ヒザ、江戸家まねき猫先生の高座は初めてだと思う。
でも、大部分寝落ちしてしまい、肝心の動物物まねはひとつも覚えていない。
漫談部分も、寄席がハネた後までは覚えてたのだけど、3日経ったら忘れちゃった。
今度の5代目猫八の叔母さん。襲名には、協会の壁を超えて呼ばれるでしょうか?
トリは三遊亭好楽師。円熟の76歳。
昨年は4席聴いていた。四半期に一度のいいペース。
2月中席の浅草、落語協会の芝居(先代春風亭柳朝追悼)に出るというので話題になっているが、この日来たからそっちは恐らく行かないと思う。
好楽師、胡麻塩頭で登場。おやと思う。
ちなみに、このしのばず寄席の2日後(両国寄席)での際に撮られた、こちらの記事の写真と同じ着物であり、同じ頭。
三遊亭好楽、三遊亭円楽さん追善興行にトリで登場 「いい人でしたよ。落語に対しても一生懸命だった」
このところ円楽師の話をしていた好楽師だが、両国の追善興行に備えてだろう。このしのばず寄席ではしない。
私、頭はいつも染めて黒いんですけど、今日はみっともなくてすみません。
今、この頭でドラマの撮影中なんですよ。
それから、このえんじ色の着物も珍しいでしょう。私はいつもはピンクなんですけど(※ いつもじゃないですが)。
アサヒビールのサプリのCMに今出してもらってるんです。
サプリの袋の色がえんじなんで、関係者から、好楽さんえんじの着物お持ちですかと訊かれたんです。
持ってないんでいつもお願いしてるところに電話してみたら、急いで作ってくれたのがこれです。
結局、撮影本番に持っていったのに、ピンクの着物で撮りましたけどね。
サプリのCM、好楽師はもう流れてますって言ってたけど、まったく情報がない。
ドラマのこともぽつぽつ語っていたが、世間にやはり情報がない。なんだったかな。
ともかく人気者ですね。
ちょっと鼻がグズグズしている好楽師。花粉はまだ早そうだが。
途中でくしゃみをひとつして、「これはおまけ」。
今日はお客さんいっぱい入ってくださいましたけども、私の寄席しのぶ亭で、独演会にお客さん2人だったことあるんですよ。
4人来るはずだったんですけど、1人は1週間前に「風邪を引いて」キャンセル。1人はその日の朝に「法事があるので」キャンセル。
たまに師が語る話だけども、雪の降る日の事実だとして、あくまでプライベートな会だったと思うのだが。
いくらなんでも笑点のスター(笑)が、一般向けの会で独演会2人はないでしょう。
医者のマクラ。葛根湯医者など。
あれ、死神でもやるの? お持ちかどうかは知らないが。
友達が寝込んでいるというので男が訪ねていく。実は恋煩いなんだと。
思わず笑ってしまうが、よく聞くと大変な事態。夢の中の女に恋してしまったのだ。
現実には存在しない女への恋煩い。
そこに往診の医者が訪ねてくる。
この病気は非常に厄介で、亥の年亥の月亥の刻、年月揃った女の生き肝を飲ませれば治るそうだと。
もちろんそんなことはできないから、こうやって病人を見舞いに来てやりなさいと。
死神ではなかったが、同じく圓生系統の「肝潰し」であった。元は上方ダネ。
好楽師には意外と人情噺は多くなく、「三年目」と「文違い」とこれぐらいでは。
かつて日本の話芸に出ていたが、直接聴くのは初めての噺。
兄弟同然に育った、恩人の息子を救うため、年月揃った妹から生き肝を奪わなければならない。
なんの因果か。
圓朝ものならこんな噺も腑に落ちるけど、そうじゃないのだ。
そして、たまたま絶妙のタイミングで、奉公に出ている妹が宿下がりしてくるのだった。
誰が悪いわけでもない。
夢の中の女に恋してしまったのだって不運に過ぎない。
もちろん、大事な妹が憎いのではない。全部仕方のないことなのだ。
こんな、芝居でしかあり得ない状況を、抑制の利いた演技で語りきる好楽師。
人の命を奪わざるを得ないというシチュエーションではあるが、誰も悪くないというのは「三年目」と通底している。
昔、米朝の速記本で「肝潰し」を読んだ際は、なんてバカバカしい噺だと思ったものだ。
サゲもだが、テーマも。
しかし実際の高座には、ちゃんと極限における人間の感情が満ち溢れている。
くだらないサゲも、これで妹を犠牲にしなくていいという、緊迫状況からの解放として、大きな意味がある。
トリを飾る素晴らしい一席でした。
しのばず寄席最高。
(その1に戻る)
情報が出てないドラマの撮影、もしかしたらBS笑点のドラマを制作しているのかもしれませんね。
歌丸、先代圓楽、木久扇、談志ときたら、次は六代目円楽か。
いらっしゃいませ。
まあ、おっつけ情報が出るでしょう。
笑点ドラマでない、純粋の役者好楽も観てみたいものです。