Wモアモア解散と熟年解散について

今週からニッポン放送で、ナイツの帯が始まった。月~木で2時間半の枠を、音楽を入れずに喋りまくる。
そして既存の木曜ビバリーと、土曜日のちゃきちゃき大放送(TBS)もそのままというすごいスケジュール。
寄席にも出続けるだろうが、ほとんど夜席になるのではないか。
私はradikoプレミアムに入っているからラジオはいつでも聴けるが、帯を毎日後で聴くというわけにもいかず。
当分、家で仕事をしながらこの枠を毎日聴くことにする。
火曜日の女性芸人アシの山崎ケイ(相席スタート)がいみじくも言っていた。ナイツの二人も大変だが、リスナーも毎日大変じゃないかって。
そうかもしれない。

ナイツの番組、初日月曜日でいきなり話していたのが「Wモアモア解散」。
すでにモアモアで顔付けされた東洋館の番組に、けん師匠(毒舌ボケのほう)が一人で出ているらしい。
東洋館の舞台で、「一人になっちゃいましてね」と挨拶したら、その日は日曜でマニアが少なく、「そもそもあんた知らない」という変な空気が流れたそうで。
ところで、最近の熟年解散ブームもここまで来たかとナイツ。
おぼんこぼんはナイツの広めた不仲ネタを活用しているのだが。

Wモアモアねえ・・・
ラジオには数年に一度呼ばれる程度の漫才師。
だが、芸協の寄席四場には、近年そうそう顔付けされていなかったのではないか。広小路亭になら、たまに名前があったように思う。
毒舌ボケが強すぎて、ちっともいい漫才とは思わなかった。ツッコミがフォローをしても、聴き手に徐々に不快感が蓄積されていく、そんな感じの漫才。
落語の定席においてヒザが務まるような芸ではなかった。
最近の若手の「優しいツッコミ」をよしとする感覚からすれば、もはや世間で求められない芸。
漫才協会のほうではすでにコンビは別れているが、芸協のほうだとまだコンビで登録された格好になっている。
いずれにしても、ピンで落語の寄席に出ることはまずないはず。広小路亭でもどうだか。
落語界からはWモアモア、消えたと考えていい。

ずいぶん前、調べたら2013年だが、やはり熟年解散した大瀬ゆめじうたじも、いまだに「方向性の違い」で解散したことがナイツのネタになる。
だが解散後、ピンでもって、落語の寄席でお見掛けすることはまずない。
落語協会の寄席に漫談の需要もないし。三味線漫談などを除き。
落語協会には二人とも所属しているが、まあ名前だけでしょうな。
解散によって、やはり落語界からは消えたわけだ。
方向性が違っても、コンビでは安定した芸だったのに。Wモアモアよりよほど落語の寄席にふさわしいコンビだった。
ちゃんと確立した活躍場所を持っているのに、せっかくのビジネスパートナーと別れてしまうのは意味がわからない。

漫才協会四天王の一組で、落語の寄席でも引っ張りだこだったホンキートンク。
これは不仲で別れたわけではない。奥さんの看病のために解散というもの。
美談ぽいのだが、私にはまったく理解できない話。
抜けたほうの「天草ヤスミ」さんは、闘病の奥さんと一緒にコンビを組んでいるらしい。
ホンキートンク自体はボケを替えて続いているが、落語協会の色物香盤にはまだ「ホンキートンク弾」として名前があるだけ。新相方が無条件で協会入りなんてことはできないのだ。

漫才ではなくてコントのチャーリーカンパニーもよくわからない。
実態としては、ボケの日高てん師匠が抜けて、菊地仁師匠が新たなボケの相方と組んだ新生チャーリーカンパニーになっている。
ボーイズバラエティ協会のほうでもすでにこうなっている。
だが芸協のほうでは、チャーリーカンパニーというコントのメンバーが、日高てん師匠一人になっている。
メンバーに争いがあるわけでもないと思うのだが、なんだかさっぱりわからない。

とにかく漫才・コントは、ひとりではできない。
ナイツ塙も漫才協会副会長として、漫談ばかり増えると困るって。漫談でトリも取れないし。
だからといって、コンビを再編すればいいということもなく。
人気も実績もあった夫婦漫才、「大空遊平・かほり」は2015年に解散、かつ私生活でも離婚。
その後、遊平師匠は、うたじ、結城たかしと組んだ「トリオザキュースケ」から、さらに現在は結城たかしとのボーイズ芸、「ふるさとコンビ」。
こういうユニットがあることだけは聞くが、さっぱり姿は見ない。

個人的に漫才は、落語の合間に出る人たちがいちばん面白いと思う。
落語の寄席に出るのは、実に大変なことだと思う。
芸協で今年色物香盤に加わったのが、「おせつときょうた」。2016年にデビューしたばかりだが、浅草で活躍して順調にステップアップ。珍しい例。
私は、会員(たぶん正式にはまだ準会員)になる前に、京太ゆめ子の代演で観た。
この「おせつ」(大きいほう。基本ツッコミだがボケもする)は、昨年のNHK新人落語大賞を獲った桂華紋さんのお兄さん。
兄弟ともに楽しみです。

作成者: でっち定吉

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