今月から始まった、九段下の鶴めい七叶亭(かくめいなのかてい)へ。
5日目の日曜日。
どの日に行くかは、番組が出たときに決めていた。
JR水道橋駅から歩く。
飯田橋よりも若干近いが、日本橋川を渡るもろ裏道である。
土日は午前10時からと早い開演。
Xで整理券配布情報を見て早く行ったつもりだが、大きな勘違いをしていた。
20分前に整理券を配布ということは、開場時刻である9時30分の20分前、すなわち9時10分に着かねばならない。
しかし、開演時刻の20分前(9時40分)を目指して急いでいたのだ。
結局、満席(39人)ではないためなんの不都合もなし。20人ぐらいか。
満員にならない限り、整理券を持ってなくてもなんら差別はされず、並んだ順に入場。
客席が2階建て。
スペース広くて、パイプイス出して、階段に座らせればあと7〜8人行けそう。そんな消防に触れることはやるまいが。
幕が開くと金屏風。天井も高く、実に立派な高座。
| 桃太郎 | き太 |
| 狸の鯉 | 夢丸 |
| 棒鱈 | 好の助 |
| (仲入り) | |
| 上京物語 | 駒治 |
幕がゆっくりゆっくり開いていく。
「前座の上がり」が鳴り、前座が出る。
なんとなく、事前情報では前座の出ない寄席の気がしていた。そもそも現在前座不足だし。
もっともXの情報で、すでに前日もこみち師の弟子、ちょいとさん(見習い)が上がっていることも知ってはいる。
浪曲師の玉川き太さん。
過去聴いてるのは間違いないが、わ太とき太、どっちがどっちだったっけ。わからなくなってしまう。
き太さんは太福師の2番弟子で、私は今年池袋で聴いている。
4月に聴いたその席でも、「つる」でつっかえていた。
そして今回、桃太郎でもセリフが出てこなくて、「あの」「その」と指示代名詞の連発。
この日来た人のSNSでは悪く書かれそうな気がするのだが、でも妙に味のある語り口である。
フレーズを覚えられない欠点はさておき、何がいいかというと、ウケてやろうといういやらしさが皆無であること。
では棒読みで朴訥(それはそれで評価する)かというと、しっかり感情を乗せて喋る。
ほどがいいのである。それがひとえにセンスではないかな。
だいたい桃太郎の金坊、前座がやるとだいたいただの嫌味な子供である。そう聴こえてこないだけでもすごい。
噺をど忘れする割には心臓強いので、ゆくゆくはアドリブ巧者になっていきそう。
10分強の高座。
き太さんがメクリを返すと、寄席文字ではなく、達筆。
万才くずしが鳴って、三笑亭夢丸師。
なんとなく久々の気がしたのだが、今年3席目である。もっと聴きたい気持ちが頻度を誤認させるようだ。
いやあ、立派な会場ですね。普通なら客席をもう少し増やすことを考えそうですが、こうやって舞台が大部分を占めているという。
幕がゆっくり開くのがいいですね。袖で計ったら37秒でした(※テキトーだと思います)。
先ほど聞いたんですけど、初日は前座がわ太さんという人で。今桃太郎やってたのとは別の人ですが。
この幕、リモコンで開くんですよ。だから、リモコンわかりやすいところに置いておけばいいのに、わ太さんはなんだか知りませんが持ち歩くんだそうで。
で、いざ初日の幕を開くという段になって、リモコン失くしまして。楽屋中大騒動で探したそうです。
ポンコツ前座がオープニングを台無しにし掛けた話、楽しいじゃないか。
この時季は旅が多くなります。学校寄席とか。
それからお寺です。
昨日は島根県、松江のお寺に呼ばれました。
ご住職に事前に頼まれまして。実は地元に、落語を喋る8歳の女の子がいるので、前座に使いたいがいいかと。
二つ返事です。仮にダメなんて言ったら、すごく嫌なやつじゃないですか。
当日女の子のお父さんと、それから2歳の妹も楽屋に挨拶に来ました。
2歳の妹も高座に上げたいということで。どうぞどうぞと。この子は前座の前座ですね。
親子でもって楽屋で和気藹々と。私は隅っこです。
2歳の子は、「お坊さんが通ったよ。そうかい」ぐらいの噺ですが、もうバカウケで。
今日このウケを超えられるかなと思いました。
それから8歳の姉です。しっかり喋るんですよこの子。
怪談噺を喋っていきました。お客のウケも上々で。
ただ、当人も思ったんでしょう。このしんみりした流れで夢丸さんには渡せないなと。
それで、その後初天神をやっていきました。結局45分です。
まあ、いいんですけど。
なんでもこの子、自分で会をやりたいって言ってご住職に直訴したんですって。企画書まで書いて。
うちにも同じ歳の娘がいます。こないだ寝そべったまま服を着替えようと企んで、パンツ破いた子ですよ。えらい違いです。
10月に会があるそうです。夢丸さんもぜひと言われましたけども、「来れたら来る」と言っておきました。
松江ですからね。松戸ぐらいだったら行きますけど。
それから宮崎の高千穂、ここは神さまの住む土地ですが。
高千穂の人でも、人の住むところじゃないと言う秘境の村があるんです。
小学生は3人です。秘境すぎて合併できないんだそうです。
そこに年4回行って、落語を教えています。
子供たちみるみる上達しまして。男の子に、上手くなったねえって言いましたら、「そちらこそ」って返ってきました。
私も威張ったもんじゃない、田舎の出ですよ。
今は東水元に住んでます。松戸にマウント取られるエリアですよ。
自然が豊かで、タヌキも見ました。
私落語に最初にハマったのは、「タヌキデス」からのやり取りで、「なんだ狸か」これですよ。
何この世界。狸が普通に口きいて、それを不思議に思わない。この世界にハマっちゃいまして。
マウント取る松戸は、小助六師であろう。
せっかくですからと再度、「タヌキデス」から噺を始める。
ちなみにマクラは10分ぐらい。
むにゃむにゃ声がするが、はっきり喋れと言うと渋い声で「たぬきです」。
昼間助けた狸の子が訪ねてくる。とりあえず戸を開けると、またぐらくぐったりはせず狸の子がそこにいる。
なるほど、まさに楽しい落語の世界。
