師匠からすると、仲間と一緒に夢に向かわないはぐれ弟子なんてね。

一匹狼であること自体を非難するなんて気持ちは、私にはまったくない。孤高、群れないといえば、なかなかカッコいいではないか。
私もいわばはぐれ落語ファンだし。私の場合は、他のファンと交流する義務はないから、はぐれてないか。
それはそうと、はぐれ噺家が大成することはそうそうないのが落語界の現実。
ひとりでやる商売だからと思うと、全然そんなことはないのだ。
寄席に背を向けた小朝師の現状を見ればわかることだろう。
だから、カッコイイかどうかは別にして、噺家さんにはぐれて欲しくないのである。
でも、急に他人と会を一緒にやるなんて、今さらできないだろうね。
東大卒アピールも、落語協会の前座、古今亭菊一さんにいずれ持っていかれる。
真打昇進前後のこの時期に、軌道修正できないものかね。

作成者: でっち定吉

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2件のコメント

  1. こんにちは。今回の宮治さんの真打抜擢ですが歌丸会長が亡くなり、昇太会長が決まってからあるだろうと思っていました。実は2年前に行った某落語会のトークで芸術協会理事が(同時)松之丞と宮治の抜擢を提案したら賛成したのは昇太(当時)理事だけだったそうです。
    でもって昨年秋の小痴楽、今年の伯山の興行成功ぶりから昇太会長の考えに年功序列派も抜擢を認めざるを得なかったのではとおもっています。そのせいかわかりませんが、とあるブログによりますと、末廣亭での伯山襲名披露興行の昼は盛り上がりにかけていたそうです。まぁ、昼こ部に出ていた演者たちにしてみれば、何だが釈然としないものがあったのでしょう。

    1. ばたばたさん、いつもコメントありがとうございます。
      そしてトーク情報ありがとうございます。
      昇々さんも、すでに気持ちの上で宮治さんに抜かれていたのでしょうか。
      抜擢にケチはつけませんが、頑張れ昇々さんというのが私の気持ちです。

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